【自然農】畑の土と陽だまり育苗の夏野菜苗。種まきから約40日経ってどうなった?

寒い日や雨の日が多かった2022年の春

 私たちは今年も加温設備を必要としない「陽だまり育苗」で夏野菜の苗を作っている(→詳しくはこちらの記事をどうぞ)。より循環の環が閉じた野菜作りを目指して、市販の培養土や石油資源や資材をなるべくつかわず、身の周りのものを活用して育苗をしている。

 加温設備はほぼ使っていないが、私たち自身が寒いと思った日にはストーブやこたつを使っていたのでその熱は最大限有効利用した。また、家が断熱材などがほぼ入っていない古い家で朝にはその気温をほぼ変わらないことが多いので保温用に「種まきカバー」を購入した。

 これは使い捨てではなく、大切に使えば数年は使えそうなので良しとした。全部を全部自給するのは大変なので頼るところは頼っていこうと思う。こちらの製品はコメリなどの大手ホームセンターで販売されており、どこでも手に入れられる。サイズが51型育苗箱に合うサイズで、そこには底面給水トレイが便利だった。
・種まきトレー51型→https://www.komeri.com/disp/CKmSfGoodsPageMain_001.jsp?GOODS_NO=1447594
・種まきカバー→https://www.komeri.com/disp/CKmSfGoodsPageMain_001.jsp?GOODS_NO=1981892

 この種まきカバーのおかげで大分温度管理が楽になった。いずれは育苗ハウスを構えて踏み込み温床での育苗にも挑戦したいが、その際の保温資材として有用かもしれない。

 今年の三月・四月、また五月の第一週は例年に比べて寒い日が続き、雨も多かった。周りで営農されている方は降り続く雨でなかなか作業が進まず、全体的に生育も遅れがちなようだ。

 うちは自然の天候に苗作りを任せているため、雨の日・曇りの日は特に温度が上がらずちゃんと成長しているか心配な日々だった。徒長しやすい日が続いたため、少しでも晴れたらすぐに太陽に当て、曇りの日もできるだけ窓際で管理した。

 結論から言うと、今のところ順調に生育している。ただ、自家採種・自然農・自家製畑の土培土による問題や違いが出てきているのでそれぞれ紹介しようと思う。

トマトは自家採種の結果、生育がかなりばらついた

 うちのミニトマトは交配種の自家採種1年目の種を使っている。広く知られている通り、交配種は自家採種すると、親の形質がランダムにでて来て、同じものは採種できない。そのことから自家増殖禁止の登録品種であっても、交配種であれば自家採種しても良い事になっている。

 育苗段階でも、かなり株によって生育に差が出てきている。これは悪いことではなくて、どのトマトがうちの畑にあっているか判断することができる。つまり、様々な性質の出ている、交配種(F1)からの自家採種(F2)は自分の畑に合った品種を作っていくことができると言う意味だ。

 今年の育苗は定植予定地の土をそのまま培土に使っている。この土でしっかり育っている苗は畑に定植してからも良く生育すると考えられる。逆に育苗の段階で上手く育たないものは次の自家採種の対象からは省くことができる(これを選抜育種という)。

 40日の時点で本葉4枚になり、鉢上げを終えたものは32株あり、そのうち16株は四月二十九日に鉢上げしてある。この16株は特に生育の良かった、いわば1軍だ。同じ日に播種したものでも、一番大きな差があるもので写真の通りだ。種が違えば同じ土、環境でこれだけの差が出る。

220508 播種40日目のロッソ
同じ日に種まきしたミニトマト

 中には周りと比べて特に葉色が濃いもの、背丈が短いのに葉数が多いものもある。これらは特徴が他の大部分から外れているので種採りの対象にはしないが、収穫まで育ててみたいと思う。個人的には葉色が濃いものは吸肥力が強く、畑に植えたら良く生育するのかも。

成長がゆっくりなナス、低温障害が出てる?

 ナスは国際自然農研究開発センターの自農丸ナスを栽培することにした。ナスはトマトよりも生育が遅いため、より早く種まきをするのが基本のようだが、今年はすべて同時に種まきした。販売されている種なので、発芽率はほぼ100%だった。何とか種採りまでつなげたいところだ。

 昨日六日の土曜日に鉢上げした。まだ葉っぱの数は三枚と少なかったが、7.5cmポットで育苗していたため、肥切れになる前に鉢上げした。やはりトマトほどは根鉢ができておらず、少し苦労した。

 背丈は5cmほどでまだまだ小さいが、ここ数日で一気に大きくなった。ここ長野県は五月になっても数日は最低気温5度以下の日がある。第一週をすぎるとぐっと春らしくなり、夏の兆しも見えてくる。ナスにとってはこれからが生育適温だろう。

220508 播種40日目の自農丸ナス
本葉3~4枚


 陽だまり育苗は夜間、家の中にしまうが我が家は外の気温とほぼ同じくらいまで室温が下がる。一応、カバーをつけて毛布を掛けておいたがやはり低温障害らしき症状が出た。数日だけなので、この後何事も無く育ってくれることを願っている。

220508 播種40日目の自農丸ナス 低温障害?
低温障害

一番高温を要求するピーマン類は順調!

 ナス科作物の中で、発芽や生育に最も高温を要求するピーマンは一番小さいかと思っていた。実際、鷹の爪(自家採種1代目)はまだまだ本葉三枚ほどでナスよりも小さい。
 ところがこちらも初栽培の国際自然農研究開発センターの自生えピーマンはかなり順調に生育している。本葉は四枚展開しており、葉色も良い。中にはあまり大きくならなかったものあるが、15/20株はいい感じだ。

220508 播種40日目の自生えピーマン
葉色が良く、つやがある

 ナスとピーマンは同じ畝に作付予定なので、同じ土で育苗している。ナスよりも生育が遅いはずのピーマンが大きくなっている所を見ると、ここの土はこのピーマンに合っているのかもしれない。加温設備がないと、ピーマン類の育苗は、特に発芽の段階で難しくなるようだが今のところ順調だ。

 既に7.5cmポットの鉢周りを超えているため、早急に鉢上げしてあげたいと思う。

 ピーマン類の中で小果種にあたる鷹の爪は、今年自家採種一年目の種を使っている。同じ場所の土を使っているのもあって、生育ムラが少なく揃って生育している。

220508 播種40日目の鷹の爪
自家採種い

番外編。ズッキーニ

 ズッキーニは育苗してから畑に出す予定だ。品種は二種類で、二カ所の畑でそれぞれ栽培する。種採りもできるが交雑しやすいため、圃場を完全に分けた。
 一つはトキタ種苗のバンビーノ。豊産性でたくさん実がなるし、味も美味しい。普通のズッキーニよりもうまみが感じられる気がする。薄緑色の中太型のズッキーニだ。
 もう一つは品種名は不明だが、つる新種苗で取り扱われていた自然菜園採種のズッキーニだ。形状はごく普通の細長型で、おそらくブラックビューティを自然菜園で採種した種だと思われる。自然菜園はAZUMINO自然農スクールの竹内孝功さんが営まれている菜園で、自然農法で野菜を作っている。自然農法で採種された種ならすぐにうちの畑に馴染んでくれると思う。

 種まきは10.5cmポットに直接した。通常五日もあれば発芽しても良いが、種まきから数日気温が低い日が続いたため、なかなか発芽せずに一週間経ってからようやく発芽した。ウリ科の野菜は生育が早く一ヶ月で定植できる苗になる。

 既に本葉が一枚出て、背丈もぐっと大きくなってきた。順調にいけば五月二十日頃には定植できる予定だ。

220508 播種20日目のズッキーニ
割りばしで仮支柱を作った

 ズッキーニはうちの育苗方法だと徒長しやすく、強い風が吹くとかなり揺さぶられてしまう。小さい時に過度のストレスになると思い、割りばしを株元にさして麻ひもで誘引してみた。風が吹いても揺さぶられることが無くなり、元気に育っている。
 この支柱に結びつけるのは道法正徳さんの提唱する「垂直仕立て栽培」を参考にしてみた。これについては今度詳しく記事を書いてみようと思うが、自然栽培で真価を発揮する栽培法で科学的にも理に適っているので今年から挑戦してみたいと思う。主にインスタグラムで栽培の様子を発信していくつもりだ(→インスタグラムアカウント 百姓日記)。

畑の土でも問題なく育苗できる!

 今年、初めて畑の土、しかも定植予定の畝から採取した土を使って育苗に挑戦しているが、今のところどの野菜も順調に育ってくれている。もちろん、肥料分に乏しい自然農の土に合う品種をなるべく選んでいるので、その影響もあると思うが、十分実用レベルだ。

 一つ難点を挙げるとすれば、どうしても草の種が入っているので育苗途中に発芽してしまうことだ。普通、自然農では草を敵としないがポットという土の量が限られている環境では草に栄養をとられてしまうので取り除く必要がある。これが少し手間ではある。

220426 草が生えた育苗ポット
草が生えてしまう

 あと少しで植え付けシーズンとなる。気を抜かず管理していきたい。

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