【自然農】2022年のトマト栽培記録と来年の計画【垂直仕立て栽培】

無肥料栽培の可能性を感じた

 昨年2021年はミニトマトの栽培が上手くいかず、収穫もほとんどできないと言う結果に終わった。その結果は惨憺たるものだったが、改善も見つけることが出来た。そのおかげで今年の栽培にも大いに生かすことが出来た(→昨年のミニトマト栽培の考察はこちら)。

 今回は今年のミニトマト栽培について振り返っていこうと思う。大きく分けて3つのポイントがある。
 今年は日々食べていく分にはちょうど良い程度の収穫が出来た。3日に1回収穫して、500gずつくらいは穫れただろうか。8月の半ばから10月の半ばまで約2か月間収穫した。
 昨年からするとよっぽどよく出来たのだが、冬の間に食べるために瓶詰にする余裕も、販売に回す余裕もなかった。植え付け本数としては40株は植えているため、これでは本当に必要最低限だ。

 それでも、今年の栽培を安定してできるようになれば、十分な収穫を無肥料・無農薬で得ることができる展望が見えた一年だった。

ポイント1 畑の土で育苗

 寒さに弱いトマトは育苗が必須になる作物だ。今回は育苗土を購入せずに、トマトを栽培する場所の土をそのまま育苗土に使用した。その方が苗作りの環境と定植後の環境が同じになり、健康に育つと考えたからだ。しかも、外部からの土を持ってくることなく、自分の身の周りで循環する、サステナブルな栽培だ。

 種まきは3月26日に行った。加温器がないのでポケット芽出しをして、根が数mm出てからポットへ植えた。約1ヶ月で7.5cmポットから10.5cmポットへ鉢上げした。
 その後、さらに約1か月後の5月25日に定植した。定植時は本葉7,8枚でがっちりとした良い苗に仕上がった。同じ日に種まきしたものでも、二ヶ月の育苗期間を経て生育に大きな差が出たものもあった。大きく順調に育った苗と、あまり良くなかった苗は畝を分けて植えた。

 結果としては、やはり苗の段階で生育の良い株はその後の生育も良かった。本葉7枚、がっちり育った苗を植えた畝は全体的に生育が良かった。
 今の育苗技術では全ての苗を均一に育てることが出来ない。来年は必要な量よりも少し多めに作って、良い物を選抜しようかと考えている。

ポイント2 垂直仕立て栽培の成功例

 今年のテーマとして、垂直仕立て栽培でどのように成長するかを観察していた。

 株によって差があったものの、上手く育ったものはぐんぐん成長した。無肥料・無農薬でもここまで育つのかと思ったほどだ。他の野菜についてもまとめてあるのでこちらの記事を参照

 まず、実割れが少なかった。露地でミニトマトを作ると、とにかく割れが問題になる。しかし、垂直仕立て栽培のミニトマトは皮が薄く、実割れが起こらなかった。他の株のトマトが軒並み割れてしまう雨の後でも、一つも割れずに実っている事もあった。

220828 垂直縛りのトマト
垂直縛りのミニトマト


 一本の枝に7段目まで花が咲き、収穫することが出来た。その先の生長点も花芽がついていた。ミニトマト専業農家からすれば大したことはないのだろうが、無肥料でも実付きが良いのは垂直仕立て栽培の力が発揮されたからだろう。垂直仕立て栽培では基本的に芽かきをしないため、総花房数でいえば、20個くらいの花房がついたはずだ。

 さらに特筆すべきはその味だ。皮が薄いから食感が良いのはもちろんのこと、甘みがしっかりとしていた。他の垂直仕立てにしていない株と食べ比べればすぐに違いがわかる。

ポイント3 自家採種でさらに優良品種に

 今年栽培したのは元々F1種の自家採種1代目の種。F1の自家採種したものは性質がばらけるので、今年のトマトもかなりばらついていた。たまたまうまくいった株があったため、それを親にして自家採種を重ねた。

 F1種を自家採種すると、大体4,5年繰り返していると、固定化されてきて新しい品種として別物になると言われている。1代限りの品種がその土地の風土、栽培方法に合った品種へと変わっていくのは生命の本来の移り変わりではないかと思っている。

 垂直仕立てではなく、放任(脇芽をとらず、伸ばし放題)にした株で良く育ったものからも採種した。来年は垂直仕立て系統と放任仕立て系統の比較も行っていきたい。今のところ、垂直仕立ての方が栽培管理も楽で気に入っているが、放任栽培もトマト本来の姿を活かした栽培法なので上手く育ってくれる可能性がある。

品種について

 最近のトレンドなのか、主に直売所でカラフルトマトが流行っているような気がする(Google検索するとたくさんの検索結果がでる)。一つのパッケージに赤、黄、橙、緑、黒など様々な色のトマトが入っていて、見た目はとても華やかだ。パッケージが豪華なこともあり、価格も少々高めに設定されていることが多い。

 地元の直売所で試しに買ってみたことがある。このような見た目から入る商品は味がよくないと、一回限りの購入になってしまうと思っていた。特に赤以外のトマトは味が劣るということをよく耳にするのでカラフルトマトはどうなのか気になっていた。
 結論から言うと、やはり赤色以外のトマトは味がどうしてもぼやけてしまうと思う。甘みが強いわけでもなく、癖があるわけでもなく、水っぽい感じがした。品種が正確にはわからないし、栽培法にもよるのかもしれない。

 そこで来年は通常の赤色のミニトマト以外にも、複数品種のトマトを栽培してみたいと思う。
 無肥料栽培に適した品種は在来種や固定種に多い傾向にあるが、多くのカラフルトマトは様々な地域で在来種として引き継がれてきた品種である事も多い。古い品種は少肥料下でも良く育つことがあるので色々試してみたい。

 味がよくない懸念もあるが、垂直仕立て栽培で食味が改善することに期待している。今年栽培したミニトマトは垂直仕立て栽培で生育の良かった株に関しては抜群においしかった。垂直仕立て栽培が上手くいくと、植物の代謝も活発になり、食味も向上するからだと言われている。

 またトマトソースやケチャップなどの加熱加工に適した調理用トマトも自給と販売の幅を広げるために栽培してみたいと思っている。特にトマトソースは瓶詰にしておけば半年は日持ちするだろうし、自給するうえでは欠かせない食材だと思っている。

ルタバガという野菜をご存知ですか? スーパーでは手に入らないけど美味しい!

知名度はないけれど昔からある野菜 ルタバガ

食糧危機を救った野菜?

 普段一切聞いたこともないであろう、「ルタバガ」という野菜だが、実は歴史あるすごい野菜だ。

221019 ルタバガ収獲
ルタバガ

 時は1620年。スイスの植物学者によって、スウェーデンで自生している原種が発見された。ということでルタバガはスウェーデン原産とされ、「スウェーデンかぶ」、単に「西洋かぶ」などとも呼ばれている。
 ルタバガはアブラナ科アブラナ属で、カブやキャベツの仲間とされている。根部は黄色がかった白色で、品種によって上部が紫色、緑色になるものに分かれる。

 第一次世界大戦時、食糧が尽きていよいよ食べるものがないという状況で食べるものとされていた。特にドイツでは1916~1917年にかけて、「ルタバガの冬」と呼ばれた食糧難に陥り、ルタバガを食べて飢えをしのいだとされる。その結果、不人気となり生産量も減少した。

 日本では明治時代初期に他の西洋の食べ物と一緒に導入されたが、やはり味が受け入れられず、飼料用にとどまったと言われている。日本でもあまり定着することなく、生産量は激減した。

 あまり好かれていない野菜であるが、北欧を中心に今でも伝統料理として食されており、近年では様々なレシピと共に紹介されている。

岩手県に伝わる矢越カブ

 そんな不人気野菜のルタバガだが、なんと国内で在来種として定着している。

 岩手県一関市矢越地区では「矢越カブ」として、ルタバガの栽培が復活した。
 元々ルタバガが日本に導入された明治時代に同地区にも導入され、盛んに栽培された。しかし、米やそのほかの野菜が増産され、一旦栽培が途絶えてしまう。その後平成初期に矢越カブを復活させようと種を探したところ、宮城県気仙沼市に残っていた。その種が再度矢越に持込まれ、矢越カブの生産が再び始まった。

 現在では20aほど栽培されている。今は在来種が見直され、栽培が広がっていく可能性もある。

ルタバガのすごいところ

脅威の貯蔵性 自給用に最適

 ルタバガは元々野菜というより、主食としての役割があったようだ。日本では食糧が乏しい時代に米の代わりとして嵩増しに使われていた。

 それはルタバガの貯蔵性の良さがあるからだ。ルタバガは収穫後、適切な条件に管理すれば最長6カ月も貯蔵できることが知られている。むしろ、収穫後に貯蔵することで甘みが増し、食味が良くなる。
 貯蔵に最も適しているのは気温0度、湿度95%と言われている。温かい地域ならば軒下、寒さの厳しい山間部や寒冷地では廊下や玄関に置いておくだけで良い。乾燥させ過ぎると良く無いため、新聞紙でくるんだり、段ボールに入れて置くと良いだろう。

耐寒性抜群 寒冷地でも良く育つ

 ルタバガの特筆すべき特徴のとして耐寒性が高いことがあげられる。もともとスウェーデン原産の野菜であり、かなり耐寒性が高い。そのため、日本では北海道や岩手県の内陸部など寒さの厳しい地域での栽培が盛んだった。

 旬の季節は秋冬で、霜にあててから収穫することが推奨されている。植物は寒さに当たると、自分が凍ってしまわない様に糖分を蓄えるため、霜が当たるような寒さの中で甘くなっていく。
 大根やかぶなどの似ている根菜類も霜が当たると甘くなるが、強い寒さに当たり過ぎると枯れてしまう。-5度以下になると概ねだめになってしまう。しかし、ルタバガはなんと―15度の低温を耐えることができるとも言われている。葉の部分も氷点下の低温に当たっても青々としている。

 寒冷地の真冬は食べられる作物が限られてしまう。その中でも貴重な野菜としてルタバガは重宝する。

ルタバガの調理例

じっくり焼く

 ルタバガはかなり固い野菜だ。特に真冬の寒さに当たったルタバガは非常に固くなる。生でも食べられるが、やはりルタバガは火を通して食べるのがおすすめだ。

 おすすめはオーブン調理。ルタバガだけでなく、じゃがいもやかぶ、人参、大根などの根菜をまとめて放り込んでおく。200度で20分ほど焼くと、ほくほくの根菜ローストの出来上がり。軽く塩を振って食べると、甘みが強調されて美味しい。放っておくだけで完成するため、とても簡単だ。

221018 ルタバガのオーブンロースト
オーブンロースト

 フライパンでじっくり焼いても良いが、かなり時間が掛かる。コンロで焼く場合は少量の水を入れて蒸し焼きにすると良い。

煮る

 ルタバガは煮るのもおすすめだ。実が締まっており固いため、火を通しても実崩れしにくい。じゃが芋と味が似ているため、その代わりに使うと実崩れが気にならずじっくり煮込むことができる。

 和風よりも洋風のシチューやコンソメスープに合う。火が通りにくいため、小さめにカットしておくが時短になる。

ポタージュスープ

 私たち一押しの食べ方がポタージュだ。ルタバガの甘みやうまみがストレートに感じられ、ほっと息を付ける美味しさだ。初めてルタバガを食べたのもポタージュだった。その時の優しい甘さに心を奪われた。

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ポタージュスープ

 ルタバガは火が通るのに時間がかかるため、1cm角くらいに切って茹でる。皮を少し厚めに切ると、甘さを引き立てることができる。沸騰して15分ほど茹で、柔らかくなっているか確認する。

 茹でたルタバガと牛乳をミキサーにかける。しっかりと火を通しておかないと滑らかにならないため注意する。塩で味を調えて完成。調味料は塩だけで素材の味を存分に発揮させる。

番外編 葉っぱを食べる

 ルタバガは地下部の根を食するが、地上部の葉っぱも食べられるのではないかと思い、実際に食べてみたことがある。

 外側の大きい葉っぱは固くなっているため、内側に近い、新しい葉っぱを使う。長さ15cmくらいまでの葉っぱを使うと良い。

 味はキャベツに近いような、少し癖がある。ケールに近いかもしれない。生よりは、炒め物として食べるのが良いだろう。結構味がしっかりとあるので塩を効かせると美味しく食べられる。

スーパーには売っていないスーパーベジタブル

 基本的にルタバガは一般のスーパーでは売られていない。栽培者も限られているし、他の野菜と比べると使い道もないからだろう。しかし、ルタバガは適切な調理をすれば、十分美味しく食べられる。

 大規模に栽培されていないが、小規模でこだわった野菜作りをされている人は意外と作っていることがある。直売所やマルシェなどに足を運んだ際に探すと、案外扱われていたりする。ルタバガを栽培している生産者は他にも珍しい種類の野菜を栽培していることが多い。