【自然農】寒冷地の里芋栽培。栽培記録と収穫量、考察【寒冷地】

里芋栽培記録

植え付け

 種芋は地元の種苗店で購入した。品種は土垂をチョイス。1Kgで15個入っていた。昨年は惨敗だった里芋だが、今年はやり方を少し変えてみた。

 里芋は寒さに弱く、霜に当たると枯れてしまう。よって植え付け時期は遅霜のなくなる5月半ばからになる。温かい地域なら4月中には植え付けると言うから驚きだ。

 植え付け方法の詳しい説明は、【自然農】初期生育を確保する為の里芋の芽だし栽培【寒冷地】をご覧頂きたい。気温の上昇が緩やかな寒冷地にはぴったりの方法だと思う。

 芽だししてから植え付けるため、植えてから発芽を待つ必要はない。欠株も減らせて、小面積で栽培したいときにも良い。実際、今年購入した種芋15個の内、発芽したのは13個で芽だしの段階で発芽しなかった種芋を省くことが出来た。

草整理の回数と注意点

 植え付け後の管理で一番時間がかかるのがやはり草整理だ。

 ノーマルチなため、草はばんばん生えてくる。里芋は上に伸びるタイプの作物なのである位程度背が伸びれば、草には負けなくなる。寒冷地では気温がなかなか上がらず、里芋に最適な気温になるまでなかなか時間が掛かる。やっと平均気温が20度を超えるころに梅雨に入るため、ここまでは草に負けやすい。草丈が並ばないうちに草整理に入る。

 草刈りは合計三回、定植から2週間後の6月9日、さらに2週間後の6月27日、土寄せも同時に行った8月6日だった。時間は全部合わせて1時間程度でささっと刈ってしまえる。この程度の面積なら簡単だ。

 梅雨が明けると気を付けないといけないのが乾燥だ。里芋は水田でも育つくらい、乾燥を嫌う。夏の直射日光が株元に当たるとどんどん乾燥してしまい、生育が鈍ってしまう。
 そのため、梅雨が明ける頃までに株元に厚く草を敷いておく。枯れた状態で5cm以上は敷いておきたい。草マルチの保湿効果は優れており、1週間ほど雨が降らなくとも、湿り気を保ってくれる。

土寄せ

 里芋栽培で重要になるのが土寄せだ。植え付けた種芋の上に親芋がつき、その周りに子芋が付くため、土寄せをしないと芋が地表に出てしまい、緑化してしまう。食味も収量も落ちるため、土寄せはした方が良い。

 私たちは不耕起で草生栽培を基本にしているため、土寄せといった土を大きく動かす作業が苦手だ。そこで今年は不耕起でもやりやすい土寄せ方法を考えてみた。【自然農】おいしい里芋を収穫するための土寄せのやり方【不耕起】を参照。

 土寄せの際に草マルチをよけて行ったため、手間がかかる。枯れている草であれば土に埋めても良ければ、埋めてしまって再度草マルチをする方が早く出来る。

収穫

 里芋の収穫時期は葉が黄変し、少し垂れてきたところというのがセオリーのようだ。それを目安に収穫タイミングを見計らっていたが、イマイチ分からなかった。

 最初にも述べたが、里芋は寒さに弱い。霜に当てるとすぐに地上部が枯れ、地中の芋も腐りやすくなってしまう。そこで、里芋の外観ではなく、気温と天気を目安に収穫日を決めた。

 ここ最近、一気に冷え込みが深くなり、最低気温が一桁の日も増えてきた。最低気温が4度を下回ると霜が降る可能性がある。私たちの住む町では10月18日に霜が降る可能性があるため、10月16日に全て収穫した。幸い天気は数日間晴れが続き、10月17日は雨予報のため、ここがベストだと思う。

221004 背丈くらいになった里芋
葉っぱがかなり大きいのが分かる

 まず、地上部の茎葉を10cmほど残して刈り取る。そして、株の中心から30cm離れた位置にスコップで切り込みを入れている。ぐるりと一周したら株を掘りあげる。スコップで芋を傷つけないように注意する。

221015 里芋収穫 茎を切る
茎を10cmくらい残して刈り取る

 ここの圃場の土は粘土質で、掘りあげた株からなかなか土がほぐれずに大変だった。掘りあげる所までにして、一晩そのままにし、翌日10時頃から再度ほぐすと比較的簡単に土を落とすことが出来て楽だった。

221016 掘って一日放置
掘りあげて一晩放置した

 掘りあげたときにできる穴は、土をほぐし、芋を取り分ける際に埋め戻しておく。軽く凸凹を均し、茎葉や刈り草でむき出しの土がなるべく減る様にマルチして完了だ。

収穫後の後処理と保管方法

すぐに食べる場合

 収穫した里芋は土をできるだけ圃場で落とした。土は外に持ち出すともったいない。掘りあげた後数十分直射日光にさらしておくと、土が乾き落としやすくなる。

 さて、この状態ではまだ種芋と親芋、子芋孫芋は繋がっている。ここからはその後どのようにしたいかで変わってくる。

 まずすぐに食べる分は全てバラバラに分解し、水で洗ってしまう。水で洗った後は傷みやすくなるため、1週間を目途に食べきるのが良い。もし、沢山ある場合は茹でてから冷凍しておくとよい。食味や食感がそこまで落ちる事無く1ヶ月くらいは保存できる。解凍すればすぐに料理に使えるのも良い。

長期保存(春まで)する場合

 私たちは自給のために野菜を作っている。中でも、冬は寒すぎて露地では野菜が殆ど育たないため、夏や秋に収穫して置いて、できるだけ長く食べていきたい。そのためにはいかに長期間、美味しく保存できるかが最重要ポイントとなる。

 里芋は上手に保存すれば春先まで食べ続けられるようだ。私たちもできるだけ長く里芋をいただけるよう、保存したい。

 一番確実なのは地面に50~80cmほどの深さの穴を掘り、里芋を埋める方法だ。真冬でも土の中は温度が一定で、深ければ外気温の影響を受けにくくなるからだ。
 やり方は簡単で、畑のすみや庭に50~80cmの穴を掘り、底に里芋を置く。このとき芋はバラさずに掘りあげたまま入れる。外してしまうと、切り口から雑菌が入り、腐りやすくなると言われている。
 土を戻し、雨水が入らない様にビニールシートやトタンで蓋をして完成だ。これで春先まで保存できる。
 しかし、この方法は関東以西の温かい地域でないとできない。私たちの住む長野県では難しい。1月に入ると、土はカチカチに凍り掘りだす事もできない。そもそもこの方法では食べたいときに掘りだすのがとても大変だ。来年の種芋用に保管するのは良い方法かもしれない。

 そこで今回は寒冷地向けに室内で春まで保管できる方法で収獲した里芋を保管することにした。一つ一つばらした里芋を新聞紙で包み、段ボールに入れて、気温8~12度に保たれる場所に置くと言うものだ。
 これなら、食べたいときにすぐに取り出すことができるし、穴を掘る必要もない。塊をばらす手間はあるが、どうせ食べるときにはばらさないといけないのだから問題ない。バラして一つ一つになるのでスペースも比較的少なくて済む。

 この方法はYoutubeで御自身の家庭菜園技術を公開していらっしゃる次郎丸⦅畑⦆チャンネルさんの【里芋の保存方法】里芋の親芋 来年の種芋に食用に 保存のやり方(保存方法)という動画を参考にした。

 ポイントは洗った芋でもしっかりと乾燥させれば春まで保存できると言うことだ。一般的に里芋は洗ってしまわず、土付きの方が長持ちすると言われている。しかし、洗った後天日干しをして表面を完全に乾かせば、問題なく保存できるとの事。
 実際にやってみて、春になったら報告したいと思う。

収穫量と考察

 最後に気になる収穫量をまとめておきたい。
 実は里芋も半分を垂直仕立てにし、残りは通常通り栽培する比較をしておいた。その他の栽培管理は一切同じで、垂直仕立ての有無だけが異なる。

 里芋の垂直栽培は二本の紐で挟み込む形で葉っぱが広がらないようにする。一応、やっては見たが垂直仕立ての効果が出るほどちゃんとできたは分からなかった。結びなおしもほとんど行っていないため、正しく仕立てられていないかもしれない。

 生育状況はというと、垂直仕立ての有無で生育に差は見られなかった。生育の差は排水性の差によるものではないかと考えている。【手作業】縦穴掘りで驚愕の排水性向上! 高価な機械もいらない【実体験あり】で紹介しているように、同じ畝でも排水性が高まったと考えられる場所は里芋の成長が良かった。一株一株収量を記録したわけではないので体感にはなるが、掘りあげて土がすぐにほぐれる排水性が良い場所の株からは多めに収穫出来た気がしている。

 収穫量は垂直仕立てにした6株と、していない5株をまとめてそれぞれ計測した。

  合計 一株当たり
垂直仕立て・有 12.7 kg(6株) 2.1 kg
垂直仕立て・無 14 kg(5株) 2.8 kg

 結果は期待に反して、垂直仕立てにしていない方が一株当たりの収量が多かった。
 今年の垂直仕立ては正解ではないし、基本放置していたため、来年再度検証したいと思う。垂直仕立てにしていない区画の方が排水性が良く、土も締まっていなかったためその影響もあるのかもしれない。

 いずれにしても、無肥料・無農薬で十分な収穫を得ることが出来たと思う。今年出来た親芋や子芋から良い物を選抜し、来年の種芋にしたい。里芋も自家採種することで良く育つようになるらしいので楽しみだ。

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