【自然農】8月に実際に行った作業とその考察【寒冷地】

お盆を過ぎたら一気に秋になった

 「暑さも寒さもお盆まで」という言葉通り、ここ長野県ではお盆を過ぎてから季節がすっかり秋になった。なかなか暦通りにならない昨今の気候だが、今年は割と素直な天気だ。
 関東や関西、九州では残暑とも言えない強烈な暑さが続き、東北北部を中心に大雨が続いていたが、私たちの地域では穏やかな1ヶ月だった。前半こそ、雨が少なかったがお盆を過ぎるにつれ、雨が適度に降った。気温もすっかり落ち着き、30℃を超える日は数えるくらいだった。
 これを書いている8月下旬は朝晩の冷え込みが強くなり、寒く感じる日も増えた。雨の日は最高気温も25度に届かないなど、草も勢いも落ち着き野良仕事がはかどる天気だ。220823 8月の畑の様子

 気候は野良仕事向きだが、畑での作業も落ち着いてしまい、時間に追われる事無くゆったりとしたスケジュールで作業できた。雨が少なかったのもあり、種まきも良く進んだ。とはいえ、3年目にしてここでの種まき時期を掴んできたこともあり、良い時期に秋冬野菜を植えることが出来た。

アブラナ科を中心に秋冬野菜を播く

 7月は成長が遅く、比較的虫に食われにくい人参、ビーツの種まきを先んじて行った。8月は特に虫に食われやすく、無農薬では栽培が難しい大根、小松菜などのアブラナ科野菜の種まきをした。8月の終わりには霜に当ててから収穫するために小松菜やルッコラ、ほうれん草などの耐寒性が高いものを多く播いた。

 なるべく長く収穫でき、間引き菜も楽しむために同じ野菜を2,3回に分けて、筋蒔きメインで種まきした。栽培品目は大根(長形、紅心、ミニ)、かぶ、ルタバガ、小松菜、高菜、ルッコラ、青梗菜、春菊、ほうれん草とたくさんだ。これらは基本的に密植気味に混植栽培し、同じ畝に植えることでコンパニオンプランツ的な共生を狙った。

 大根は一般的な長い物を20m分。おでんにしたり、乾燥して長期保存し、冬場の自給のために多めに栽培した。種は一昨年自家採種した信州地大根を播いた。同時期に霜に当てると甘みが増す、珍しいルタバガという野菜も播いた。他の葉物やカブ、紅心大根を比べて栽培期間が長いため、8月17日に播種した。
 すでに大根は本葉5枚ほどとなり、間引き菜として少しずつ食べている。大根の葉茎は栄養満点で美味しいのだが、市場には出回らないため自家栽培するとたくさん食べられる。

 その後8月いっぱいまで残りのカブや小松菜などを播いた。カブや紅心大根、はつか大根は霜にあてると日持ちしないため、早めに。小松菜、ルッコラ、ほうれん草などはむしろ霜にあてると食味が向上するため、なるべく遅くに播いた。気温が下がってきたと言えど、まだ虫の活動は活発なため、葉物は遅めに播いた方が虫食いが減るだろう。

220822 草を真ん中に寄せて筋を出す
畝の中央に草を寄せる
220904 8月22日播きのかぶ
8月22日播種のかぶと人参

 秋は草の勢いもかなり落ち着いて来る。7月播きのビーツ、人参はまだ夏草が発芽してきていたが、8月中旬にもなるとハコベなどの冬草が目立ってくる。成長が遅く、広葉の草が多いので草整理も簡単だ。今のところほとんど草取りはしていないため、9月に入ったらぼちぼち草整理をして行く。

夏野菜のお手入れ

 頭の中は秋冬野菜でいっぱいだが、畑の中は夏野菜だらけだ。これから長ければ霜が降りる10月下旬まで約2カ月間収穫を続けられる。そのため、草刈りばかりで整理の追いついていない夏野菜のお手入れを行った。

 基本的に真夏はナス、ピーマン、トマト、オクラなどは放任で脇芽欠きや摘葉はほとんどしていなかった。私たちが今年から実践している垂直縛り栽培は脇芽を欠かないこともり、つい放置してしまっていた。

 だが、気温が下がり夏野菜も疲れてくるこの時期になったら、ある程度の整枝と摘葉をして株を元気に保つことが収穫を長く続ける秘訣だろう。

 完全に放任していたピーマンは枝が増えすぎて、実の太りが悪くなっていたため、数日に分けて脇芽を減らし、いびつな果実を落とし、下向きになり役目を終えた下葉を欠いた。こうすることで残った枝や果実に栄養を回し、養分を効率よく使ってもらう。

鉄タンニンの散布

 先日ブログで紹介した鉄タンニン。効果を実感し始めているので今回はほとんどの野菜に散布している。(【鉄資材】鉄タンニンを畑に使ってみた【土壌改良・生育促進】)

 ピーマンには全ての株に散布した。二倍に希釈した液を一株1Lほど散布しただけだが、驚くほど食味が良くなった。これまでは甘みが少なく、青臭さが強く感じられていた。それはそれでピーマンらしい濃厚な味だと思っていた。しかし、鉄タンニンを散布してから3日後くらいに収穫したピーマンは明らかに味が変わっていた。

 まず甘味が出た。そして、ピーマンの香りはそのままに青臭さが全く感じられなくなっていた。実は今まで現代農業などで書かれていた食味向上の声には疑問を持っていたのだが、いざ自分で実感してしまうと認めざるを得ない。ここまで美味しくなるとは思っていなかった。

 やはり、えぐみや臭みが消えて甘みが増すのは本当のようだ。今回気になっているのはビーツの味がどのくらい変わるのかだ。ビーツは生で食べると独特の土臭さがあり、それが良いと言う人もいるのだが、鉄タンニンでこの土臭さが軽減され、甘みが増すとしたらビーツを食べるのが楽しみになるだろう。

 鉄タンニンの良さは十分実証できたため、今作ではほとんどすべての野菜に播いている。コストもほぼかからないに等しいため、経済的な負担はない。無施肥、無肥料での栽培を後押ししてくれる資材になることを期待している。

 散布は播種後とそれから1か月後の二回を予定している。基本的には回数はいらないようだ。二回散布すれば十分だろう。

ビーツの垂直縛り栽培

 鉄タンニンと同じくらい、無肥料栽培下で効果を期待しているのが道法スタイルの垂直縛り栽培だ。

 夏の実物野菜ではどの野菜でも分かるくらいの差が表れた。ピーマンはつやがよくなり、トマトでは割れが減り、実付きも良かった。ナスに関しては生育は良かったものの、丸ナスとの相性は悪かったが。

220828 垂直縛りのトマト
垂直縛りのミニトマト

 秋冬の根菜や葉物でも垂直栽培は同様に有効な栽培法だと、指南書には書かれている。そこで一部の野菜で引き続き実験してみることにする。
 根菜や葉物は栽培数が多く、一株一株縛っていくのは労力が掛かり過ぎる。そこで支柱を立てて、二本の紐で挟み込むようにして垂直に仕立てる方法が紹介されている。

 ビーツで半分ほど垂直栽培にしてみた。仕立て方は支柱に二本の紐を結んでいくのではなく、一本の紐ですべての株を囲むようにした。結び目を長さ調節可能な結び方にし、緩んだり、生長につれてきつくなったときに調節できるようにした。


 結び方は宮崎県のキュウリ農家 ゆたか農園さんのホームぺージを参考にさせて頂いた。(→ひもの結び方がめっちゃ簡単で便利!!/ゆたか農園)
 この結び方が意外とよくて楽に沢山の株を垂直に仕立てられた。紐がたるんでくるので支柱の間に、ひもの支えとなるように杭を打っておいた。
 この方法で葉物や根菜の垂直縛り栽培を実践して行く。

秋冬野菜がしっかり育ってくれるように。

 秋は暑さも落ち着き、草の伸びを穏やかになる。それに甘えず、野菜が気持ち良く成長できるようにこまめな管理をしたい。特に背丈が低い野菜が多いので、草に埋もれない様にすることを心がける。

 まだまだ夏の名残が感じられる9月。季節を感じながら畑と、土と向き合いたい。

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