【DOHO STYLE】垂直仕立て栽培の結果・感想【無肥料栽培】

垂直仕立て栽培とは

 『垂直仕立て栽培』は道法正徳さんが提唱する、植物ホルモンを最大限生かして無肥料でも収量・食味ともに優れた野菜が育つ栽培法だ。詳しくは【DOHO STYLE】垂直仕立て栽培は無肥料栽培で生きる【道法正徳】をご覧頂きたい。

 今年、様々な品目の野菜で垂直仕立て栽培を実践してきた。定番のナス科野菜や一工夫が必要な根菜まで通常栽培と比較する形で栽培してみた。

各野菜の実施記録

ミニトマト・トマト

 一番成果が分かりやすかったのはミニトマトだ。昨年、栽培したミニトマトは40株近く植えて収穫できたのは数える程度という大失敗だった。(→【自然農】2021年のミニトマトが全然できなかった理由とその対策【不耕起・無肥料】)その問題点を改善し、今年の栽培をスタートさせた。

 まず、栽培した場所は昨年と全く同じだ。さらに、いわゆる肥料や堆肥は一切投入していない。草を刈って敷く事を繰り返し、冬になってもそのままにしておいた。無肥料・無農薬・不耕起・草生で三年目の土だ。
 品種に関しても、同じものを栽培した。2020年の栽培で自家採種したものだ。2021年のトマト栽培ではほとんど実が穫れなかったので自家採種も行わなかったからだ。

 その他マルチなどの資材も一切使用していない。今年変わったのは育苗期間と垂直仕立ての有無だけということになる。

 今回紹介する事例は、40株近くある中で15株を無作為に垂直仕立てにしたものだ。しかも、交配種を自家採種した雑種二代目のため、種によっても生育にかなりばらつきがでる。それを考慮したうえで聞いてほしい。

 脇芽は一切とらず、枝が広がってきたらあさひもで縛り付けた。しばらくすると下の方から脇芽を伸びてくるため、それも支柱に縛り付けていく。

 一番良く育った株はぐんぐん伸びて、背丈を超えるくらいまで育った。脇芽を取らないと茂りに茂って、収拾がつかなくなるイメージがあるが、無肥料のせいか脇芽の数は10本程度に落ち着いていた。

220809 垂直に縛ったトマト
8月9日の様子 葉っぱが均等に広がっているのが分かる

 垂直仕立て栽培は植物ホルモンのバランスが整い、実付きも良くなると言われている。花付きも実付きも良く、段数が上になっても一つの果房に10個近くの実がついていた。追肥をせずとも最後の果房まで実が付いた。
 霜が降るまでの間、最後まで花が途切れることなく、収穫できた。脇芽をとらないため、収穫段数は10段を超えた。

 味に関していえば、垂直仕立てにして、良く育った株はそうでない株に比べて美味しくなったと感じた。一番良く育った株は特に甘く、実割れも少なかった。真夏や秋口に雨が沢山降っても殆ど割れずに完熟するまで収穫を待てたのも良かった。

縛りやすいナス・縛りにくいピーマン

 次は垂直仕立て栽培ではっきりと管理のしやすい、しにくいが分かれたナスとピーマンだ。

 ナスは元々脇芽が少なく、無肥料のためさらに発生が抑えられていたのもあってか、垂直に縛っていく作業がやりやすかった。茎もしなりやすく、15cmおきにぐるりと縛っていくことが出来て、誘引が追いつかなくて大変と言うことは無かった。

220714 垂直に縛ったナス
枝を垂直に縛る
221018 栽培を終えた垂直縛りナス
栽培終了時のナス。葉っぱを落としてみた。

 一方、ピーマンは垂直に縛っていくのがとても大変だった。ピーマンが脇芽がとても多く、全ての枝が二本、三本に分かれていく。そのため、花の咲き始めは良いが、3段ほど花が付く頃には枝が多すぎて縛れなくなってしまった。
 垂直仕立て栽培ではホルモンバランスが乱れるため、脇芽が欠かないことになっている。しかし、ピーマンに関しては茂りすぎてしまうため、最初の2か月間は脇芽が12本くらいになるように脇芽を2,3日に2,3本ずつ脇芽を欠いた。枝を整理すると、まとまりやすく縛りやすくなった。

220731 無整枝のピーマン
7月下旬のピーマン。無整枝の状態。
220731 整枝して縛ったのピーマン
脇芽を欠いて、垂直に縛りなおした。

 これは改善しないといけないと思ったのが、ナスの実が傷ついてしまうことだ。今年栽培したのは丸ナスだったのだが、縛った枝についたナスが支柱や枝に擦れて傷になってしまうことが多かった。普通であれば斜めの枝にぶら下がっているから良いのだろう。。
 通常の長ナスでは垂直に縛っても、傷にならず綺麗なナスが採れるらしい。丸ナスは玉が膨らんでいくから擦れやすいのだろう。

 ピーマンに関しても、垂直に縛ると内側がもさもさになって、摘果や収穫がやりづらくなってしまう。枝に挟まってしまうと大きくなる時に食い込んでしまって、形がいびつになってしまうことがあった。さらに奥に手が届かず、見通しも悪いため、変形果や受精不良果を摘果するのが遅れてしまった。
 摘果の遅れは樹勢を落とし、病気にもなりやすくなるため、こまめに手入れするのが大切だ。もう少し時間を掛けて、丁寧に縛っていく必要があるだろう。

里芋

 里芋のような根菜も垂直仕立てにすると収量があがり、良く育つようになる。そこで今年栽培した里芋のうち、半分を垂直にしてみた。
 やり方は、支柱を両端に立てて、二本の紐で挟み込むようにして葉を立たせた。こうすることで、葉っぱが広がらず、通路を歩きやすくする効果もある。葉も風で振られたり、歩く際に当たったりして痛むことがなく、病気にもなりにくいと言われている。

220806 里芋垂直縛り前
垂直誘引前の里芋。
220806 里芋垂直縛ri
黒い紐で挟んで垂直に仕立てた

 今年は垂直に縛るのが上手くいかなかったのかもしれないが、生育が良くなったり、収量が増えたという実感はなかった。それよりも土質にムラがあり、その生育差が良く出たと思っている。

 里芋の垂直縛りに関しては、来年も試してみたい。葉っぱが広がり過ぎず、管理がしやすい点は良いと思う。

根菜類

 根菜類は株数が多い為、二本の紐で挟み込むようにして葉っぱを立たせる。こうすることで虫食いが減り、カブやダイコンは肥大が良くなると言われている。

 試しに秋まきの根菜類で垂直仕立てにしてみた。セオリー通り、二本の紐で挟み込んでみた。紐を張ったときはきれいに立っているが、数日経つとひもが緩んでしまうため、誘引できなくなってしまった。
 使った紐はバインダー用の麻紐。3本撚りの紐だが、少し緩めに編まれているのか、すぐに緩んでしまうようだ。同じ麻紐でも6本撚りはきつめなため、緩みにくいと思う。来年はそれを使って、誘引に挑戦したいと思う。

 垂直縛りの効果としては、若干肥大が良かったように思えた。里芋同様、しっかりとした比較になっていないため主観になってしまうが、垂直にしている方が生育が早く、傷もない綺麗な物が穫れたと思う。

 とにかく一株ずつ縛るのは現実的では無いため、一列まとめて縛ることができる方法を確立したい。葉っぱを垂直にすることで風通しも良くなって病気が減り、草取りもやりやすいため今後もやってみたいと思う。

来年に向けて

 垂直仕立て栽培は無肥料で十分な収量が穫れて、味も良くなると言う魔法のような栽培法だ。今年、実際に色々な野菜で比較してみて、今後わたしたちの食糧生産を手助けしてくれる可能性があると確信している。

 確かに縛るのは慣れないと難しく、時間が掛かってしまうこともある。しかし、畑に行ったときに一通り見まわるついでに縛ってやれば、縛るのが遅れて大変なことにはならない。結果的に通常栽培よりも良品率も上がり、味も良くなるなら多少の手間を惜しまずやって行こうと思う。

 逆に垂直仕立てにするメリットを感じない作物もある。鷹の爪は分枝を繰り返し、花を咲かせていくが、垂直に縛ろうが縛らなかろうが最終的な収穫、生育に差は感じられなかった。
 人参もうちの畑では垂直に仕立てるメリットはなさそうだ。人参に関しては品種選びが上手くいっており、そもそも生育が良く、綺麗で美味しい人参が無肥料・無農薬でも栽培できているため、垂直仕立てにはしないつもりだ。

 今年はできなかったが、やってみたいものとしては玉ねぎとニンニクがある。どちらも大きなものを収穫するには肥料が欠かせないと言われており、無肥料・無農薬では難しい野菜の一つだ。
 垂直仕立て栽培は無肥料で真価を発揮する栽培法だ。一般的には無肥料では育たないと思われている野菜は垂直仕立て栽培を試してみる価値ありだ。

【自然農】寒冷地の里芋栽培。栽培記録と収穫量、考察【寒冷地】

里芋栽培記録

植え付け

 種芋は地元の種苗店で購入した。品種は土垂をチョイス。1Kgで15個入っていた。昨年は惨敗だった里芋だが、今年はやり方を少し変えてみた。

 里芋は寒さに弱く、霜に当たると枯れてしまう。よって植え付け時期は遅霜のなくなる5月半ばからになる。温かい地域なら4月中には植え付けると言うから驚きだ。

 植え付け方法の詳しい説明は、【自然農】初期生育を確保する為の里芋の芽だし栽培【寒冷地】をご覧頂きたい。気温の上昇が緩やかな寒冷地にはぴったりの方法だと思う。

 芽だししてから植え付けるため、植えてから発芽を待つ必要はない。欠株も減らせて、小面積で栽培したいときにも良い。実際、今年購入した種芋15個の内、発芽したのは13個で芽だしの段階で発芽しなかった種芋を省くことが出来た。

草整理の回数と注意点

 植え付け後の管理で一番時間がかかるのがやはり草整理だ。

 ノーマルチなため、草はばんばん生えてくる。里芋は上に伸びるタイプの作物なのである位程度背が伸びれば、草には負けなくなる。寒冷地では気温がなかなか上がらず、里芋に最適な気温になるまでなかなか時間が掛かる。やっと平均気温が20度を超えるころに梅雨に入るため、ここまでは草に負けやすい。草丈が並ばないうちに草整理に入る。

 草刈りは合計三回、定植から2週間後の6月9日、さらに2週間後の6月27日、土寄せも同時に行った8月6日だった。時間は全部合わせて1時間程度でささっと刈ってしまえる。この程度の面積なら簡単だ。

 梅雨が明けると気を付けないといけないのが乾燥だ。里芋は水田でも育つくらい、乾燥を嫌う。夏の直射日光が株元に当たるとどんどん乾燥してしまい、生育が鈍ってしまう。
 そのため、梅雨が明ける頃までに株元に厚く草を敷いておく。枯れた状態で5cm以上は敷いておきたい。草マルチの保湿効果は優れており、1週間ほど雨が降らなくとも、湿り気を保ってくれる。

土寄せ

 里芋栽培で重要になるのが土寄せだ。植え付けた種芋の上に親芋がつき、その周りに子芋が付くため、土寄せをしないと芋が地表に出てしまい、緑化してしまう。食味も収量も落ちるため、土寄せはした方が良い。

 私たちは不耕起で草生栽培を基本にしているため、土寄せといった土を大きく動かす作業が苦手だ。そこで今年は不耕起でもやりやすい土寄せ方法を考えてみた。【自然農】おいしい里芋を収穫するための土寄せのやり方【不耕起】を参照。

 土寄せの際に草マルチをよけて行ったため、手間がかかる。枯れている草であれば土に埋めても良ければ、埋めてしまって再度草マルチをする方が早く出来る。

収穫

 里芋の収穫時期は葉が黄変し、少し垂れてきたところというのがセオリーのようだ。それを目安に収穫タイミングを見計らっていたが、イマイチ分からなかった。

 最初にも述べたが、里芋は寒さに弱い。霜に当てるとすぐに地上部が枯れ、地中の芋も腐りやすくなってしまう。そこで、里芋の外観ではなく、気温と天気を目安に収穫日を決めた。

 ここ最近、一気に冷え込みが深くなり、最低気温が一桁の日も増えてきた。最低気温が4度を下回ると霜が降る可能性がある。私たちの住む町では10月18日に霜が降る可能性があるため、10月16日に全て収穫した。幸い天気は数日間晴れが続き、10月17日は雨予報のため、ここがベストだと思う。

221004 背丈くらいになった里芋
葉っぱがかなり大きいのが分かる

 まず、地上部の茎葉を10cmほど残して刈り取る。そして、株の中心から30cm離れた位置にスコップで切り込みを入れている。ぐるりと一周したら株を掘りあげる。スコップで芋を傷つけないように注意する。

221015 里芋収穫 茎を切る
茎を10cmくらい残して刈り取る

 ここの圃場の土は粘土質で、掘りあげた株からなかなか土がほぐれずに大変だった。掘りあげる所までにして、一晩そのままにし、翌日10時頃から再度ほぐすと比較的簡単に土を落とすことが出来て楽だった。

221016 掘って一日放置
掘りあげて一晩放置した

 掘りあげたときにできる穴は、土をほぐし、芋を取り分ける際に埋め戻しておく。軽く凸凹を均し、茎葉や刈り草でむき出しの土がなるべく減る様にマルチして完了だ。

収穫後の後処理と保管方法

すぐに食べる場合

 収穫した里芋は土をできるだけ圃場で落とした。土は外に持ち出すともったいない。掘りあげた後数十分直射日光にさらしておくと、土が乾き落としやすくなる。

 さて、この状態ではまだ種芋と親芋、子芋孫芋は繋がっている。ここからはその後どのようにしたいかで変わってくる。

 まずすぐに食べる分は全てバラバラに分解し、水で洗ってしまう。水で洗った後は傷みやすくなるため、1週間を目途に食べきるのが良い。もし、沢山ある場合は茹でてから冷凍しておくとよい。食味や食感がそこまで落ちる事無く1ヶ月くらいは保存できる。解凍すればすぐに料理に使えるのも良い。

長期保存(春まで)する場合

 私たちは自給のために野菜を作っている。中でも、冬は寒すぎて露地では野菜が殆ど育たないため、夏や秋に収穫して置いて、できるだけ長く食べていきたい。そのためにはいかに長期間、美味しく保存できるかが最重要ポイントとなる。

 里芋は上手に保存すれば春先まで食べ続けられるようだ。私たちもできるだけ長く里芋をいただけるよう、保存したい。

 一番確実なのは地面に50~80cmほどの深さの穴を掘り、里芋を埋める方法だ。真冬でも土の中は温度が一定で、深ければ外気温の影響を受けにくくなるからだ。
 やり方は簡単で、畑のすみや庭に50~80cmの穴を掘り、底に里芋を置く。このとき芋はバラさずに掘りあげたまま入れる。外してしまうと、切り口から雑菌が入り、腐りやすくなると言われている。
 土を戻し、雨水が入らない様にビニールシートやトタンで蓋をして完成だ。これで春先まで保存できる。
 しかし、この方法は関東以西の温かい地域でないとできない。私たちの住む長野県では難しい。1月に入ると、土はカチカチに凍り掘りだす事もできない。そもそもこの方法では食べたいときに掘りだすのがとても大変だ。来年の種芋用に保管するのは良い方法かもしれない。

 そこで今回は寒冷地向けに室内で春まで保管できる方法で収獲した里芋を保管することにした。一つ一つばらした里芋を新聞紙で包み、段ボールに入れて、気温8~12度に保たれる場所に置くと言うものだ。
 これなら、食べたいときにすぐに取り出すことができるし、穴を掘る必要もない。塊をばらす手間はあるが、どうせ食べるときにはばらさないといけないのだから問題ない。バラして一つ一つになるのでスペースも比較的少なくて済む。

 この方法はYoutubeで御自身の家庭菜園技術を公開していらっしゃる次郎丸⦅畑⦆チャンネルさんの【里芋の保存方法】里芋の親芋 来年の種芋に食用に 保存のやり方(保存方法)という動画を参考にした。

 ポイントは洗った芋でもしっかりと乾燥させれば春まで保存できると言うことだ。一般的に里芋は洗ってしまわず、土付きの方が長持ちすると言われている。しかし、洗った後天日干しをして表面を完全に乾かせば、問題なく保存できるとの事。
 実際にやってみて、春になったら報告したいと思う。

収穫量と考察

 最後に気になる収穫量をまとめておきたい。
 実は里芋も半分を垂直仕立てにし、残りは通常通り栽培する比較をしておいた。その他の栽培管理は一切同じで、垂直仕立ての有無だけが異なる。

 里芋の垂直栽培は二本の紐で挟み込む形で葉っぱが広がらないようにする。一応、やっては見たが垂直仕立ての効果が出るほどちゃんとできたは分からなかった。結びなおしもほとんど行っていないため、正しく仕立てられていないかもしれない。

 生育状況はというと、垂直仕立ての有無で生育に差は見られなかった。生育の差は排水性の差によるものではないかと考えている。【手作業】縦穴掘りで驚愕の排水性向上! 高価な機械もいらない【実体験あり】で紹介しているように、同じ畝でも排水性が高まったと考えられる場所は里芋の成長が良かった。一株一株収量を記録したわけではないので体感にはなるが、掘りあげて土がすぐにほぐれる排水性が良い場所の株からは多めに収穫出来た気がしている。

 収穫量は垂直仕立てにした6株と、していない5株をまとめてそれぞれ計測した。

  合計 一株当たり
垂直仕立て・有 12.7 kg(6株) 2.1 kg
垂直仕立て・無 14 kg(5株) 2.8 kg

 結果は期待に反して、垂直仕立てにしていない方が一株当たりの収量が多かった。
 今年の垂直仕立ては正解ではないし、基本放置していたため、来年再度検証したいと思う。垂直仕立てにしていない区画の方が排水性が良く、土も締まっていなかったためその影響もあるのかもしれない。

 いずれにしても、無肥料・無農薬で十分な収穫を得ることが出来たと思う。今年出来た親芋や子芋から良い物を選抜し、来年の種芋にしたい。里芋も自家採種することで良く育つようになるらしいので楽しみだ。

【自然農】無肥料・無農薬でもアブラナ科野菜は育つ【寒冷地】

自然農で栽培する難易度の高い野菜

 3年間、自然農で野菜を栽培してきて、様々な種類の野菜を栽培してきた。
 その中でも栽培しやすいもの、しにくいものがある。それは養分をどれだけ必要とするか、虫に食べられやすいか、病気になりにくいか、などで変わってくる。例えば、マメ科は自然農では栽培しやすい。それはマメ科に共生する根粒菌が窒素を空気中から固定し、養分を確保しやすいからだ。大豆なんかはかなりよくできたし、今年初めて栽培したインゲン豆も鈴なりだった。

 またナス科は育てにくい物が多いのだが、唐辛子はよくできた。苗作りの段階で、アブラムシが多少着くだけでその後は病虫害に悩まされる事無く収穫できた。毎年よくできている。

 自然農で育てにくいのはアブラナ科、特に小松菜や白菜、キャベツなどの葉物野菜だ。自然農でなくとも、無農薬栽培でも難しく、夏植え秋採りの一般的な作型は無農薬はほぼ不可能だと言われている。

 しかし、今年私が栽培している小松菜や白菜は多少の虫食いがあれど、良く育っている。今回はそれらを中心に秋作のアブラナ科類の生育状況をお伝えしていく。

アブラナ科でも根菜は良く出来る

 アブラナ科の中には主に葉を食べる葉菜類と肥大した根を食べる根菜類がある。
 大根、かぶなどの根菜類は比較的栽培しやすいと感じている。多少葉を食べられても根っこには影響がないし、養分を吸収する力も大きいのだろう。

 今年は自家採種した信州地大根と北欧の野菜、ルタバガを中心に、はつか大根や紅心大根などのミニ系、カブも二品種栽培している。どれも良く育っている。やはり、気温が高い、8月中頃に播いたものは虫食いも目立つが、9月になってから播種した野菜は基本的に食害はない。

 特にはつか大根は生育が早い事もあり、とてもきれいにできた。発色、形ともによく虫食いもあまり目立たない。品種は「カラフルファイブ」で固定種である。一般的に固定種は無肥料・無農薬栽培に適しているものが多く、この品種が良く出来るのはそれもあるのかもしれない。

220914 はつか大根
虫食いもない
220914 はつか大根収獲
収獲したはつか大根

 カブは大根に比べて葉っぱが柔らかく、虫食いは比較的目立っている。それでも生育が鈍るほど食べられるわけではなく、実は肥大が始まっているため無事収穫に至ると思っている。

 また、うちの畑は基本的に不耕起で、長い所では3年間不耕起となっている。大根を栽培している畝も最初に耕された状態で畝を立てて以来、一切耕していない。
 一般的に大根は「大根十耕」という言葉があるように、深く何回も耕して、ふかふかの土にしないと真っ直ぐ育たないとされている。しかし、うちの大根は不耕起の土でも、真っ直ぐ育っている。間引きの際に根っこも状態を見てみたが、又根になっている株はほぼなかった。無肥料・無農薬に加えて不耕起でも根菜類は問題なく育ってくれることを証明できるなと思っている。

無農薬での白菜、小松菜類栽培は難しい

 一方、一般的な葉物野菜の小松菜はかなり葉を食べられてしまった。それでも、無農薬栽培でよくある、葉脈以外はまるまる食べられていると言うわけではない。新しい葉っぱが出てきているし、大きくなってはいる。

 特に難しいと言われているのは白菜だ。キャベツなどの結球野菜は無農薬ではほぼ不可能だと言われている。結球にも多くの肥料が必要とされているらしく、無肥料では結球しないとされている。そもそも、キャベツや白菜は種まきから収穫までの期間が長く、その間に病害や食害のダメージが蓄積してしまうのだと思う。

220915 白菜
白菜とサニーレタスの混植

 しかし、実践者の事例を見ると、無肥料・無農薬栽培で白菜の栽培を成功されている人はいるようだ。今回も「島の自然農園」さんの白菜栽培の経過観察の動画(【自然農】白菜成長記録 理想の白菜の育ち方 2021年12月28日【natural farming】)をリンクされて頂く。慣行農法の出荷サイズ(2~4kg)まで育つのはなかなか難しいだろうが、虫食いも最小限に抑え、小玉サイズに成長した白菜を見たことがある。

 なぜ、虫食いが少なく済んでいるのか。そして、消毒を一回もせずとも今のところ病気も無いのか。その秘訣はやはり無肥料にあると思っている。
 虫は過剰に植物が吸い上げた肥料分を狙って、食害を起こすと言われている。それは化学肥料の施用にやり、過剰な養分が吸収しやすい形で土にあるからだ。一方、無肥料栽培を続けていくと、周りには養分があまりないため、必要最低限の養分を根っこをしっかりと伸ばしながら集めることになる。
 結果として、無肥料栽培では過剰な、虫の食べたい養分が少なく、根っこも初期にしっかりと張るため、それに応じて地上部も健康に育っているのではないだろうか。自然農、自然栽培実践者の方々も同じようなことを言っている方が多い。

 そして無肥料栽培といえば、垂直仕立て栽培である。垂直栽培なら白菜も無肥料でしっかりと巻くらしい。そろそろ縛れるサイズになってきたため、垂直縛りにして様子を見てみたいと思う。

アブラナ科葉物でも綺麗に育つ品種

 虫に食べられやすいアブラナ科の葉物類だが、中には良く育つものもある。

 小松菜と同時期に播種し、虫食いはほとんどない野菜がある。
 まず一つ目はルッコラ(英名はロケット)だ。ルッコラはアブラナ科の中でも特有のキバナスズシロ属に属し、小松菜やかぶとは別のグループになる。ルッコラには独特のピリ辛な風味があり、時にごまに例えられる。この独特の香り、味で虫が付きづらいのかもしれない。また、比較的品種改良がされていない種類なので自然に近い環境では、虫に発見されにくく育てやすいという面もあるのだろう。

220914 るっこら
ルッコラ。虫食いがない

 もうひとつは高菜だ。うちで栽培しているのは紫系の高菜で、ルッコラ同様ピリ辛な風味が強い。やはり、ピリ辛が強いと虫も好んで食べないのかもしれない。こちらも虫食いがなく、すくすく育っている。

220914 小松菜と高菜
右が小松菜、左が高菜だ


 マスタードに使われるからし菜(マスタードリーフ)やワサビ風味のワサビ菜なども無農薬で育ちやすいと言われている。

無肥料・無農薬は可能性のある農法

 無肥料・無農薬栽培は地球環境に与える負荷がとても少ない農法だ。肥料を使わず、農薬も必要としない代わりに、収量や見た目はどうしても劣ってしまうのが現実だ。

 それでも、野菜の自給を第一目標にするなら無肥料・無農薬栽培は選択肢の一つに成り得る。自分たちの生活の中でうまく循環するからだ。

 一般的に無肥料・無農薬では栽培できないと言われている白菜なども土が出来てくれば、十分食べる事の出来るものが栽培できる。そのことを身をもって証明するために頑張りたいと思う。

【自然農】8月に実際に行った作業とその考察【寒冷地】

お盆を過ぎたら一気に秋になった

 「暑さも寒さもお盆まで」という言葉通り、ここ長野県ではお盆を過ぎてから季節がすっかり秋になった。なかなか暦通りにならない昨今の気候だが、今年は割と素直な天気だ。
 関東や関西、九州では残暑とも言えない強烈な暑さが続き、東北北部を中心に大雨が続いていたが、私たちの地域では穏やかな1ヶ月だった。前半こそ、雨が少なかったがお盆を過ぎるにつれ、雨が適度に降った。気温もすっかり落ち着き、30℃を超える日は数えるくらいだった。
 これを書いている8月下旬は朝晩の冷え込みが強くなり、寒く感じる日も増えた。雨の日は最高気温も25度に届かないなど、草も勢いも落ち着き野良仕事がはかどる天気だ。220823 8月の畑の様子

 気候は野良仕事向きだが、畑での作業も落ち着いてしまい、時間に追われる事無くゆったりとしたスケジュールで作業できた。雨が少なかったのもあり、種まきも良く進んだ。とはいえ、3年目にしてここでの種まき時期を掴んできたこともあり、良い時期に秋冬野菜を植えることが出来た。

アブラナ科を中心に秋冬野菜を播く

 7月は成長が遅く、比較的虫に食われにくい人参、ビーツの種まきを先んじて行った。8月は特に虫に食われやすく、無農薬では栽培が難しい大根、小松菜などのアブラナ科野菜の種まきをした。8月の終わりには霜に当ててから収穫するために小松菜やルッコラ、ほうれん草などの耐寒性が高いものを多く播いた。

 なるべく長く収穫でき、間引き菜も楽しむために同じ野菜を2,3回に分けて、筋蒔きメインで種まきした。栽培品目は大根(長形、紅心、ミニ)、かぶ、ルタバガ、小松菜、高菜、ルッコラ、青梗菜、春菊、ほうれん草とたくさんだ。これらは基本的に密植気味に混植栽培し、同じ畝に植えることでコンパニオンプランツ的な共生を狙った。

 大根は一般的な長い物を20m分。おでんにしたり、乾燥して長期保存し、冬場の自給のために多めに栽培した。種は一昨年自家採種した信州地大根を播いた。同時期に霜に当てると甘みが増す、珍しいルタバガという野菜も播いた。他の葉物やカブ、紅心大根を比べて栽培期間が長いため、8月17日に播種した。
 すでに大根は本葉5枚ほどとなり、間引き菜として少しずつ食べている。大根の葉茎は栄養満点で美味しいのだが、市場には出回らないため自家栽培するとたくさん食べられる。

 その後8月いっぱいまで残りのカブや小松菜などを播いた。カブや紅心大根、はつか大根は霜にあてると日持ちしないため、早めに。小松菜、ルッコラ、ほうれん草などはむしろ霜にあてると食味が向上するため、なるべく遅くに播いた。気温が下がってきたと言えど、まだ虫の活動は活発なため、葉物は遅めに播いた方が虫食いが減るだろう。

220822 草を真ん中に寄せて筋を出す
畝の中央に草を寄せる
220904 8月22日播きのかぶ
8月22日播種のかぶと人参

 秋は草の勢いもかなり落ち着いて来る。7月播きのビーツ、人参はまだ夏草が発芽してきていたが、8月中旬にもなるとハコベなどの冬草が目立ってくる。成長が遅く、広葉の草が多いので草整理も簡単だ。今のところほとんど草取りはしていないため、9月に入ったらぼちぼち草整理をして行く。

夏野菜のお手入れ

 頭の中は秋冬野菜でいっぱいだが、畑の中は夏野菜だらけだ。これから長ければ霜が降りる10月下旬まで約2カ月間収穫を続けられる。そのため、草刈りばかりで整理の追いついていない夏野菜のお手入れを行った。

 基本的に真夏はナス、ピーマン、トマト、オクラなどは放任で脇芽欠きや摘葉はほとんどしていなかった。私たちが今年から実践している垂直縛り栽培は脇芽を欠かないこともり、つい放置してしまっていた。

 だが、気温が下がり夏野菜も疲れてくるこの時期になったら、ある程度の整枝と摘葉をして株を元気に保つことが収穫を長く続ける秘訣だろう。

 完全に放任していたピーマンは枝が増えすぎて、実の太りが悪くなっていたため、数日に分けて脇芽を減らし、いびつな果実を落とし、下向きになり役目を終えた下葉を欠いた。こうすることで残った枝や果実に栄養を回し、養分を効率よく使ってもらう。

鉄タンニンの散布

 先日ブログで紹介した鉄タンニン。効果を実感し始めているので今回はほとんどの野菜に散布している。(【鉄資材】鉄タンニンを畑に使ってみた【土壌改良・生育促進】)

 ピーマンには全ての株に散布した。二倍に希釈した液を一株1Lほど散布しただけだが、驚くほど食味が良くなった。これまでは甘みが少なく、青臭さが強く感じられていた。それはそれでピーマンらしい濃厚な味だと思っていた。しかし、鉄タンニンを散布してから3日後くらいに収穫したピーマンは明らかに味が変わっていた。

 まず甘味が出た。そして、ピーマンの香りはそのままに青臭さが全く感じられなくなっていた。実は今まで現代農業などで書かれていた食味向上の声には疑問を持っていたのだが、いざ自分で実感してしまうと認めざるを得ない。ここまで美味しくなるとは思っていなかった。

 やはり、えぐみや臭みが消えて甘みが増すのは本当のようだ。今回気になっているのはビーツの味がどのくらい変わるのかだ。ビーツは生で食べると独特の土臭さがあり、それが良いと言う人もいるのだが、鉄タンニンでこの土臭さが軽減され、甘みが増すとしたらビーツを食べるのが楽しみになるだろう。

 鉄タンニンの良さは十分実証できたため、今作ではほとんどすべての野菜に播いている。コストもほぼかからないに等しいため、経済的な負担はない。無施肥、無肥料での栽培を後押ししてくれる資材になることを期待している。

 散布は播種後とそれから1か月後の二回を予定している。基本的には回数はいらないようだ。二回散布すれば十分だろう。

ビーツの垂直縛り栽培

 鉄タンニンと同じくらい、無肥料栽培下で効果を期待しているのが道法スタイルの垂直縛り栽培だ。

 夏の実物野菜ではどの野菜でも分かるくらいの差が表れた。ピーマンはつやがよくなり、トマトでは割れが減り、実付きも良かった。ナスに関しては生育は良かったものの、丸ナスとの相性は悪かったが。

220828 垂直縛りのトマト
垂直縛りのミニトマト

 秋冬の根菜や葉物でも垂直栽培は同様に有効な栽培法だと、指南書には書かれている。そこで一部の野菜で引き続き実験してみることにする。
 根菜や葉物は栽培数が多く、一株一株縛っていくのは労力が掛かり過ぎる。そこで支柱を立てて、二本の紐で挟み込むようにして垂直に仕立てる方法が紹介されている。

 ビーツで半分ほど垂直栽培にしてみた。仕立て方は支柱に二本の紐を結んでいくのではなく、一本の紐ですべての株を囲むようにした。結び目を長さ調節可能な結び方にし、緩んだり、生長につれてきつくなったときに調節できるようにした。


 結び方は宮崎県のキュウリ農家 ゆたか農園さんのホームぺージを参考にさせて頂いた。(→ひもの結び方がめっちゃ簡単で便利!!/ゆたか農園)
 この結び方が意外とよくて楽に沢山の株を垂直に仕立てられた。紐がたるんでくるので支柱の間に、ひもの支えとなるように杭を打っておいた。
 この方法で葉物や根菜の垂直縛り栽培を実践して行く。

秋冬野菜がしっかり育ってくれるように。

 秋は暑さも落ち着き、草の伸びを穏やかになる。それに甘えず、野菜が気持ち良く成長できるようにこまめな管理をしたい。特に背丈が低い野菜が多いので、草に埋もれない様にすることを心がける。

 まだまだ夏の名残が感じられる9月。季節を感じながら畑と、土と向き合いたい。

【自然農】年明けから五月までに行った実際の畑仕事【寒冷地】

ニンニクの草整理

 ニンニクは越冬させるため、かなり畑に居る期間が長い作物だ。寒い季節とは言え、約8カ月もいると結構草が生えてくる。特に春先から一番肥大する収穫直前はあっという間に草が生えてくるため、しっかりと草取りをする。

220313 ニンニクの予数
3月中旬のニンニク

 ニンニクは水分を必要とする為、五月の連休前にはしっかりと草取りをして、草マルチをしておいた。五月下旬くらいは雨も少なく、乾燥気味だったため草マルチによる湿り気の維持は重要だ。

220505 ニンニクと草
五月上旬のニンニク。草が目立っている

 今年は購入種(福地ホワイト六片)と自家採種した種(ホワイト六片)を栽培している。購入種は粒が大きく、自家採種のものは無肥料で育てたもののため、一回り小さかった。そのせいか、生育にかなり差があった。肝心のニンニクはどうなっているかはまだ分からない。五月二十日ごろに試しに掘ったところ、福地ホワイト六片は既に直径7cmほどになっていたので期待できる。

 植え付けの深さを二種類に分けて栽培したが、その結果も楽しみだ。

春の定番、スナップエンドウ

自家採種二年目、連作三年目の種まき

 一般的には晩秋に種まきし、ある程度育った状態で越冬させるが、冬の気温がマイナス10度にもなる私たちの地域では寒さに強いエンドウでも越冬できない。そこで春の気配がする三月ごろに種まきをして育てている。

 私たちはスナップエンドウから畑が始まるので結構思い入れのある野菜だ。もとはF1品種のホルンスナックという品種だが、自家採種2年目の種を使った。昨年の栽培で育ちの良かった株から自家採種した。

 例年通り、霜に当たっても苗が枯れないぎりぎりを狙った三月一五日に種まきをした。相変わらずモグラの穴が至る所にあるため、なるべく位置をずらして播いた。約二十日ほどで発芽する予定だったが、植物は正確なようで四月五日ごろにしっかり芽を出してくれた。

 試しに催芽をしてから種まきしてみたが、これは微妙だった。管理が悪かったのかもしれないが、発芽率も悪かった。普通に直播した方がその後の生育も良かった。

220321 芽だししたスナップエンドウ
芽出しをしたスナップエンドウ

支柱立てはしっかりと挿すことを学んだ

 発芽後は収穫まで、草に負けない程度に草刈りをして、誘引していくことになる。適切なタイミングで誘引するのが、生育の良しあしにも大きくかかわってくる。

 今年も支柱を2,3メートルおきに挿し、高さ10cmおきに紐をはって、ツルが巻き付けられるようにした。生育に応じて、両側からひもで挟んで縦に誘引していく。

220425 スナップエンドウの様子
4月下旬のスナップエンドウ
220518 スナップエンドウの様子
五月中旬のスナップエンドウ。ひもが緩んでいるのが分かる。

 ひもには麻紐を使った。しかし、ひももピンと張っても、数日後にはゆるゆるになってしまっていた。麻紐自体が伸びているのか、支柱自体が傾いているせいなのか、とにかく緩んでしまい、うまく誘引できなかった。ツルも上に上に巻き付くことが出来ていなかった。
 支柱はハンマーで打ち込むなどしてしっかりと動かないくらい挿すべきだった。また、インゲンネットを使って誘因をきっちりすることを優先した方が良いだろう。

 全体的に生育が鈍い気がするのだが、誘引が上手く出来なかったのが原因だと思っている。今のところ、目立った病害虫は発生しておらず、連作障害らしき症状も出ていない。

夏野菜の育苗(ナス科)

種まきから植え付け前まで

 今年は完全に畑の土を使っての育苗に切り替えた。その方が畑に馴染むのも早いだろうし、自分たちの身の周りで完結する農業になると思っている。→【自然農】育苗土を畑の土を使って手作りする方法とその理由

 また、植え付け時期を6/10(最低気温が10度以上で安定してくる)に設定し、種まきはそれに合わせて3/25前後とした。三月終わりとは言え、気温はかなり低く最高気温がようやく15度に届く日がたまにあるといった気候だ。
 夏野菜の発芽には厳しい低温のため、ポケット芽だしで発芽を促進させた。これは上手くいき、揃いは悪かったものの無事発芽した。

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ポケット芽だし。この状態の種をポットに播く

 発芽後は晴天時のみ外で日光をあてて、夜間は室内に取り込んでを繰り返した。五月半ばになっても、霜が降る日もあるくらいなので五月下旬になり、ようやく夜も外に出すようになった。【自然農】畑の土と陽だまり育苗の夏野菜苗。種まきから約40日経ってどうなった?

トマトは五月二十五日に植え付け、昨年より順調

 トマトはナス科野菜の中でも、比較的低温に強く、霜の心配がなくなれば植え付けも出来るため、五月二十五日に定植した。苗の大きさは本葉5,6枚、少し小ぶりだが昨年の苗よりも良い苗に仕上がった。完全無肥料の苗とは思えないほど葉ツヤも良い。

220522 定植期のトマト苗
播種57日目。定植時のトマト苗。

 定植後、何度か10度以下になった日もあったが、順調に成長している。今年はモグラの被害が少なく、ゆっくり大きくなり出している。花房が確認できるものもあり、もうじき背丈が25cmほどになる。昨年はほとんどトマトが収穫できなかったため、今年は期待している。

里芋の芽だし、植え付け

 去年の失敗から、今年は種イモの芽だしを行って、初期生育を確保するつもりで里芋栽培を始めた。

 五月二十五日定植予定で、四月二十五日にポットに植えた。基本的に家の中で管理し、葉っぱが見え始めてからは外に出して日光に当てた。

 本葉が展開する前に畑に植え付けだ。催芽の効果は絶大で、数日後には葉っぱが展開しだした。すでに本葉2,3枚となり、本格的な梅雨の前に一回目の土寄せが出来そうだ。そもそも芽が出なかった昨年とは大きな違いだ。芽だししておくのは寒冷地では必須の栽培技術となりそうだ。

220525 定植時の里芋芽だし
定植時の里芋
220531 定植2週間後の里芋
定植二週間後の様子

 梅雨が明ける前に雨の合間をぬって、二回目の土寄せをしたいところだ。里芋はどうしても土寄せをしないと収穫はあまりできないため、不耕起栽培との相性が悪い。時間もかかるため、あまり大量には栽培できないが、自家用分なら十分である。今年は自分の中でマイブームの「垂直仕立て栽培」を里芋でも試してみようと思っている。

ズッキーニはもぐらの被害で不調、でも解決策を見つけた

 ズッキーニはたくさん出来るし、美味しいのでぜひとも作りたい野菜で、今年も栽培を始めている。

 昨年、苗を作ったもの以外、ほとんどモグラに根を痛められて大きくならなかった。そのため、出来るだけ苗を作って定植してみることにした。最初は四月十五日に播種して、本葉2枚目まで、五月十五日に定植した。苗自体は綺麗に出来て、根鉢をできていた。

 しかし、やはりモグラに苗の真下を通られてしまい、どんどん葉っぱが黄色くなってしまった。何度か埋め戻したものの、どうやら本道のようで、すぐ穴が復活していた。すっかり頭を抱えてしまっていたが、二つ解決策を思いついたので早速実践中である。

220525 モグラで成長が止まったズッキ^-ニ
生長が止まるズッキーニ

 それは定植した苗の周りに割りばしをぐるっと差し込んでモグラが近くを通らないようにすることだ。安価で土に還る資材なので導入も簡単だ。

220602 割りばしでモグラよけをしたズッキーニ
苗の周りを割りばしで囲む


 定植した第二弾の苗の周りの直系20cmほどに16本ほど割りばしを挿した。これが今のところ効果ありのようだ。今までは定植後数日で葉っぱが黄色くなり始め、生長がストップしていたが、今回対策してから植えた苗は三日ほどたっても、葉が緑色で元気に育っている。株周りもモグラが通った形跡はなさそうだ。

 もう一つはとにかく数を増やす作戦だ。多少モグラにやられても半分くらいは生き残るはず。その精神でとにかく数うちゃあたる作戦だ。育苗する分と直播する分でたくさん種まきしようと思っている。自家採種に成功すれば、種は売るほど手に入るため、無理な方法ではない。

 この二つの作戦で、何とかズッキーニは上手くいってほしい。

その他種まきをした野菜

・大根、ルタバガ→五月十日
・いんげん豆→五月十五日、畑に直播
・エンサイ→五月二十日、ポット育苗
・ナス、ピーマン→五月二十八日、試しに定植
・ミニトマト→五月二十七日、畑に直播(8日目に発芽確認)