【草生】草生栽培なら勝手にコンパニオンプランツを活かした栽培が出来る【混植】

コンパニオンプランツとは

 コンパニオンプランツは、育てたい植物と一緒に(コンパニオン: companion =共生)育てる植物をさす用語だ。これを一緒に育てることで病害虫の発生を抑えたり、被害を軽減することができたり、連作障害を予防することができると言われている。最近では雑誌や農業書でも広く取り扱われ、一般的に活用されるようになった栽培技術だ。

 例えば、トマトを栽培したいときはコンパニオンプランツとして、マリーゴールド、バジル、ネギなどがあげられる。
 マリーゴールドはセンチュウを抑制し、バジルはその香りで虫をよける効果がある。ネギは根に共生する微生物が殺菌作用のある分泌液を放出し病害対策になる。ネギの代わりにニラを植えても良い。

 どの野菜にも相性の良い植物というのは少なく、組み合わせによってはお互いの成長を阻害することもあるため、注意が必要だ。

 自然界を見ても、単体の種の植物が繁茂している光景はあまりない。植物はお互い助け合いながら群生しているということだ。これを畑でも再現することでより自然に近く、健康的に野菜を育てることができる。

 畑が狭い時にも有効で、少ないスペースで多くの野菜を育てることができる。本来ならトマトだけの畝も、間にバジルを植えればそれも収穫できる。しかもお互いが助け合って良く成長する。

 良い事だらけのコンパニオンプランツだが、欠点もある。それは管理作業が増えたり、やりにくくなることだ。
 通常、一つの畝には一つの植物しか植わっていない。そのため、同じ作業はまとめて行えるしやりやすい。しかし、コンパニオンプランツを植えると、植わっている植物が増えるため、畝が混雑し手間取ることがある。特に草取り・草刈りが大変になる。これは工夫次第で多少は気にならなくなる。一直線上にピシッと並べて植えたり、株間をきちんと一定にしておいたりすると、作物が植わっていない所を一気に作業できるようになり効率があがる。

コンパニオンプランツとして利用される植物

 色々な植物がコンパニオンプランツとして利用されるが、代表的な種類と効果を少し紹介しようと思う。

①マリーゴールド
 キク科の植物で、オレンジの花がきれいなマリーゴールドは虫よけ効果があるとされてている。根菜類の肌を傷つけるセンチュウ抑制に効果的とされており、よくジャガイモや大根などと混植される。また、トマトやきゅうりなどの果菜類とも相性がなく、アブラムシを寄せ付けにくくなると言われている。

2021 マリーゴールド

②ニラ
 ニラは土の殺菌効果あると言われている。殺菌と言っても全ても殺すわけではなく、悪い菌と良い菌のバランスを整えてくれる。苗を植えるときに一緒に植えると、ピーマンなどに良くみられる青枯れ病や萎凋秒などを抑制する。
 もちろんニラ自体も収穫可能で、畑の収穫量をあげることができる。しかも、多年草なので不耕起栽培の場合は毎年同じ場所に生えてくる。植えなおさなくとも、コンパニオンプランツとして利用できる点も優れている。

③マメ科の植物
 ざっくりしているが、マメ科の植物もコンパニオンプランツとして利用されることが多い。落花生や枝豆など食用にもなるものやクローバー、ヘアリーベッチなどのカバークロップ、グラウンドカバーとしても利用されるものもある。
 マメ科の特徴は根粒菌と呼ばれる共生菌による窒素固定だ。これによって空気中の窒素を植物が利用できる形で地中に取り込んでくれる。その栄養分を使って、育てたい作物の育ちが良くなる。

 これら以外にも効果的と言われている植物の組み合わせはたくさんあり、畑をにぎやかにしてくれ、健康な野菜が育つ手助けになる。「コンパニオンプランツ」でアマゾンで検索すると参考になる書籍が多数見つかるので見てみると良いだろう→(Amazon検索結果)」。

雑草がコンパニオンプランツになるのではないか

 雑草と書いたが、雑草という名の草は無い。それぞれ名前があり、どんな環境を好むのか、どんな植物と一緒だと育ちが良いのか異なる。つまり、一つ一つ独立した植物だ。

 コンパニオンプランツは多品目栽培や自給的な小規模栽培で効果的な栽培技術だ。当然コンパニオンプランツを栽培に活用するには自分でタネを購入して、種まきや育苗をして畑に植えることになる。持続的で自分達の生活の範囲で循環する農業を目指している私たちとしては、外部から種を持ち込まないといけないのであればちょっと利用しにくい。

 余談だが、私たちは緑肥用にライ麦を自家採種している。まだまだ量が少ないがほぼ放置で栽培できるので、使いたいところに好きなだけ播ける自家採種はやる価値がある。最初の土壌改良には重宝する。またマリーゴールドも採種が簡単なので、今年栽培に使う分は簡単に採種することが出来た。

 自然農では基本的に耕さず、草や虫を敵とせず、自然の中でともに生きている仲間として見る。ときにはこちらに牙をむく事もあるが、それも自然の一部であり、大きな循環の中でいずれこちらに好影響をもたらしてくれる。
 不耕起で草生にしていると一年中なにかしらの草が生えている。それはイネ科の草(イタリアンライグラスやエノコログサ、メヒシバなど)やシソ科(ホトケノザ、ヒメオドリコソウなど)やマメ科(クローバーやカラスノエンドウなど)などこれだけではなく、多種多様な種・属の草が季節に合わせて生えてくる。

 単にコンパニオンプランツとして目的の作物に合わせて1・2種類植物を植えておくよりも、はるかに多様性に富んだ植生が草を生やしておけば勝手にできあがる。生物的に多様性のある畑の中に一つ育てたい野菜があったとして、それだけが集中的に攻撃されると言うことが格段に減る。
 実際スナップエンドウの畝の脇に生えているライグラスにアブラムシがつき、それを狙ってテントウムシがたくさんいるのを今年も見た。スナップエンドウにアブラムシがついても、そのまわりには既に生態系が出来ているため、そこまで大きな被害にはならない。

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 草はわざわざ種をまかなくても、勝手にそのときの土の状態に合わせて生えてくる。どの草が生えてくるかである程度どんな性質の土かわかり、育ちやすい野菜の種類も決まってくる。そういった共生環境に自ずからなっていくのが自然農、自然農法なのではないだろうか。

 しかも、草なら管理しやすい。思い切ってざっと刈りこんでもこれからの時期、すぐにまた生えてくる。背が高くなる作物なら光合成や風通しに悪影響が出ないくらいまで放っておける。自然農では刈った草を畝上に戻す草マルチをすることが多く、数回草刈りをすれば草の勢いも落ち着いて来る。

自家採種でさらに草と共育ちするようになる(かも)

 ここでもう一つキーになることが自家採種ではないかと思う。一般的に自家採種実施者の経験をまとめると、自家採種を繰り返すほどに「畑に馴染んで」栽培しやすくなると言う。

 自家採種については自分自身の経験も少なく、実践者の実際の体験談から判断するしかない部分が大きい。だが多くの人が自家採種によって、育てやすくなり収量が上がった、さらには味も良くなってきたと言う実感を得ているのは確かだ。

 彼らの多くは自然農法実践者でもあり、草生で栽培している。そこで育った種は草と共に育った記憶を持っていて、より草と一緒に育ちやすくなっていくのかもしれない。

 自家採種にはたくさんの利点がある。これからも出来るだけ多くの種を自分たちの手で採っていきたい。

草生栽培(自然農)=コンパニオンプランツの宝庫

 常に圃場に草を生やしておくメリットは多い。土壌の劣化を防ぎ、昆虫などの小動物や微生物の生態系を守ることにもつながる。

 作物を植えた後も、なるべく草を全て取り除かずに共存させることでコンパニオンプランツとしての効果も期待できる。自然農や草生栽培で農薬を使わなくても綺麗な野菜が育つのはこうしたコンパニオンプランツ的な共存が良い影響を与えているのかもしれない。

 さらに緑肥を栽培することで生物多様性も深まり、土壌の保護にもなる。このあたりもまた詳しく記事にしたい。

 実際の栽培の様子はインスタグラムで随時更新して行く。

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