【自然農】畑の土と陽だまり育苗の夏野菜苗。種まきから約40日経ってどうなった?

寒い日や雨の日が多かった2022年の春

 私たちは今年も加温設備を必要としない「陽だまり育苗」で夏野菜の苗を作っている(→詳しくはこちらの記事をどうぞ)。より循環の環が閉じた野菜作りを目指して、市販の培養土や石油資源や資材をなるべくつかわず、身の周りのものを活用して育苗をしている。

 加温設備はほぼ使っていないが、私たち自身が寒いと思った日にはストーブやこたつを使っていたのでその熱は最大限有効利用した。また、家が断熱材などがほぼ入っていない古い家で朝にはその気温をほぼ変わらないことが多いので保温用に「種まきカバー」を購入した。

 これは使い捨てではなく、大切に使えば数年は使えそうなので良しとした。全部を全部自給するのは大変なので頼るところは頼っていこうと思う。こちらの製品はコメリなどの大手ホームセンターで販売されており、どこでも手に入れられる。サイズが51型育苗箱に合うサイズで、そこには底面給水トレイが便利だった。
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・種まきカバー→https://www.komeri.com/disp/CKmSfGoodsPageMain_001.jsp?GOODS_NO=1981892

 この種まきカバーのおかげで大分温度管理が楽になった。いずれは育苗ハウスを構えて踏み込み温床での育苗にも挑戦したいが、その際の保温資材として有用かもしれない。

 今年の三月・四月、また五月の第一週は例年に比べて寒い日が続き、雨も多かった。周りで営農されている方は降り続く雨でなかなか作業が進まず、全体的に生育も遅れがちなようだ。

 うちは自然の天候に苗作りを任せているため、雨の日・曇りの日は特に温度が上がらずちゃんと成長しているか心配な日々だった。徒長しやすい日が続いたため、少しでも晴れたらすぐに太陽に当て、曇りの日もできるだけ窓際で管理した。

 結論から言うと、今のところ順調に生育している。ただ、自家採種・自然農・自家製畑の土培土による問題や違いが出てきているのでそれぞれ紹介しようと思う。

トマトは自家採種の結果、生育がかなりばらついた

 うちのミニトマトは交配種の自家採種1年目の種を使っている。広く知られている通り、交配種は自家採種すると、親の形質がランダムにでて来て、同じものは採種できない。そのことから自家増殖禁止の登録品種であっても、交配種であれば自家採種しても良い事になっている。

 育苗段階でも、かなり株によって生育に差が出てきている。これは悪いことではなくて、どのトマトがうちの畑にあっているか判断することができる。つまり、様々な性質の出ている、交配種(F1)からの自家採種(F2)は自分の畑に合った品種を作っていくことができると言う意味だ。

 今年の育苗は定植予定地の土をそのまま培土に使っている。この土でしっかり育っている苗は畑に定植してからも良く生育すると考えられる。逆に育苗の段階で上手く育たないものは次の自家採種の対象からは省くことができる(これを選抜育種という)。

 40日の時点で本葉4枚になり、鉢上げを終えたものは32株あり、そのうち16株は四月二十九日に鉢上げしてある。この16株は特に生育の良かった、いわば1軍だ。同じ日に播種したものでも、一番大きな差があるもので写真の通りだ。種が違えば同じ土、環境でこれだけの差が出る。

220508 播種40日目のロッソ
同じ日に種まきしたミニトマト

 中には周りと比べて特に葉色が濃いもの、背丈が短いのに葉数が多いものもある。これらは特徴が他の大部分から外れているので種採りの対象にはしないが、収穫まで育ててみたいと思う。個人的には葉色が濃いものは吸肥力が強く、畑に植えたら良く生育するのかも。

成長がゆっくりなナス、低温障害が出てる?

 ナスは国際自然農研究開発センターの自農丸ナスを栽培することにした。ナスはトマトよりも生育が遅いため、より早く種まきをするのが基本のようだが、今年はすべて同時に種まきした。販売されている種なので、発芽率はほぼ100%だった。何とか種採りまでつなげたいところだ。

 昨日六日の土曜日に鉢上げした。まだ葉っぱの数は三枚と少なかったが、7.5cmポットで育苗していたため、肥切れになる前に鉢上げした。やはりトマトほどは根鉢ができておらず、少し苦労した。

 背丈は5cmほどでまだまだ小さいが、ここ数日で一気に大きくなった。ここ長野県は五月になっても数日は最低気温5度以下の日がある。第一週をすぎるとぐっと春らしくなり、夏の兆しも見えてくる。ナスにとってはこれからが生育適温だろう。

220508 播種40日目の自農丸ナス
本葉3~4枚


 陽だまり育苗は夜間、家の中にしまうが我が家は外の気温とほぼ同じくらいまで室温が下がる。一応、カバーをつけて毛布を掛けておいたがやはり低温障害らしき症状が出た。数日だけなので、この後何事も無く育ってくれることを願っている。

220508 播種40日目の自農丸ナス 低温障害?
低温障害

一番高温を要求するピーマン類は順調!

 ナス科作物の中で、発芽や生育に最も高温を要求するピーマンは一番小さいかと思っていた。実際、鷹の爪(自家採種1代目)はまだまだ本葉三枚ほどでナスよりも小さい。
 ところがこちらも初栽培の国際自然農研究開発センターの自生えピーマンはかなり順調に生育している。本葉は四枚展開しており、葉色も良い。中にはあまり大きくならなかったものあるが、15/20株はいい感じだ。

220508 播種40日目の自生えピーマン
葉色が良く、つやがある

 ナスとピーマンは同じ畝に作付予定なので、同じ土で育苗している。ナスよりも生育が遅いはずのピーマンが大きくなっている所を見ると、ここの土はこのピーマンに合っているのかもしれない。加温設備がないと、ピーマン類の育苗は、特に発芽の段階で難しくなるようだが今のところ順調だ。

 既に7.5cmポットの鉢周りを超えているため、早急に鉢上げしてあげたいと思う。

 ピーマン類の中で小果種にあたる鷹の爪は、今年自家採種一年目の種を使っている。同じ場所の土を使っているのもあって、生育ムラが少なく揃って生育している。

220508 播種40日目の鷹の爪
自家採種い

番外編。ズッキーニ

 ズッキーニは育苗してから畑に出す予定だ。品種は二種類で、二カ所の畑でそれぞれ栽培する。種採りもできるが交雑しやすいため、圃場を完全に分けた。
 一つはトキタ種苗のバンビーノ。豊産性でたくさん実がなるし、味も美味しい。普通のズッキーニよりもうまみが感じられる気がする。薄緑色の中太型のズッキーニだ。
 もう一つは品種名は不明だが、つる新種苗で取り扱われていた自然菜園採種のズッキーニだ。形状はごく普通の細長型で、おそらくブラックビューティを自然菜園で採種した種だと思われる。自然菜園はAZUMINO自然農スクールの竹内孝功さんが営まれている菜園で、自然農法で野菜を作っている。自然農法で採種された種ならすぐにうちの畑に馴染んでくれると思う。

 種まきは10.5cmポットに直接した。通常五日もあれば発芽しても良いが、種まきから数日気温が低い日が続いたため、なかなか発芽せずに一週間経ってからようやく発芽した。ウリ科の野菜は生育が早く一ヶ月で定植できる苗になる。

 既に本葉が一枚出て、背丈もぐっと大きくなってきた。順調にいけば五月二十日頃には定植できる予定だ。

220508 播種20日目のズッキーニ
割りばしで仮支柱を作った

 ズッキーニはうちの育苗方法だと徒長しやすく、強い風が吹くとかなり揺さぶられてしまう。小さい時に過度のストレスになると思い、割りばしを株元にさして麻ひもで誘引してみた。風が吹いても揺さぶられることが無くなり、元気に育っている。
 この支柱に結びつけるのは道法正徳さんの提唱する「垂直仕立て栽培」を参考にしてみた。これについては今度詳しく記事を書いてみようと思うが、自然栽培で真価を発揮する栽培法で科学的にも理に適っているので今年から挑戦してみたいと思う。主にインスタグラムで栽培の様子を発信していくつもりだ(→インスタグラムアカウント 百姓日記)。

畑の土でも問題なく育苗できる!

 今年、初めて畑の土、しかも定植予定の畝から採取した土を使って育苗に挑戦しているが、今のところどの野菜も順調に育ってくれている。もちろん、肥料分に乏しい自然農の土に合う品種をなるべく選んでいるので、その影響もあると思うが、十分実用レベルだ。

 一つ難点を挙げるとすれば、どうしても草の種が入っているので育苗途中に発芽してしまうことだ。普通、自然農では草を敵としないがポットという土の量が限られている環境では草に栄養をとられてしまうので取り除く必要がある。これが少し手間ではある。

220426 草が生えた育苗ポット
草が生えてしまう

 あと少しで植え付けシーズンとなる。気を抜かず管理していきたい。

【自然農】2021年のミニトマトが全然できなかった理由とその対策【不耕起・無肥料】

上手くいかなかった原因を考察する

 昨年のミニトマト栽培はロッソナポリタン(パイオニアエコサイエンス)を栽培し、かなり豊作だった。次々と開花し、霜の降る10月下旬まで収穫が続いた。背丈は2m近くまで伸び、緑のカーテンのようになっていた。収穫終了間際に自家採種も行った。

 今年はロッソナポリタンの自家採種1代目の種を使用した(→2020年の自家採種はこちら)さらに育苗の手間を減らした栽培を目指した。栽培方法を自然農に切り替えたこともあって、肥料は前年から一切加えていない。耕すこともせず、伸びた草を畝上に刈っては敷くことを繰り返した。
 育苗は4月上旬から35日程度で、本葉3枚ほどで仕上げる予定だった。標準では約60日間、第一花房が付き始めるころまで育苗するのでかなりの若苗になる。畑に定植したのが5月20日前後の十分に気温が上昇してからだったが、その後の成長がよくなかった。不耕起による弊害でモグラの巣穴で根が伸びず、成長が止まってしまった株も多く見られた。

育苗の失敗した点

 今回の栽培において、失敗に終わった大きな原因は育苗にあると考えている。そのうちの一つは苗が小さすぎた(成長ステージが手前過ぎた)こと。もう一つは育苗土の肥料分が多く、圃場の栄養分が少なかったこと。この二つがお互いに影響し合ったのではないか。

 育苗土はタキイの種まき用土を使ってみた。肥効が長く、保水力が高いとのことだった。本来であれば、育苗土も自前で用意したいのだが、準備するのに時間が掛かるため、市販の土を使用した。
 この土はNPK=600,1200,570(mg/l)で肥効が30-40日の長期肥効型の種まき培土だ。肥料分が多く、長い期間育苗できる。これを50穴セルトレイに詰めて使用した。発芽は良く、順調に生育していた。

21051 発芽はばっちり


 育苗を終え、畑に定植したのが5月20日ごろだった。その後活着は早かったものの、成長が遅く、50株植えてまともに収穫できたのは3株ほどしかなかった。
 これは育苗土には十分すぎる肥料が含まれていた一方、定植後の畑の土にはほとんど肥料分がなく、その環境変化に対応出来なかったのではないかと考えている。私たちの圃場は前述の通り、施肥を二年間していない。雑草の生え方もそこまで旺盛ではなく、地力は低めだった。
 植物にはその時の環境に合わせて、伸ばす根を変えているという話しを聞いたことがある。肥料たっぷりの育苗土で過保護気味に育てられた苗は、自然農的な土の厳しい環境に適応できなかったのだと思う。

 また省力化を考えて50穴のセルトレイを使った。これが苗が大きく育たなかった原因ではないかと考えている。セルトレイだと普通の大きさのポットと比べて、土の量が少なくなる。すると根が伸びる空間も狭くなってしまう。
 根が伸びないと地上部は大きくならないので、小ぶりの苗になってしまった。小さい苗の方が根付きが良いのでは、と考えたが光合成量が少なく、根も少ないためその後に成長スピードが著しく落ちたのだろう。

来年の育苗での改善点

 失敗した結果と原因を踏まえ、育苗は次のように行うことにした。

 育苗に使う土は市販の培養土ではなくて、実際に定植する畑の土をそのまま使用する。雑草の種が含まれているため、育苗中に生えてきたものは適宜除去する。もし、手間が掛かり過ぎるようなら高熱処理などをして雑草の種を除去することも考えるが、今回はそのまま使用してみる。
 こうすることで育苗と定植後の環境変化が最小限に抑えられるし、元々肥料分に乏しい土で育苗する事で、栄養を吸収する力が強い根が育つではないかと考えている。

 また容器を大きい物に変更する。今回は50穴セルトレイ(1穴約80ml)を使用したが、12cmポリポット(約800ml)にする。こうすることで土の容量が10倍近く増える。土に含まれる栄養が少ないので絶対量を大きくして、育苗に必要な栄養素を確保しようという考えだ。土は植える場所のものをそのまま使うので足りなくなることは無い。
 根が伸びる空間を大きくなるのでたくさんの根が伸びた良い苗になるのではないかと期待している。

 育苗と定植後の環境をなるべく近づけることで定植によるダメージを少なくすることに重きを置いた。特に育苗土を圃場そのものの土を使用することは、良い結果になると思っているので楽しみだ。

 育苗は引き続き室内で日当たりの良い部屋を使って育苗することになる。夜間はストーブや電気毛布を利用して、地温を確保する必要があるため少々温度管理が難しい。十分な土地が確保できれば踏み込み温床を使ってビニールハウスでの育苗にも挑戦したい。

育苗は寒冷地では必須の技術。栽培の良しあしを大きく左右する。

 寒冷地はもちろん、温暖地でもトマトやナスのような発芽・生育に高温を必要とする野菜の栽培には育苗が必ずと言っていいほど必要になる。自然のあるがままに、を目指す自然農で育苗するのは反自然になるかもしれないが、真夏に良く育つ野菜はやはり夏に食べたいところ。すべてが全て、自然でなくてもいいんじゃないかと思うので、育苗はやってもいいんじゃないかと思う。

 「苗半作」という言葉があるほど、野菜作りにおいて苗作りは重要なポイントだ。急激な気候変動や、病害虫の蔓延といった環境変化に柔軟に対応できる苗作りを目指して、これから色々と試してみようと思っている。

 また、育苗に頼らない、夏野菜の栽培法がこれならできる! 自家採種コツのコツ: 失敗しないポイントと手順(農文協)に紹介されていた。「自然生え(じねんばえ)選抜法」という方法で、栽培が終わった後、完熟の果実をそのまま土に埋めて。春になって一斉生えてくる芽の中で強いものを選抜して育てていく。元々は育種法の技術だが、これでしっかりと収穫できれば、育苗に頼らない、より環境適応力の高い栽培法になると思う。さらに自家採種の手間を省くことが出来る。
 昨年の秋に完熟トマトを数個、地面に埋めてあるので、その経過も観察していく。また食用ホオズキも同じように土に埋めてある。

ミニトマトの育苗をやってみよう! 幼苗定植で省力化と樹勢の強い株に仕立てる。

ミニトマトの栽培は苗作りからスタート

 ミニトマトをはじめとしたナス科、ウリ科などの果菜は、栽培期間が長く(長いもので4ヶ月ほどかかる)、発芽温度も25度前後の高温を必要とするため、その栽培には育苗することがほぼ必須となります。芽が出るくらい暖かくなってから畑に直播しても、実がなり始めるころには生育適温を過ぎて寒くなってしまいます。

 ということで、まだ寒い時期に種まきして、室内やハウス内で加温等によって生育温度を確保して苗を育てます。ホームセンターや種苗店では苗も取り扱っています。

 今年、私たちがメインに栽培しているミニトマトは自家採種した種を使っているので必然的に自家育苗となります。今回は、自分で育苗すること、そしてミニトマトの定植についてまとめていこうと思います。

自分で育苗してみる

 ホームセンターなどで売っている苗を買わずに、自分でミニトマトの苗を作るメリットは大きいです。

 まず、うまく育てれば十分良い苗ができることです。
 ミニトマトは発芽に比較的高温(25~30度)を要求しますが、その後は最高気温25度、最低気温10度以上の管理で十分です。日中日当たりのよいところにおいて、夜間は室内に取り込むこと(日だまり育苗という)でほぼ達成できます。あとは水を与えすぎないことに注意します。夜間に湿り気が多すぎると徒長しやすくなります。
 温度と水分の管理と日光にあてることを守れば自分でも育苗できます。写真は今年育苗したトマトの苗です。発芽直後に日光が乏しかったのと、50穴セルトレイで込み合ってきたので若干徒長しています。葉色、背丈、葉数ともになかなか立派に育ってくれたと思います。

210519 葉3枚目
育苗22日目のミニトマト苗

 また、好きな品種のトマトを栽培できます。ホームセンターなどの販売店では決まった苗しか取り扱いがありません。世の中にはいろいろな品種のトマトがごまんとあるので、自分の好きな品種を育てられるだけで、育苗にチャレンジする甲斐があります。私たちはトマトだけでも5品種ほど栽培するので必ず育苗しないといけません。

 そして、トマトに無理をさせない、最適なタイミングで定植できます。
 私たちが住む、長野県ではGW前後にミニトマトの苗が並びます。この苗はすでに定植サイズで花がついているものです。さっさと植えてしまわないとどんどん苗が老化していきます。
 しかし、GWではまだまだ寒い日もあり、最低気温は一桁になることもしばしば。霜は降ることもあります。1,2週間すればかなり暖かくなって植えごろになるのですが、そのころにはひょろひょろで、葉っぱが黄色くなったような売れ残りの苗しかない場合が多いです。

 自分で育苗すれば、定植日を設定して、育苗期間を逆算すれば最適なタイミングで植え付けができます・

幼苗定植のメリット、デメリット

 通常ミニトマトの苗は、本葉が8枚で果房が咲き始めているものを植えつけるのが良いとされています。これはすでに花がついている株は収穫が早い(ミニトマトは開花40日ほどで収穫になる)、成長が実をつけるほうに傾いているからといわれています。一方でまだ花がついていない苗を「幼(若)苗」と呼びます。

 植物の成長には、樹(茎や葉っぱ)が育つ「栄養成長」と花や実(いずれは次世代の種になる)が育つ「生殖成長」の二種類に分けられます。
 通常の定植サイズの苗はこのうち、栄養成長がすでに始まっているといえます。ミニトマトであれば花が咲いてから40日ほどで収穫にいたりますので、植え付けから1か月ほどで収穫できます。
 幼苗は本葉5枚ほどで定植になるので、まだまだ栄養成長真っ只中です。育苗ポットの狭い環境から広い畑に植え替えられると、一気に根を広げて葉っぱを茂らせていきます。

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2020年に植えつけたミニトマトの苗
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定植から1か月後。ちゃんと花がついた。

 樹ばかりが育ち、花がつかなかったり落ちてしまう状態を「樹ボケ」、「樹が暴れる」といいます。これは樹を伸ばすほうにだけ栄養が集中してしまい、実がつかないことをいいます。幼苗の場合、葉っぱが5枚程度とまだ花がつくには時間がある状態で植えるので、樹ボケが起こりやすいといわれています。

 樹ボケしてしまうと収穫が減ったり、遅れてしまうので困り者ですよね。ということで、最初から花がついた、「生殖成長」が始まった苗が好まれるわけです。

 一見幼苗定植は良くないじゃん、となりますが適正サイズの苗にも問題があると考えています。それは①一般に9-12cmポットで花がつくまで育っているため根が弱りやすいこと、②ポットの土に対して地上部が大きいので活着にエネルギーを使うこと、③すでに生殖成長が始まっているので樹が育たない(根張りが良くない)ことです。

 つまり、大きな苗は植えつけてからの栽培が難しくなるということです。定植直後の苗はまだまだ小さいのでどんどん根っこをのばして、枝葉を茂らせ光合成をしたい状態です。そのときにもう実がついているので、栄養をそっちに持っていかれてなかなか樹を充実させられません。結果、真夏本番のころには樹が弱ってしまい、成りつかれしてしまいます。

 一方、幼苗で植えるとまずは樹を育てることだけに栄養を使えるのでがんがん育っていきます。地上部と地下部の成長は一致しているので根っこもどんどん伸ばしていきます。すると、ちゃんと根っこを伸ばしているので梅雨明け後の乾燥期にも樹がしっかり栄養、水分を吸収でき実もしっかりついていきます。最初は遅れますが、あとから一斉に実らせてくれます。

 ミニトマトは花が咲いてから約40日で実が熟してきます。5月初旬に花つきの苗を植えて40日後に初収穫になったとします。まだ梅雨真っ只中で日照も乏しい時期のトマト、あまりおいしくなそうですよね。
 あせらず梅雨明けの7月半ば以降に収穫を迎えるほうが真夏の太陽を存分に浴びた美味しいトマトをたくさん食べられていいと思います!

200914 鈴なり
9月半ば頃。鈴なりのミニトマト。

 樹ボケをしてしまうのは過剰な栄養があるからという場合が多いです。小肥で樹を育て、花がついてから様子を見て追肥を行う管理をします。

 また育苗期間もかなり短くできます。
 通常の適正サイズにするには約2ヶ月ほどかかります。まずは育苗箱やポットに複数播きして、本葉が2,3枚出たらポットに鉢上げして、さらに花がつくまでと、約2ヶ月弱かかります。花がつくほど大きい苗だと9cmポットでも小さいくらいでそれによって土の使用量も増えてきます。

 一方、私たちが行っている幼苗育苗では約3週間の育苗期間で植え付けサイズになるので時間が半分で済みます。しかも、育苗期間が短いので最初から最後まで50穴セルトレイで育苗できます。写真は発芽2週目の苗の様子です。少し葉っぱが触れ合ってきましたがまだ十分なスペースがあります。72穴セルトレイだと少し窮屈すぎるかもしれません。

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育苗22日目のミニトマト苗

ミニトマトの植え付けまであと少しです

 今年のミニトマト栽培、まずは植え付けが五月の終わりに待っています。

 夏野菜の植え付けはGWあたりといわれており、私たちの住む長野県でも第二週までには植え付けが終わっている人が多く見られます。ホームセンターでは植え付け間近の苗がGW前から売られているので、良い苗を買うには早くしないといけないので仕方がないことなのかもしれません。

 トマトは最低気温が15度を超える日が出てきてから、平均気温が17度ほどになってから植えたほうが、生育に影響を与える低温を回避できます。なので私たちは5月の第4週に植え付けの予定とし、それにあわせて苗を育てています。今年は、梅雨が例年より早く訪れるようなので、天気を見ながら定植していきたいと思います。

 収穫は遅れますが、梅雨が明ける7月中旬の真夏から収穫できるミニトマトは最高に甘くておいしいです。樹も体力があるので10月上旬まで収穫できます(この頃には大分味は落ちますが)。

 同じようにナスも高温を好む植物なので無理な早植えはせずに6月頭の植え付けの予定でいます。野菜は旬の時期が一番おいしい、と考えて適期栽培を守ります。

2020年ミニトマトの自家採種 採種方法と発芽チェック 

 ついに、今年初めての霜が降りました。よりいっそう冬に近づいた感じがします。 

 10月半ばからゆっくり、ミニトマトのアーチの片付けをしていました。さすがに10度を下回ると、味もかなり落ちて、樹も弱って見えました。ひと夏かけて、じっくり茂らせた葉は翌年以降の養分となります。この生命の循環を大切にしたいです。

 先日ミニトマトの種採りを行いました。本来であれば、樹勢の強い時期(第2-3花房くらい)に行うのが良いのですが、種採りをするか迷っているうちに収穫が進み、残るのは数日前に完熟状態で収穫したもののみになってしまいました。

 というのも、私たちが今年栽培した、ロッソナポリタンという品種はF1(交配)種なのです。F1種から種採りをすると、次世代となるF2では性質が大きくばらけます。つまり、採れた種の遺伝子はみんなちがってみんないい状態になります。
 すると、おいしくなかったり、病気に弱くなったり、実の大きさが変わったりする可能性もあります。このミニトマトは私たちが一番力を入れている品種なので、品質がバラけると困るなと思っていました。

 ですが、せっかくならやってみよう! ということで実際にやってみました。実際のところF2世代の種から育ったトマトがどれほど変化するのか気になったというのもあります。また、種採りをするメリットのひとつ、環境に適応して育てやすくなる、という現象が本当に起こるのか早く確認してみたかったのも大きな理由です。そして、お金もかからないし、とにかくやってみないと始まらないとも思いました。
 来年、性質がバラけたら、おいしい実をつける株、元気に生育している株からまた種採りえをすればいいだけです。

 さらに、私たちが種採りをする際に参考にしている書籍、「種取りのコツのコツ(農文協)」という本に中にF1トマトから選抜、種採りを続け、大玉、中玉、ミニの3品種を固定したという記載がありました。この品種から中玉や調理用の品種がとれるかもしれません。

種採りをするときの注意点

!種採りをする際に注意しておくことがあります!

 それはその品種が種取りを許可されている品種であるかどうかを確認することです。品種は「登録品種」と「未登録品種(農林水産省は一般品種と呼んでいる)」の二つに分けられます。登録品種は「育成権」が認められています。これは音楽や絵画などにおける著作権に同等する権利です。

 そのため登録品種の採種や採取した種の再販は禁じられています。また、自家採種した種(これも違反ですが)から収穫した作物の販売、譲渡も禁じられています。営利目的でない、家庭菜園であれば、自家消費に限り採種が認められています。

 品種登録のない、一般品種は自家採種が認められており、採種した種自体もその種からの収穫物どちらも販売、譲渡可能です。

 そもそも品目によっては品種に関わらず自家採種、わき芽挿しのような「自家増殖」が禁止されている場合があります。

 今回種採りをしようと思っている「ロッソナポリタン」(パイオニアエコサイエンス)は登録品種ではないので採種可能です。こちらのページから検索できるため、自家採種をお考えの方は一度調べてみてください。

 

ミニトマトの種採りの仕方

 ミニトマトの種採りは非常に簡単です。なぜなら食べるために育てた実からすぐに種を採れるからです。赤くなった実は種が成熟しているので採種果を簡単に手に入れられます。

 品種によりますが収穫した実を使えば大丈夫です。さらに常温で1週間ほど追熟させればさらに安心です。少しやわらかくなってきたくらいのほうが簡単に種が採れます。

 用意するのは、手ごろな大きさのビンと、包丁、中身をくりぬくためのスプーンやバターナイフです。ビンの大きさは、採る種の量によって変わります。小さすぎると発酵させているときにあふれて大変なことになるので注意が必要です。

 実を半分に切って、

201009 半分にしたところ
半分に切る

 種を包むゼリーごと掻きだします

201009 掻き出すところ-2
ゼリーごと種を搔き出す

 この状態で常温で3日ほど発酵させます。こうすることでただ洗うよりも、種を包むゼリーを取り除きやすくなります。

 発酵してきたら(けっこう匂います)、水でしっかりと洗います。ここでゼリー質が残るとかびる原因になるのでちゃんと洗います。今回は排水溝のごみネットを使用しました。

 水洗い後は天日干しで2-3日ほど乾燥させます。今回は晴天の予報がなかったので布団乾燥機とビンを組み合わせて、徹底的に風乾させました。

201012 ネットで洗ったところ
乾燥させる

 写真ではわかりにくいですが、自家採種したものは種の表面にうっすらと毛が生えています。今年購入した種はつるっとしていたので、市販品は調整の段階で毛がなくなってしまうのかもしれません。

ちゃんと発芽するかテストしてみる

 種が採れたら、ちゃんと発芽するのかどうか確かめます。やり方は簡単で、食品トレイにぬらしたキッチンペーパーを敷き、その上に種を置くだけです。上からラップをして乾かないようにしたら暖かい部屋においておきます(最低でも20℃以上)。このまま5日ほど置いておくと、発芽するはずです。

201012 発芽試験

 5日目、種を確認してみると、20粒中15粒が発芽していました。発芽率は75%ほどで市販品とほぼ変わりません。

 ひとまず、種としてはちゃんと機能しているようです。あとは来年栽培してみて、といった感じです。同じトマトでも品種によって葉っぱの様子も変わってくるので、丁寧に観察してみようと思います。

秋になった畑の様子。順調なものと、うまくいかないもの。

 秋もだいぶ深まってきて、気温もぐんぐん下がってきました。先日は霜注意報まで出ていました。もうすぐ冬が来ますね。

 私たちの畑の野菜たちは順調に育っているもの、うまく育っていないもの、明暗が分かれてきました。今回は、少し畑の様子をご紹介します。

まだ残っている夏野菜

 最適な生育環境から外れてしまったミニトマトとオクラですが、一応まだ採れています。

 ミニトマトはヒョウの被害にあった実が無くなり、きれいになってきました。味は少し落ちてきていますが、よく晴れた日が続くとまだまだおいしくいただけます。後もう少しでおしまいですね。

 オクラは少しずつ成長を続けていて、もう背丈は150cmほどに届くものもいます。花もまだまだ咲いており、少しですが家でいただくには十分な収穫があります。種採り用に実を残している株は生育が収まって、種を充実させる方に力を注ぎますので、こちらもあと少しです。

 ズッキーニは夏野菜のイメージですが、もともとメキシコの高原が原産の野菜で、涼しくなってきた今頃もまだまだ元気のままです。実もきれいで、毎日採れています。こちらは霜が降るまで収穫を続けられそうです。

根菜類はおおむね順調ですが。。。

 8月頭に種まきをした大根は土から飛び出してきて、大きくなってきました。太さも直径5cmほどはあります。どのくらいの長さになっているか気になりますが、もう少し我慢です。霜が当たると良くないので、それまでには抜いてみたいと思います。

信州地大根
信州地大根()

 葉っぱもわさわさで、多少虫食いはあるものの、こちらもおいしくいただく予定です。

 中国野菜の天安紅心大根も栽培しています。こちらは少し種まきが遅かったので、ようやく肥大が始まったところです。収穫まであと3週間ほどでしょうか。間引き菜の根っこはすでに赤くなってきていました。普段スーパーでは販売されない野菜なので楽しみです。

天安紅心大根
天安紅心大根

 私の一押し野菜、ルタバガもどんどん葉を茂らせています。時期をずらして、三回くらい種まきしたのでいろいろな大きさが揃っています。寒さに当てると甘みが増しておいしくなるはずなので、それも検証します。ルタバガもスーパーではほとんど流通しません。自分で育てる価値がありますね。

ルタバガ
ルタバガ

 一方、にんじんはかなり成長が遅れています。同じタイミングで種まきしたはずなのに、同じ列でも生育が違います。計画が不十分で、畝になっている場所にまいてしまったので乾燥しすぎなのかもしれません。また、近所の人の話では播くのが遅すぎるかもとのことでした。この地域では、夏播きなら七月中には芽を出しておきたいようです。種まきが8月15日なのでかなり遅いですね。

黒田五寸
黒田五寸

 何とか育ってくれるといいのですが。にんじんの種採りは特にやってみたかったものの一つです。でも、次はこうしよう、というのがあるのはいいことです。

 寒さに強いビーツもたくさん播いてあります。ボルシチにして食べてみたいですね。まだ発芽したばかりで今後の成長が楽しみです。

たまねぎとにんにくコンビ

 別の畑で栽培予定のたまねぎとにんにく。たまねぎは自家育苗に挑戦していますが、なかなかいい感じに育っています。草丈は15cmほどで20-25cmほどで定植になります。10月中旬に定植予定なので間に合うはずです。

泉州黄たまねぎ
泉州黄たまねぎ

 それぞれ畝にはマルチを張ってありますが、植え穴から草が生えてきています。一度草取りをしないといけませんね。

 初めての栽培でわからないことだらけですが、うまくいくとうれしいです。

鹿に食べられまくった大豆

 種まきが遅れたり、鹿に葉っぱを食べられまくった大豆ですが、少ないながらも何とか育ってきました。鞘もついて日に日に豆が大きくなってきています。食べるには足りないかもしれませんが、来年用の種採り用になればいいなと思っています。

ナカセンナリ
ナカセンナリ

 大豆はさまざまな加工食品の原料ですので、自給していきたい作物の一つです。自家栽培の大豆で自家製味噌は大きな目標の一つです。今年採れる種でつないでいきたいと思います。鹿に食べられながらも実をつけた根性に期待です。

 来年は鹿の害が少なそうなもう一枚の畑で、少し規模を拡大して栽培する予定です。大豆栽培はいろいろな小技が報告されているので一つ一つ試して、実験してみたいと思います。