ぐっと冷え込んで、秋の終わりを感じる季節に。
10月は夏の暑さもすっかり落ち着いて、秋らしい季節になる。温かい地域ではまだトマトやピーマンなどの夏野菜が収穫出来ているようだが、ここ長野県では10月中旬には終了になる。
日に日に朝晩の冷え込みが強くなり、ストーブをつけないと家の中が寒くていられない。草木の緑も少しずつ色が落ちて、黄色や赤色が目立つようになってくる。
半ばを過ぎたころには、例年より早く初霜となり、夏野菜は完全に枯れてしまった。冬野菜も葉っぱを紫色に変化させたり、地面を這うように広げたりして、寒さに耐えようとしている姿が見られる。
秋冬野菜は寒さに当たるとぐっと美味しくなる。寒さで凍らないように糖分を葉や茎、根に溜め込むためだ。小松菜や青梗菜はもちろん、暑い時期は辛みが強いルッコラも数回霜に当たると格段においしくなる。
そんな10月は秋らしい恵みのある季節だった。日々冬に向かっていく中で、自然の力を蓄えていく野菜をたくさんいただいた。
無肥料・無農薬の人参、収穫開始
私たちが栽培している人参は自然農法国際研究開発センターが育種した「筑摩野五寸」だ。この人参は一般的に栽培されている品種と違い、やせた土地でも良く肥大し、食味も優れている。
自然農では肥料や農薬を使用しないため、その環境にあった強い品種を探すことが栽培を成功させるポイントだと思っている。筑摩野五寸は二年連続で作付けし、かなり立派な人参が収穫できた。とてもおすすめの品種だ。→自然農で野菜を育てるときの最重要ポイントになる「種」の話し。
今年は人参を何回かに分けて種まきした。この土地での栽培時期を正確に把握するために1か月間で4回種を播いた。約1週間ずつずらして播いたことになる。
7月26日、8月5日、8月11日、8月22日の計4回だ。このうち、8月11日までに種まきしたものは10月30日の段階で収穫可能サイズにまで成長した。7月26日種まきのものは10月10日ごろ(75日目)に初収獲を迎え、20cmの長さまでしっかりと肥大していた。五寸人参は110~120日が栽培期間と言われているたが、それに比べてもとても早く育った。
一方、8月22日に種まきしたものは11日前の8月11日播きのものと比べても、明らかに小さく10日以上の差が出来てしまった。既に霜が降りるほど気温が下がり、最高気温も20度に届かない日が増えているため、収穫サイズまで大きくなるかはわからない。
秋冬野菜の種まきが適期から1日遅れると、収穫日は3日遅れると言われている。8月10日前後のものは10月中に大きくなったため、それから1ヶ月はかかってしまうだろう。収穫は小さい物に限られるかもしれない。
肝心の味はというと、まず香りが良く、生でもさわやかな味が楽しめる。加熱すると、甘みが強調され、とろける美味しさだ。オーブンで丸ごとじっくり火を入れるととても美味しい。
小さい人参も葉っぱごと収獲して、素揚げにするとおいしく食べられる。
エゴマの実、収穫
6月ごろに種をおろし、夏場は葉っぱを収穫していたエゴマ。夏の終わりから花を咲かせ始めたため、葉っぱの収穫は終わりにして実の充実を待った。
霜が降る前、晴れが続いたタイミングを見計らって、10月12日に一斉収穫した。雨が降って、全体的に湿っている時に収穫すると、カビが生えたりするので注意。背丈が1mを越え、葉っぱが黄色に変わったら収穫する。時間が経ちすぎると、実が入っている花房の色が灰色に近い茶色になる。そこまでおくと品質が悪い気がするので、早めを心がける。
根元から刈り取り、雨のあたらない場所(今回はお借りしたビニールハウス)に運び込む。大体10日ほど経つと、全体がきつね色に変色する。そうしたら、脱穀や選別に入る。その様子や、実際の作業風景、収穫量についてはまた記事にするつもりだ。
大豆の刈り入れ
大豆の増産を目指して、去年より多めに作付した今年。初期除草にけずったろうを活用したおかげで、収穫まで草取りは三回で済んだ。省力化という点ではけずったろうを使って大成功だった。→【自然農】6月にやった実際の畑仕事とそれについての考え【寒冷地】
比較的肥沃な畑で栽培したからか、開花期に乾燥したためか、今年は実付きがあまりよくなさそうだ。とはいえ、葉っぱも枯れて、すっかり大豆になったので刈り入れを行った。
エゴマ同様、葉っぱがすっかり枯れたら収穫する。鞘を開けてみて黄色い大豆が出てくれば大丈夫だ。根元から刈り取り、雨のあたらない場所で暫く乾燥させておく。
見て分かる通り、手作業で脱穀するには多すぎる量の大豆が穫れた。これは冬の間にぼちぼちやって行きたいと思う。
里芋の収穫、保存
芽だし栽培をして大成功だった里芋の収穫も行った。その様子は詳しくまとめた記事があるため、そちらをご覧頂きたい。【自然農】寒冷地の里芋栽培。栽培記録と収穫量、考察【寒冷地】
里芋は長期保存する場合は地中深くに埋めてしまうのが良いと言われている。でも、寒冷地では真冬に土が凍ってしまって、掘りあげるのが大変になってしまう。そこで室内で保管できる方法をとってみた。
まず、芋を水洗いした後、しっかりと天日乾燥する。ここで表面が湿っているとカビが生えてしまうため、良く乾かすことが大切だ。最低でも3日は太陽に当てて乾かす。
乾いた里芋は新聞紙でくるんで、段ボールに入れて保管する。保管するのはいわゆる冷暗所だ。気温が5度を下回ると痛んでしまうため、8~12度の場所を探す。段ボールは密閉せずに閉めておくだけにする。
これで春まで食べ繋いで行ければいいなと思っている。食用とは別に種用の芋も選抜し、保管してある。里芋も自家採種することで栽培しやすくなるのだろうか。
まとめ
10月は草取りや間引きなどの大変な作業はなく、野菜の成長を待って、収穫をしていた月だった。
並行して、夏野菜の片づけや畝の整備をしていた。畑の大部分を占めていた夏野菜は背丈も高く、存在感があったため、片づけてしまうと一気に景色がすっきりした。
草の勢いも落ち着き、冬に備えるような気配があった。自給自足のためには一年中野菜を切らさない工夫が必要だ。真冬は耕作に適さない寒冷地では秋までに育てた野菜をいかに長持ちさせるかが重要になる。