実りの秋。一気に寒くなりました。

 今日は台風の接近に伴って、朝から強い雨が降り続いています。気づけば、10月になってから1週間がたとうとしています。今日みたいな天気の日は外に出ることもできません。畑仕事もひと段落し始め、ブログのネタがなかなか思いつきません。本当は書きたいネタはあるのですが、小難しい話で長くなることもあってなかなか筆が進みません。

 さて、10月も第二週ですが、今年は去年よりも寒くなるのが早い気がします。朝晩はストーブがないと、我が家のアパートは寒くてたまらなくなってきました。つい1か月前までは30℃を越える日が続き、汗をだらだら流しながら畑に出ていました。ですが、もう2,3枚着込まないと畑仕事には厳しい風が吹きます。

 今年は厳冬の予報で、雪も降るみたいですね。私の住む御代田町はほとんど雪が降らないのですが、今年は結構降るのかもしれないと今から憂鬱な気分です。

 冬は畑に出ることが無いので、おのずと時間がたくさんできます。夏の間できなかったことをするチャンスです。今年の冬はDIYとコーヒー焙煎に挑戦したいと思っています。その様子も日記形式で紹介できたらなと思います。

 来シーズンの畑をどうするか考えるのもとても楽しいです。今年は面積が狭いこともあり、作る野菜を搾ったのですが、来年はいろいろな野菜に挑戦したいと思います。畑の多様性はまず野菜から、という感じです。

 試してみたい方法や技術、観察してみたいこともいっぱいあるので本当に楽しみです。持続的で、楽しい農をどこまで実現できるか楽しみです。来年から取り入れようと思っている技術や取り組みもいずれまとめて紹介できればいいなと思います。来年、再来年と続けていくことで結果とともに紹介、普及になればいいなと思います。

 

 それではしばらく続く、実りの秋を楽しみましょう!

F1と固定種と自家採種への挑戦

 今回は野菜作りには絶対に欠かすことのできない、「種」についてのお話です。

野菜にはF1と固定種があります

 同じ種類の野菜でも、さまざまな品種がありますよね。ミニトマトなら有名どころの「アイコ」、「千果」など、ほかにもたくさんの名前がついたミニトマトが売っています。それぞれ品種の特徴を示した名前から、栽培適期を記したもの、ギャグのような面白い名前がついたものまであって、見ていると面白いです。

 これら数多くの品種は多くのものが種苗会社が長年の研究の末に開発したものになります。種の利用者やその収穫物を利用する人(生産者の農家、消費者の食品業界、一般消費者、中卸業者など)の要求に応える画期的なものが多いです。

 その中でF1種と呼ばれる品種と、固定種と呼ばれる品種があります。野菜の種袋の品種名のF1の横にF1の表記や○○交配と書かれているものがF1(交配種)です。カネコ種苗の種なら、カネコ交配、トキタ種苗ならダイヤ交配などですね。逆に○○育成と書かれているものや野菜そのものの名前で書かれているもの(「ミニトマト」や「ホウレンソウ」など)は固定種であることが多いです。わざわざ固定種と書かれているものは少ないです。

野菜も植物なので生き物です(当たり前)

 なんだか当たり前すぎて、忘れてしまっている人もいるかもしれませんが、野菜も生き物です。植物という大きなくくりの中に入っていくる野菜ですが、基本的に次世代に子孫を残すために種をつけます。

 人間も一人ひとりまったく同じ遺伝子を持っていることはありません(一卵性双生児はかなり似た遺伝子を持っていますが、それでもまったく同一ではありません)。それは植物も同じで、種ひとつひとつ微妙に遺伝子が違います。違う遺伝子を持つもの同士がまた実を結び、次世代はまたすこーしだけ違う遺伝子を持つことになります。遺伝子というのは生命の設計図ですから、違う性質を持ったものが生まれてきます。

 さらに外的環境に適応したり、外敵から身を守るためだったり、突然変異などでも遺伝子はどんどん変化、進化していきます。これが何億年と続いた結果、現在の多様な生物が存在しています。

 今私たちが普段食べている野菜は、それぞれの原種とは程遠いほど姿を変えてきています。人間が食べやすいように、栽培しやすいように少しずつ進化させてきたんです。とうもろこしなんかはかなり変化が大きいです。

 本来であれば、育てたものと同じものをまた作ろうと思ったら、種を採って、また播けばいいわけです。しかし、畑に行くとそんなことをしている人はほとんどいません。みんな種はお店で買います。なぜか。それはF1(交配種)について知ることで少し理解できます。

F1種の登場! 新時代の品種改良技術

 もともと野菜の品種改良は、長い時間をかけて少しずつ望む性質をもった品種になるまで繰り返し繰り返し選抜育種を行うものでした。

 この野菜の品種開発はF1の登場によって大きく変わりました。

 F1というのは別系統の品種を掛け合わせたときにできる雑種の一代目のことです。このF1種は雑種強勢という現象によって、親の持つ形質よりも優れた性質を持ち、さらに掛け合わせの特性上、お互いの親の優勢形質を両方併せ持ちます。これによって、F1種は狙った性質(耐病性や食味、耐寒性、耐暑性など)を持った品種を作り出すことができます。しかもその性質がすべての種で均一になります。

 F1種は従来までの品種(固定種と呼びます)に比べ、優れた性質を持っていることから、農業界で広く用いられるようになりました。同じタイミングで播いた種はほぼ同じように育つため、大量生産大量消費にうってつけの品種になりました。

 いいことばかりのF1種ですが、デメリットももちろんあります。F1は雑種の一代目しか、意図した性質を持ちません。つまりF1の子供(F2)は性質がばらけます(メンデルの第二法則)。なので、農家は毎年種を買わないと同じ品種を作ることはできません。また、異常気象や珍しい病害などで一網打尽にだめになってしまう可能性もあります。性質がみんな同じなのだから、だめなときはみんなだめになります。

固定種 -昔ながらの品種

 固定種はF1種が登場する前からあった、昔ながらの品種です。

 固定種はほしい性質をもった株から採種を続け、おおよその性質が固定された品種です。病気に強かった株同士を交配させることを繰り返せば、少しずつ種全体がその病気に強い一群になっていきます。

 固定種はF1ではなく、さまざまな世代が入り混じり、遺伝的に多様性を持っています。なので、同じ固定種の種でも少しずつ異なる性質をもっています。甘みが強かったり、生育が少し早かったり、同じ品種内でも多様性が生まれます。

 これによって、できる野菜は不揃いになりやすいです。形がばらけていたり、大きさがまちまちだと市場では評価されず、価格が安くなります。なので、大規模栽培にはあまり向かない品種になります。

 これでは固定種のいいところがないように思われますが、そんなことはありません。

 まず、固定種は次世代の種をまた使えます。第一世代ではないので、播いた種から育った種はまた大体同じ性質を持ちます(別品種が交配時に近くにあると交雑が起こり、性質がばらけます)。なので、種を買わなくても、自分で増やすことができます。

 しかも、種を採ることを繰り返すことで、野菜は少しずつ周りの環境に適応し、作りやすくなります。野菜自身が進化していくわけですね。これに加えて、おいしい実ができた株、病気にならなかった株から種採りをすれば、狙った性質を持った自分のオリジナル品種を作り出すこともできます。

私たちは種採りをしたい!

 ここまでF1種と固定種について、長々と書いてきましたが、一番伝えたいのは私たちが種採りをしたいということです。

 野菜を自分たちの手で作りたいからはじめた畑。できることなら、種を播いて、種を採って、その循環を組み込みたい。それが自然だと思うんです。「自分で蒔いた種は、自分で刈り取る」という有名な言葉があります。自分のしたことの責任は自分でとる、という意味です。これを少し変えて、「自分で蒔く種は、自分で採る」。これを私たちの柱としたいと思います。

 畑での出来事に、より一層深く関われるという点と、もうひとつ、種がその土地に適応していくということも種採りをしたい理由のひとつです。

 F1種を使えば、日本全国何なら世界中どこでも同じ野菜を作ることができます。これって、よくよく考えたら、ちょっと怖いことではないですか? 均一化が進み、個性がなくなる。多様性がなくなると進化が無くなり、衰退するばかりになってしまうのではないでしょうか。

 片や、種採りをすれば、遺伝子は少しずつ変化して、その土地だけのオリジナルの野菜になっていきます。それをたくさんの人が行えば、とても多様性に満ちた世界になっていくと思います。その土地にあったものが育つ。こっちのほうが自然で、いい感じがしませんか?

 ○○さんのミニトマト、△△さんのナス、□□さんのたまねぎといった感じで、作っているその人ごとに野菜が区別できるようになったら面白そうだなと思うんです。

 

 早速、私たちは今年からミニトマトやスナップエンドウ、オクラなどいくつかの野菜で自家採種に挑戦しています。その様子を順次ご紹介していきます。

2020年ミニトマトの自家採種-発芽率は上々
オクラも自家採種をしました
信州地大根の収穫。種採りにも挑戦。

 長い文章を読んでいただきありがとうございました。もっとわかりやすく簡潔にまとめられるようにがんばります。

私たちの野菜の育て方

はじめに。

 私たちの野菜を買って、このブログにも訪ねてきてくださった皆様、ありがとうございます。そして、ようこそいらっしゃいました。野菜の味はいかがだったでしょうか。楽しんでいただけたら私たちもうれしいです。

 Facebookでの投稿から来てくださった方、ありがとうございます。いつも私たちの野菜作りの様子を見ていただきありがとうございます。

 今回は私たちが野菜を育てるときに大事にしていること、考えていることをご紹介します。野菜つくりに対する思い、畑や土に対する思い、育て方(農法)、農業への向き合い方などさまざまなテーマになりますが、よかったら目を通していただけると幸いです。

食べ物を自分で作りたい

 私たちの原動力となるものはこれにつきます。食べ物を自分で作りたい。自分で作ったものを食べたい。どうせ食べるならおいしいものを食べたい。おいしい野菜を作るのは技術です。そして、その技術を使えるように、毎日畑に向かうことも重要です。

 野菜作りは楽なことではありません。どんなに暑くても、寒くても、野菜は待ってくれません。そんな畑仕事をこなすには、やっぱり楽しくできることが一番です。いやだなと思いながらではやっぱり楽しくないし、きっと野菜もおいしくできません。楽しくなければ、新しい知識を得ようと思わないし、楽しければもっといろんなことを知りたいという欲が出てくるはずです。

 楽しく仕事できるようなやり方を考えながら、日々過ごしています。

環境にやさしい、持続的な方法で作りたい

 私たちは、環境負荷が少なく、持続的な(10年も、100年も、もっと長く続く)方法で野菜を作りたいと思っています。資材の投入を少なくして、資材の循環を大事にする。こうすることで余計なコストを省くことができるのはないかと思っています。

 身近にあるものを使って、少ない資材で普通に野菜が作れたらいいなと考えています。反対にバンバン肥料を入れて、病気が出たら農薬を使って、虫が出たら殺虫剤を使って、余計に作って廃棄、といった農業にならないようにしたい。こういったやり方では土を痛めると思います。土がなければ野菜は育ちません。さまざまな研究や調査から、「今まで通り」の農業をしていたら、土壌が劣化し野菜が健康に育たなくなっていくという結果が報告されています。それを補うためにさらに肥料や農薬が投入されていくのではないでしょうか。

 土壌が劣化していくのではなく、回復しさらによくなっていくように野菜を作りたいです。しかも、資材に不必要に頼りすぎることなく。そうすれば、本当の意味での「持続的な農業」になると思っています。

お金は大事だけれど。

 私たちは、いわゆる農業してお金をいっぱい稼ぎたい! というわけではありません。もちろんお金は最低限必要だとは思っていますが、たくさんありすぎても困るし、たくさんあればいいわけではないなと(最近特に)思います。

 まだこの生き方をはじめたばかりで、自分たちがどのくらいのお金があればいいのか、どのくらいはたけるのかわかっていません。毎日、毎年、すこしずつ見極めて無理のない暮らしを送りたいと思っています。

 毎日、限界まで働いて、休日は力尽きたように休むのはちょっと私たちには無理のようです。特に農業の世界は早くから遅くまで働くのがえらい、という風潮がまだあるように思います。心がついていけるようなゆとりある状態で生きていけるのが一番です!

 そんな思いが野菜や畑に現れて、みなさんに届けばいいなと思います。

今後の私たちの暮らしの様子を見守ってください

 このブログは野菜作りの様子が多く語られています。私たちがどうやって野菜を育てているか伝わればと思います。

 今回書かせていただいた話も、掘り下げるともっとたくさんお伝えしたいことがあります。それぞれのテーマについて、今後記事にできればと思います。

 それだけでなく、私たちの生活、暮らしの様子も少しずつ綴っていきます。今後はInstagramなども活用していきますのでよろしくお願いします。

 いずれどこかでお会いできるかもしれませんね。

野菜の販売、始めました! 軽井沢にて。

 今年から畑で野菜を栽培し始めた私たち。もともとは自給用の野菜を作ることが目的なのですが、思いのほか順調に野菜が育って、とても美味しいものが毎日採れています。

 自分たちの食べるものは自分たちの手で、という思いからはじめた畑でしたが、心の中にほかの人にも自分の作った野菜を食べてほしい、届けたい、という思いもありました。少しずつ規模を大きくして、いずれは販売していきたいと考えていました。普段はあまり見かけない野菜を、ベストな状態で、新鮮さを保って届けたらなと。

 ありがたいことにその機会をいただけましたので、少量ではありますが販売を始めました!

 私たちの野菜を取り扱ってくださるのは、軽井沢チャーチストリート内の「yoito」という生活道具と珈琲を取り扱う雑貨屋さんです。素敵な一点ものや作家ものにこだわった食器や生活雑貨がたくさん並んでいます。

 こちらのお店で、今年の春からアルバイトさせていただいています。こちらの店長の方から野菜を販売する提案をいただき、ズッキーニとミニトマトを置かせてもらっています!

 今はズッキーニとミニトマトだけですが、秋に入れば大根、人参なども販売できればと考えています。そして、来年はもっともっと増やせればなと思っています。

 yoitoが入っている軽井沢チャーチストリートは旧軽井沢の銀座通りにあり、ほかにも魅力的なお店がたくさんあります。夏の観光地として有名な軽井沢にお越しの際はぜひお立ち寄りください!

 毎週月曜日と木曜日は、私自らお店に立っていますので、直接お話できたら嬉しいです。

 

 野菜を販売する以上、テキトーなものは出せません。これまで以上にがんばって畑仕事に挑もうと思います!

 

畑のご紹介

 とっても久しぶりです。冬は畑についてやることがなくて、全然ブログを更新していませんでした。いろいろ今後のことを考えてみたので、少しずつ記事にしていきたいと思います。

 前回の記事で開墾した畑、実際よく観察してみると日当たりが非常に悪いことがわかりました。

 一日の中で日があたるのは午前中の短い時間だけ。あとの時間は防風林にさえぎられてしまいます。今年は主にイタリアンミニトマトを栽培しようと考えていたので、日当たりは非常に重要。しかも、この畑は2.8aと小さくて、どうしようか考えていました。

同じ日の別角度から。1枚目の日が当たる部分は草が見えるけど、日当たりが悪い2枚目は草が生えてきていない。

 そんな折、この畑を紹介してくれ、アドバイスを下さったり、様々な道具や資材を貸してくださっているKさんのご厚意で、ご自身の畑を少し使わせてもらえることになりました。

 こちらの畑は浅間山をバックに、日当たりも抜群です。若干傾斜があり水はけも良さそうです。面積は8aほどで、そのうち3aほどをイタリアンミニトマトの圃場としてお借りしました。

 今後のこの畑に施肥をして、畝立てやマルチング、ミニトマトの定植をしていこうと思っています!