ミニトマトの育苗をやってみよう! 幼苗定植で省力化と樹勢の強い株に仕立てる。

ミニトマトの栽培は苗作りからスタート

 ミニトマトをはじめとしたナス科、ウリ科などの果菜は、栽培期間が長く(長いもので4ヶ月ほどかかる)、発芽温度も25度前後の高温を必要とするため、その栽培には育苗することがほぼ必須となります。芽が出るくらい暖かくなってから畑に直播しても、実がなり始めるころには生育適温を過ぎて寒くなってしまいます。

 ということで、まだ寒い時期に種まきして、室内やハウス内で加温等によって生育温度を確保して苗を育てます。ホームセンターや種苗店では苗も取り扱っています。

 今年、私たちがメインに栽培しているミニトマトは自家採種した種を使っているので必然的に自家育苗となります。今回は、自分で育苗すること、そしてミニトマトの定植についてまとめていこうと思います。

自分で育苗してみる

 ホームセンターなどで売っている苗を買わずに、自分でミニトマトの苗を作るメリットは大きいです。

 まず、うまく育てれば十分良い苗ができることです。
 ミニトマトは発芽に比較的高温(25~30度)を要求しますが、その後は最高気温25度、最低気温10度以上の管理で十分です。日中日当たりのよいところにおいて、夜間は室内に取り込むこと(日だまり育苗という)でほぼ達成できます。あとは水を与えすぎないことに注意します。夜間に湿り気が多すぎると徒長しやすくなります。
 温度と水分の管理と日光にあてることを守れば自分でも育苗できます。写真は今年育苗したトマトの苗です。発芽直後に日光が乏しかったのと、50穴セルトレイで込み合ってきたので若干徒長しています。葉色、背丈、葉数ともになかなか立派に育ってくれたと思います。

210519 葉3枚目
育苗22日目のミニトマト苗

 また、好きな品種のトマトを栽培できます。ホームセンターなどの販売店では決まった苗しか取り扱いがありません。世の中にはいろいろな品種のトマトがごまんとあるので、自分の好きな品種を育てられるだけで、育苗にチャレンジする甲斐があります。私たちはトマトだけでも5品種ほど栽培するので必ず育苗しないといけません。

 そして、トマトに無理をさせない、最適なタイミングで定植できます。
 私たちが住む、長野県ではGW前後にミニトマトの苗が並びます。この苗はすでに定植サイズで花がついているものです。さっさと植えてしまわないとどんどん苗が老化していきます。
 しかし、GWではまだまだ寒い日もあり、最低気温は一桁になることもしばしば。霜は降ることもあります。1,2週間すればかなり暖かくなって植えごろになるのですが、そのころにはひょろひょろで、葉っぱが黄色くなったような売れ残りの苗しかない場合が多いです。

 自分で育苗すれば、定植日を設定して、育苗期間を逆算すれば最適なタイミングで植え付けができます・

幼苗定植のメリット、デメリット

 通常ミニトマトの苗は、本葉が8枚で果房が咲き始めているものを植えつけるのが良いとされています。これはすでに花がついている株は収穫が早い(ミニトマトは開花40日ほどで収穫になる)、成長が実をつけるほうに傾いているからといわれています。一方でまだ花がついていない苗を「幼(若)苗」と呼びます。

 植物の成長には、樹(茎や葉っぱ)が育つ「栄養成長」と花や実(いずれは次世代の種になる)が育つ「生殖成長」の二種類に分けられます。
 通常の定植サイズの苗はこのうち、栄養成長がすでに始まっているといえます。ミニトマトであれば花が咲いてから40日ほどで収穫にいたりますので、植え付けから1か月ほどで収穫できます。
 幼苗は本葉5枚ほどで定植になるので、まだまだ栄養成長真っ只中です。育苗ポットの狭い環境から広い畑に植え替えられると、一気に根を広げて葉っぱを茂らせていきます。

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2020年に植えつけたミニトマトの苗
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定植から1か月後。ちゃんと花がついた。

 樹ばかりが育ち、花がつかなかったり落ちてしまう状態を「樹ボケ」、「樹が暴れる」といいます。これは樹を伸ばすほうにだけ栄養が集中してしまい、実がつかないことをいいます。幼苗の場合、葉っぱが5枚程度とまだ花がつくには時間がある状態で植えるので、樹ボケが起こりやすいといわれています。

 樹ボケしてしまうと収穫が減ったり、遅れてしまうので困り者ですよね。ということで、最初から花がついた、「生殖成長」が始まった苗が好まれるわけです。

 一見幼苗定植は良くないじゃん、となりますが適正サイズの苗にも問題があると考えています。それは①一般に9-12cmポットで花がつくまで育っているため根が弱りやすいこと、②ポットの土に対して地上部が大きいので活着にエネルギーを使うこと、③すでに生殖成長が始まっているので樹が育たない(根張りが良くない)ことです。

 つまり、大きな苗は植えつけてからの栽培が難しくなるということです。定植直後の苗はまだまだ小さいのでどんどん根っこをのばして、枝葉を茂らせ光合成をしたい状態です。そのときにもう実がついているので、栄養をそっちに持っていかれてなかなか樹を充実させられません。結果、真夏本番のころには樹が弱ってしまい、成りつかれしてしまいます。

 一方、幼苗で植えるとまずは樹を育てることだけに栄養を使えるのでがんがん育っていきます。地上部と地下部の成長は一致しているので根っこもどんどん伸ばしていきます。すると、ちゃんと根っこを伸ばしているので梅雨明け後の乾燥期にも樹がしっかり栄養、水分を吸収でき実もしっかりついていきます。最初は遅れますが、あとから一斉に実らせてくれます。

 ミニトマトは花が咲いてから約40日で実が熟してきます。5月初旬に花つきの苗を植えて40日後に初収穫になったとします。まだ梅雨真っ只中で日照も乏しい時期のトマト、あまりおいしくなそうですよね。
 あせらず梅雨明けの7月半ば以降に収穫を迎えるほうが真夏の太陽を存分に浴びた美味しいトマトをたくさん食べられていいと思います!

200914 鈴なり
9月半ば頃。鈴なりのミニトマト。

 樹ボケをしてしまうのは過剰な栄養があるからという場合が多いです。小肥で樹を育て、花がついてから様子を見て追肥を行う管理をします。

 また育苗期間もかなり短くできます。
 通常の適正サイズにするには約2ヶ月ほどかかります。まずは育苗箱やポットに複数播きして、本葉が2,3枚出たらポットに鉢上げして、さらに花がつくまでと、約2ヶ月弱かかります。花がつくほど大きい苗だと9cmポットでも小さいくらいでそれによって土の使用量も増えてきます。

 一方、私たちが行っている幼苗育苗では約3週間の育苗期間で植え付けサイズになるので時間が半分で済みます。しかも、育苗期間が短いので最初から最後まで50穴セルトレイで育苗できます。写真は発芽2週目の苗の様子です。少し葉っぱが触れ合ってきましたがまだ十分なスペースがあります。72穴セルトレイだと少し窮屈すぎるかもしれません。

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育苗22日目のミニトマト苗

ミニトマトの植え付けまであと少しです

 今年のミニトマト栽培、まずは植え付けが五月の終わりに待っています。

 夏野菜の植え付けはGWあたりといわれており、私たちの住む長野県でも第二週までには植え付けが終わっている人が多く見られます。ホームセンターでは植え付け間近の苗がGW前から売られているので、良い苗を買うには早くしないといけないので仕方がないことなのかもしれません。

 トマトは最低気温が15度を超える日が出てきてから、平均気温が17度ほどになってから植えたほうが、生育に影響を与える低温を回避できます。なので私たちは5月の第4週に植え付けの予定とし、それにあわせて苗を育てています。今年は、梅雨が例年より早く訪れるようなので、天気を見ながら定植していきたいと思います。

 収穫は遅れますが、梅雨が明ける7月中旬の真夏から収穫できるミニトマトは最高に甘くておいしいです。樹も体力があるので10月上旬まで収穫できます(この頃には大分味は落ちますが)。

 同じようにナスも高温を好む植物なので無理な早植えはせずに6月頭の植え付けの予定でいます。野菜は旬の時期が一番おいしい、と考えて適期栽培を守ります。

オクラも自家採種をしました

 今回はオクラの自家採種をしました。今年栽培したオクラは一般的な角オクラではなく、スーパーでは島オクラとして販売されていることが多い、丸いオクラです。品種は「エメラルド」(タキイ種苗)です。多少大きくなっても、やわらかく甘みがあるおいしいオクラです。

 このエメラルドですが、畑になじんでいないのか、あまり大きく育ちませんでした。生育初期にアブラムシがつき、株が弱ったり、病気になった株も多かったです。自家採種をすると、一世代でもかなり畑に適応して育てやすくなるそうです。来年、そのあたりの育ちやすさなどの変化が楽しみです。

採種の仕方

 オクラの採種をする場合は、実を収穫せずに残しておきます。するとどんどん大きくなり、25cm以上になります。実は硬くなり、とてもじゃありませんが、食べられなそうな見た目になります。

収穫しなかったらこうなる

 そのまま、おいておくと次第に色が褐変していきます。ミイラ化してくるといった表現だとわかりやすいかもしれません。採種果がついている樹は生長が著しく遅くなり、新しい花も咲かなくなります。種に栄養を集中させているんですね。

 指南書には、開花後40日ほどで種が充実するとあります。採種果の柄に開花日を書いたカードを結び付けておくとわかりやすいですね。

 今回はそれを怠ったので、とにかくかぴかぴに乾燥するまで畑においておきました。見た目はまるで枝のようです。雨の後だと湿気が残っていて面倒なので、晴れが何日か続き、しっかり乾燥してから収穫します。手触りもざらざらかさかさです。 

採種果

 採種は4本で、病気もなく、成長がよかったものから採りました。実の縦方向、繊維に沿って爪を入れると、真っ直ぐ裂けます。中には灰色っぽい種がたくさん入っています。中にはきれいな丸でなく、欠けたような種があります。このようなものは不良品としてはじきます。

筋に沿って裂く
不良品の種

 数えてみると約200粒ありました。1本の実につき、50粒の種が取れる計算になります。来年使う分は自家採種でまかなえることになります。

オクラも交雑に注意!(が必要な場合あり)

 オクラは比較的交雑しにくい植物です。トマトやナスと同じく、雌雄同花(雄花と雌花が同じ花に咲く)なので基本的には自家殖性で交雑しにくいです。しかし、近くに別品種があると交雑するので、複数品種を栽培、自家採種する場合は採種果が咲く前に袋がけし、交雑を防ぎます。

 私たちも来年はオクラの品種を増やしたいと思っているので、実際に交雑を防ぐ方法を試してみようと思っています。

種の保管の仕方

 採種した種に限らず、購入した種を一年で使い切らずに保管しておくことがあると思います。適切な保管をしないと種の質が悪くなり、発芽率が著しく低下したり、発芽しなくなったりします。

 種を保管しておく上で気をつけないといけないのは湿度です。種は水分がないと発芽しないので、裏を返せば水分があると発芽する準備を始めてしまいます。すると余計なエネルギーを使ってしまうので、乾燥した場所に保管します。密閉できるビンやジップロックなどに、乾燥剤とともに入れておくと安心です。

ビンに入れて保管する

 保存容器には品種名と採種日を明記しておきます。購入種子でしたら、種袋を切って入れておくと良いです。同じ科の野菜で複数の品種を持っている場合は、混ざるとわけがわからなくなってしまうのでしっかりと判別できるようにしておきます。日にちを残しておくのは、種の寿命を把握しておくためです。

 また、日光が当たる場所は避けた方がいいです。種に光が当たると暑くなってしまい、品質を下げます。生命力の弱い、にんじんやたまねぎなどの種はできるだけ光が当たらないようにします。にんじんは光がないと発芽できない好光性種子です。暗闇に保管するようにします。

 温度変化も避けた方が良いです。これらの条件をすべて満たすのが冷蔵庫です。種を保管しておくときは、密閉して冷蔵庫に入れておきましょう。自家採種をしている農家さんや家庭菜園家の方は専用の冷蔵庫を用意しているそうです。私たちも今年、結構な種類の野菜の種採りをしたので、スペースを圧迫しています(汗)。いずれは専用冷蔵庫を必要になるかもしれません。

2020年ミニトマトの自家採種 採種方法と発芽チェック 

 ついに、今年初めての霜が降りました。よりいっそう冬に近づいた感じがします。 

 10月半ばからゆっくり、ミニトマトのアーチの片付けをしていました。さすがに10度を下回ると、味もかなり落ちて、樹も弱って見えました。ひと夏かけて、じっくり茂らせた葉は翌年以降の養分となります。この生命の循環を大切にしたいです。

 先日ミニトマトの種採りを行いました。本来であれば、樹勢の強い時期(第2-3花房くらい)に行うのが良いのですが、種採りをするか迷っているうちに収穫が進み、残るのは数日前に完熟状態で収穫したもののみになってしまいました。

 というのも、私たちが今年栽培した、ロッソナポリタンという品種はF1(交配)種なのです。F1種から種採りをすると、次世代となるF2では性質が大きくばらけます。つまり、採れた種の遺伝子はみんなちがってみんないい状態になります。
 すると、おいしくなかったり、病気に弱くなったり、実の大きさが変わったりする可能性もあります。このミニトマトは私たちが一番力を入れている品種なので、品質がバラけると困るなと思っていました。

 ですが、せっかくならやってみよう! ということで実際にやってみました。実際のところF2世代の種から育ったトマトがどれほど変化するのか気になったというのもあります。また、種採りをするメリットのひとつ、環境に適応して育てやすくなる、という現象が本当に起こるのか早く確認してみたかったのも大きな理由です。そして、お金もかからないし、とにかくやってみないと始まらないとも思いました。
 来年、性質がバラけたら、おいしい実をつける株、元気に生育している株からまた種採りえをすればいいだけです。

 さらに、私たちが種採りをする際に参考にしている書籍、「種取りのコツのコツ(農文協)」という本に中にF1トマトから選抜、種採りを続け、大玉、中玉、ミニの3品種を固定したという記載がありました。この品種から中玉や調理用の品種がとれるかもしれません。

種採りをするときの注意点

!種採りをする際に注意しておくことがあります!

 それはその品種が種取りを許可されている品種であるかどうかを確認することです。品種は「登録品種」と「未登録品種(農林水産省は一般品種と呼んでいる)」の二つに分けられます。登録品種は「育成権」が認められています。これは音楽や絵画などにおける著作権に同等する権利です。

 そのため登録品種の採種や採取した種の再販は禁じられています。また、自家採種した種(これも違反ですが)から収穫した作物の販売、譲渡も禁じられています。営利目的でない、家庭菜園であれば、自家消費に限り採種が認められています。

 品種登録のない、一般品種は自家採種が認められており、採種した種自体もその種からの収穫物どちらも販売、譲渡可能です。

 そもそも品目によっては品種に関わらず自家採種、わき芽挿しのような「自家増殖」が禁止されている場合があります。

 今回種採りをしようと思っている「ロッソナポリタン」(パイオニアエコサイエンス)は登録品種ではないので採種可能です。こちらのページから検索できるため、自家採種をお考えの方は一度調べてみてください。

 

ミニトマトの種採りの仕方

 ミニトマトの種採りは非常に簡単です。なぜなら食べるために育てた実からすぐに種を採れるからです。赤くなった実は種が成熟しているので採種果を簡単に手に入れられます。

 品種によりますが収穫した実を使えば大丈夫です。さらに常温で1週間ほど追熟させればさらに安心です。少しやわらかくなってきたくらいのほうが簡単に種が採れます。

 用意するのは、手ごろな大きさのビンと、包丁、中身をくりぬくためのスプーンやバターナイフです。ビンの大きさは、採る種の量によって変わります。小さすぎると発酵させているときにあふれて大変なことになるので注意が必要です。

 実を半分に切って、

201009 半分にしたところ
半分に切る

 種を包むゼリーごと掻きだします

201009 掻き出すところ-2
ゼリーごと種を搔き出す

 この状態で常温で3日ほど発酵させます。こうすることでただ洗うよりも、種を包むゼリーを取り除きやすくなります。

 発酵してきたら(けっこう匂います)、水でしっかりと洗います。ここでゼリー質が残るとかびる原因になるのでちゃんと洗います。今回は排水溝のごみネットを使用しました。

 水洗い後は天日干しで2-3日ほど乾燥させます。今回は晴天の予報がなかったので布団乾燥機とビンを組み合わせて、徹底的に風乾させました。

201012 ネットで洗ったところ
乾燥させる

 写真ではわかりにくいですが、自家採種したものは種の表面にうっすらと毛が生えています。今年購入した種はつるっとしていたので、市販品は調整の段階で毛がなくなってしまうのかもしれません。

ちゃんと発芽するかテストしてみる

 種が採れたら、ちゃんと発芽するのかどうか確かめます。やり方は簡単で、食品トレイにぬらしたキッチンペーパーを敷き、その上に種を置くだけです。上からラップをして乾かないようにしたら暖かい部屋においておきます(最低でも20℃以上)。このまま5日ほど置いておくと、発芽するはずです。

201012 発芽試験

 5日目、種を確認してみると、20粒中15粒が発芽していました。発芽率は75%ほどで市販品とほぼ変わりません。

 ひとまず、種としてはちゃんと機能しているようです。あとは来年栽培してみて、といった感じです。同じトマトでも品種によって葉っぱの様子も変わってくるので、丁寧に観察してみようと思います。

にんにくの植え付けをしました

 先日のたまねぎに続き、にんにくも植えつけてきました。

 にんにくほど、日々の料理の縁の下の力持ちが似合う野菜はいませんよね。私たちも毎日一欠けは必ず使っている気がします。特にぺペロンチーノはにんにくが必須! おいしいにんにくがあれば、間違いありません。

 そんなにんにくですが、スーパーにいくと中国産と青森産、最近はスペイン産と並んでいますが、大きさや値段はかなり違います。青森県産のにんにくは国産の7割ほどを占めていて、大きな6片の「ホワイト6片」という品種になります。値段も1球400円ほどとなかなかの高級品です。一方、中国産はどなたも一度は買われたことがあると思いますが、3球100円以下と、こちらはすごく安価。一球一球も小さいです。スペイン産は青森産ほどのおおきさで1球100-200円ほど。ちょうど、青森産と中国産の真ん中の味や価格ではないでしょうか。

 違うのは値段や大きさだけでありません。においと味や食感に大きな差があると思います。

 青森産はにんにくの良い香りで、火を通すとほくほくとした食感になります。一方、中国産のものは、いわゆるにんにく臭いといった感じ。味も少し味気ない気がします。

どっちも育ててみよう

 栽培する品種はどうしようかと考えたのですが、私たちはとりあえず中国産のにんにくと、青森県産のにんにく、どちらも育ててみることにしました。

 というのも、畑の土や栽培方法によって野菜の味は大きく変わります。もしかしたら、あんまりおいしくない中国産のものもおいしくなるかもしれません。

 しかも、国産のにんにくだけ栽培しようと思ったら、種代にすごいお金がかかります。もちろんたくさん国産を育てたいところですが、今年の植え付け量から見て、種代だけで万は超えてしまいます。そこで国産の「ホワイト6片」は2000円分くらいにして、来年以降の種用に増やすことにします。残りは中国産のにんにくを試験的に育ててみることにします。

にんにくの品種

 にんにくは思ったより種類が豊富で、大きさや香味などが異なります。また栽培する地域によって、品種が大きく分かれてきます。

 国産のものは7割近くが青森県産で、一球に白い大きな麟片が6個つくことから「ホワイト六片」という品種が栽培されています。中でも「福地ホワイト六片」という品種が最高級ブランドとして知られています。にんにくはその品種が開発された地名をとったものが多いです。

 ホワイト六片は青森を中心に栽培される「寒地系」にんにくで、同じ寒地系には「富良野」(北海道の富良野地域)などがあります。

 一方、暖地系の品種もあり、葉にんにくや茎にんにくとして栽培されてことが多いです。有名なものでは、「壱州早生」や「上海早生」などがあります。いずれも、寒地系のホワイト六片よりも香りが劣るものが多いです。

 本来はにんにくではありませんが、一般的にはにんにくとして扱われている品種として、「無臭にんにく」や「ジャンボにんにく」があります。こちらは無臭に近く、より食べやすいにんにくとして知られています。

 スーパーで大量、安価に販売されているにんにくはおそらく暖地系の「上海早生」の嘉定種のものではないかと思います。暖地系なので、冷涼な長野県では栽培しづらいかもしれません。品種による成長の違いが観察できて、良い経験になることを期待します。

植え付け前の一手間で発芽をそろえる

 にんにくの植え付けは簡単で、球になっているにんにくをばらし、麟片にします。これをそのまま地面に植えるだけです。実を覆っている薄皮(むきにくくて料理のときにイラッとする)は剥かなくてもよいそうです。

 ですが、より発芽を揃え、確実に芽を出させる一手間をインターネットで発見したので実際にやってみることにしました。

 それは薄皮まで剥いて、水に浸した後、冷蔵庫で数日おいて根出しをする、というもの。薄皮まで剥くので時間がかかるのですが、かなり発芽がよくなるそうです。

 まずは買ってきた種用にんにくを水につけておきます。今回は2時間ほどさらしておきました。そして、薄皮まで剥いていきます。このとき水につけておかないと薄皮がくっついて、非常に剥きづらいです。傷をつけるとそこから病気が入る原因になるので慎重に剥きます。

 ついてでサイズごとに並べておきます。植えつけるときにサイズ順に並べたほうが、種の大きさが収穫にどう影響するかわかりやすいと思ったからです。

 これを袋にいれて、冷蔵庫に入れて3日待ちました。

植え付けと発芽の様子

 3日後、にんにくの様子を見てみると、根っこが少し出ていました。この根っこを傷つけないように丁寧に植えつけます。

201018 発根している
かわいい根が出てきた

 植えつけるときは押し込まずに、スコップや指で土をどかして穴を開けます。そこにそっと置いて土を寄せます。深さは大体5cmくらいになるようにしました。

201018 植え付けする畝
植え付け完了

 数は青森産「ホワイト六片」が70個ほど、中国産「嘉定種(推定)」が200個ほどです。

ちゃんと発芽してきました!

 植え付けから4日目。にんにくが発芽してきました。普段は保存中に芽が出てしまって、あーあと思うところですが、今回は地面からひょこっとでてきた芽がかわいい。今のところ、中国産のほうが発芽してきており、ほぼ100%発芽しています! 青森産のほうはまだまだこれから、といったところ。

 やはり早生か晩生か、暖地か寒地かで変わってくるのでしょうか?

201024 にんにく発芽
発芽した!

 ここから成長が止まる真冬までに草丈15-20cmくらいになればちょうどいいですが、どのくらい育つのでしょうか?

たまねぎの植え付けをしました

 来年春に収穫するたまねぎの植え付けを行いました。私たちは日常的にたまねぎを料理に使うので、自給自足する野菜の中では優先度が高めです。

 はじめての栽培でしたが、思い切って育苗からやってみることにしました。いろいろ調べながらの栽培でしたが、どうだったのでしょうか。ひとまず定植までたどり着けてよかったです。

たまねぎは苗作りが大切?

 たまねぎは畑に直接種を播いて育てる野菜ではありません。プロ農家も、家庭菜園でも苗を事前に作ってからそれを秋に定植します。

 たまねぎの種は寿命が短く、発芽率も悪いので畑に播いても、ロスが多くなってしまいます。さらに真夏での種まきになるため、水分管理が難しいです。結果、苗を作ることが必要になります。

 苗自体は秋になれば、ホームセンターや種苗店で販売されています。なのでそれを購入して植えつければ簡単に栽培を始められます。しかし、たまねぎ栽培について調べたところ、たまねぎは苗のできで翌年の収穫の質がかなり左右されます。大きすぎる苗だと、春先に腐ったり、トウ立ち(花が咲いてしまうこと)してしまい、収量が落ちます。

 見たところ、市販の苗は大きすぎるように見えます。また、土から抜いた状態で売られているのも気になります。たまねぎは丈夫な作物で簡単に根付くようですが、苗の鮮度が落ちていることは確かです。

 しかも、市販苗は自家育苗と比べて非常に高価です。大体100本/500円くらいするようです。一方、たまねぎの種は、家庭菜園用の小袋が300円ほど、一袋に500粒ほど入っています。なので100本あたり60円ほどしかかかりません。スペースはとりますが、それでも肥料の値段を考慮しても圧倒的に安価です。

 そこで今年は苗から栽培してみることにしました。植え付ける場所の真横で育苗すれば、抜いたばかりの元気な状態で植えつけることができます。

無肥料での苗作り

 真夏の8月25日にたまねぎの種まきを行いました。品種は固定種で、貯蔵性の高い中晩生の「泉州黄たまねぎ」です。今回はそれまで雑草が旺盛に生育していた場所だったため、無肥料で行うことにしました。もし、苗の出来が悪いようなら、来年少し調節しようと思います。

 発芽には1週間ほどかかりました。

200904 苗の様子
発芽してから4日目の様子

 成長がゆっくりで毎日見ていると、ある日突然成長したように感じられます。途中除草を3回ほど行いました。成長が遅いので、雑草に負けないように注意しました。

 ある程度大きくなったころ(5cmくらい)、間引きを行いました。株間を1-1.5cmくらいにします。

200919 苗の様子
発芽後14日目

 9月中頃になると一気に気温が下がって、雑草の伸びが鈍くなりました。一方たまねぎは暑さを乗り切り順調に成長しています。植え付けの日にはこのくらい育っていました。

201013 苗の様子-2
いい感じに育ちました!

 葉先の枯れもなく、少し小ぶりですが元気に育ちました。適正サイズは鉛筆の太さほどといわれていますが、それって結構太いなと思いましたが、どうなんでしょうか。今回は菜ばしくらいの太さに仕上がりました。

植え付け作業の様子。剪定と根きり

 直育苗なので、まずは苗を抜き取ります。かなり根がしっかり張っていて、何本かちぎってしまいました(笑)。根っこが5cmくらい伸びています。

 苗を植えるときに葉っぱはきってしまっても良いそうです。特に育ちすぎた苗では、植えつけるときに絡まってしまい、作業性が落ちたり、土について病気をもらうことがあるようです。今回はマルチ栽培ですが、草丈を揃えました。

 そして、根っこも1cmくらいに切りそろえます。たまねぎは浅く植えるのがポイントですが、根っこが長いと邪魔になります。また、刺激を与えることになり、発根が良くなる効果もあるようです。

 抜いてみると、意外とサイズにばらつきがあったので大中小の3サイズに分けました。ちょうどいいサイズの大が7割ほどで、一番小さいものはお試しで植えてみることにします。

植え付け作業と反省点

 いざ植え付けです。穴あきマルチを使っているので、土をほじって植えるだけです。根の上の白い部分が土に隠れる程度の浅植えにします。どんどん作業を進めて、30分ちょっとで終わりました。

201018 定植完了
植えつけたたまねぎ

 植えられる株数は270くらいありましたが、苗が足りず210株くらいになってしまいました。残った穴にはその後、にんにくを植えつけました。育苗のときからすこし苗が足りないとは思っていましたが、思ったより足りませんでした。

 来年はちゃんと計算して育苗してみようと思います。

 無事植え付けができました。最低でも1週間ほどで根がついて、起き上がってくるはずです。後は年内に一度追肥して、年明けに様子を見てもう2,3回追肥をします。草取りも春になったらやりますが、基本は放置です。