夏野菜の名わき役、オクラは密植栽培がおすすめ。省スペースでたくさん収穫しよう!

 家庭菜園で野菜を育てるとなったら、ミニトマトやナス、カブや大根、葉物野菜などがまず候補に上がるのではないでしょうか。これらは家庭菜園で育てる野菜の定番ですよね。

 オクラは比較的栽培しやすく、夏の日照りも大雨でも元気に育つ強い野菜です。刻むとねばねばになって、未熟な種のプチプチした食感も楽しいですね。栄養価も高く、真夏の疲れがちな身体にぴったりの食材です。

 今回はそんなオクラの密植栽培について、その特徴とやり方、注意点をまとめていきます。昨年実際に密植栽培をして失敗した経験を踏まえて、今年はより良い方法を試してみます。

オクラの密植栽培のメリット

 オクラはぐんぐん縦に伸びていき、順調に育てば背丈2m以上にもなります。その分横にはあまり広がらないので少ないスペースでも栽培することができます。

 背丈もがんがん伸びる一方、実もすごいスピードで成長します。一日採り逃すと次の日には筋張って食べられないなんてこともあります。筋張ってしまったオクラは、なかなか食べづらく食味も落ちるのでがっかりします。

 しかも、背丈が伸びていくとそのうちに手が届かないところで実をつけ始めてしまいます。こうなると踏み台などを使って収穫することになるので面倒ですよね。

 そこで通常、1株1本、多くても3本ほどで栽培されるオクラを1株5本以上、最大8本くらいまとめて栽培します。すると、狭いところでオクラたちがお互いに成長を抑制しながら育つので、背丈が高くなりすぎるのを遅らせることができます。

 しかも、実自体も伸長スピードも遅くなるので多少余裕を持って収穫できます。日陰が増えるので肉質も柔らかくなります。

200712 オクラと空心菜
密植栽培のオクラ

種まき時の注意点

 オクラの密植栽培をする上で、注意するのは種まきと間引きです。

 昨年、実際に1株8本の密植栽培に挑戦しました。(→オクラ初収穫! 1株8本の密植栽培)栽培記録が飛んでいるのでいきなり収穫になっていますが、実は8本すべてが育った株はなく、多くても5本ほどに減っていました。

 おそらく一本一本が近すぎました。草勢を抑えるための密植とはいえ、発芽1週間と経たないうちに葉っぱが全部触れ合ってしまうようだと光合成が十分行われません。地下の根っこもお互い、邪魔しあってしまって、しっかり根を張れなかったのではないかと考えています。

 さらに昨年は生育初期にアブラムシが発生しました。1本、2本とアブラムシがいるオクラが増えていきました。このとき、数あるオクラの中でも優先的にアブラムシに食われる株がありました。そして8本仕立てにこだわりすぎて、虫害にあった株を間引くのが遅れました。結果、どんどんアブラムシが広がってしまいました。

 同じ作物でも、それぞれ個体差があるので虫害がよくでるもの、あまりでないものがあるのでしょうか。そういった『弱い』株を虫が間引いてくれているという考え方もできます。

 よって、
①1株内の間隔をあける(種同士を3cmくらい離す)
②よく観察し、虫がつき始めたら早めに間引く

 これを心がけて、今年の栽培に挑戦したいと思います。

今年栽培するオクラの品種

 私たちが栽培するオクラは次の3品種です。

オクラの種たち

エメラルド(タキイ種苗)
 こちらは昨年栽培したオクラです。丸形の島オクラ系の品種です。15cmくらいまで伸ばしても柔らかく、早採りすると生でもおいしく食べられます。自家採種可能でしたので、今年は自分で種採りしたものを使用します(→オクラも自家採種をしました)。

ベニー(タキイ種苗)
 生食の彩りと思い、赤オクラをチョイスしました。

ダビデの星(藤田種子株式会社)
 多品目少量生産農家や、家庭菜園愛好家のなかでは有名なダビデの星(スターオブデイビット)は作ってみたくて挑戦します。加熱するととても食味が良いみたいです。こちらも種採り可能なので今年は種採りも行います。

 オクラは直根系(根がまっすぐのびる)の作物で、移植を嫌うので直播で栽培する予定です。アフリカ原産で暑さを非常に好むので十分に暖かくなってから播きます。当地では当分種まきは先になりそうです。おそらく5月下旬になるでしょう。
 これから種を注文しても十分間に合います。ぜひオクラを栽培してみてください。新鮮なオクラは格別ですよ!

オクラも自家採種をしました

 今回はオクラの自家採種をしました。今年栽培したオクラは一般的な角オクラではなく、スーパーでは島オクラとして販売されていることが多い、丸いオクラです。品種は「エメラルド」(タキイ種苗)です。多少大きくなっても、やわらかく甘みがあるおいしいオクラです。

 このエメラルドですが、畑になじんでいないのか、あまり大きく育ちませんでした。生育初期にアブラムシがつき、株が弱ったり、病気になった株も多かったです。自家採種をすると、一世代でもかなり畑に適応して育てやすくなるそうです。来年、そのあたりの育ちやすさなどの変化が楽しみです。

採種の仕方

 オクラの採種をする場合は、実を収穫せずに残しておきます。するとどんどん大きくなり、25cm以上になります。実は硬くなり、とてもじゃありませんが、食べられなそうな見た目になります。

収穫しなかったらこうなる

 そのまま、おいておくと次第に色が褐変していきます。ミイラ化してくるといった表現だとわかりやすいかもしれません。採種果がついている樹は生長が著しく遅くなり、新しい花も咲かなくなります。種に栄養を集中させているんですね。

 指南書には、開花後40日ほどで種が充実するとあります。採種果の柄に開花日を書いたカードを結び付けておくとわかりやすいですね。

 今回はそれを怠ったので、とにかくかぴかぴに乾燥するまで畑においておきました。見た目はまるで枝のようです。雨の後だと湿気が残っていて面倒なので、晴れが何日か続き、しっかり乾燥してから収穫します。手触りもざらざらかさかさです。 

採種果

 採種は4本で、病気もなく、成長がよかったものから採りました。実の縦方向、繊維に沿って爪を入れると、真っ直ぐ裂けます。中には灰色っぽい種がたくさん入っています。中にはきれいな丸でなく、欠けたような種があります。このようなものは不良品としてはじきます。

筋に沿って裂く
不良品の種

 数えてみると約200粒ありました。1本の実につき、50粒の種が取れる計算になります。来年使う分は自家採種でまかなえることになります。

オクラも交雑に注意!(が必要な場合あり)

 オクラは比較的交雑しにくい植物です。トマトやナスと同じく、雌雄同花(雄花と雌花が同じ花に咲く)なので基本的には自家殖性で交雑しにくいです。しかし、近くに別品種があると交雑するので、複数品種を栽培、自家採種する場合は採種果が咲く前に袋がけし、交雑を防ぎます。

 私たちも来年はオクラの品種を増やしたいと思っているので、実際に交雑を防ぐ方法を試してみようと思っています。

種の保管の仕方

 採種した種に限らず、購入した種を一年で使い切らずに保管しておくことがあると思います。適切な保管をしないと種の質が悪くなり、発芽率が著しく低下したり、発芽しなくなったりします。

 種を保管しておく上で気をつけないといけないのは湿度です。種は水分がないと発芽しないので、裏を返せば水分があると発芽する準備を始めてしまいます。すると余計なエネルギーを使ってしまうので、乾燥した場所に保管します。密閉できるビンやジップロックなどに、乾燥剤とともに入れておくと安心です。

ビンに入れて保管する

 保存容器には品種名と採種日を明記しておきます。購入種子でしたら、種袋を切って入れておくと良いです。同じ科の野菜で複数の品種を持っている場合は、混ざるとわけがわからなくなってしまうのでしっかりと判別できるようにしておきます。日にちを残しておくのは、種の寿命を把握しておくためです。

 また、日光が当たる場所は避けた方がいいです。種に光が当たると暑くなってしまい、品質を下げます。生命力の弱い、にんじんやたまねぎなどの種はできるだけ光が当たらないようにします。にんじんは光がないと発芽できない好光性種子です。暗闇に保管するようにします。

 温度変化も避けた方が良いです。これらの条件をすべて満たすのが冷蔵庫です。種を保管しておくときは、密閉して冷蔵庫に入れておきましょう。自家採種をしている農家さんや家庭菜園家の方は専用の冷蔵庫を用意しているそうです。私たちも今年、結構な種類の野菜の種採りをしたので、スペースを圧迫しています(汗)。いずれは専用冷蔵庫を必要になるかもしれません。