【自然農】6月にやった実際の畑仕事とそれについての考え【寒冷地】

例年にない異常気象だった6月

 6月は梅雨の季節で雨が降り続くのと、気温も十分上がってくるためどんどん草が伸びてくる季節になる。野菜も良く育つが、草もより伸びるため草刈りに追われる時期になる。ここで草に埋もれさせないかが梅雨明け後の収穫の出来を大きく左右する。

 ところが今年の梅雨ははっきり言って異常だった。
 梅雨入りは6月14日と平年並みで雨予報が毎日のように続いていたため、今年はかなり雨の多い梅雨になると思っていた。それが一変して、毎日のように晴れて猛烈な暑さが続いた。雨は夜にさーっと降るだけで、日中は最高気温35度近くまで上昇した。そして、そのまま6月中に梅雨明け宣言となり、史上最短での梅雨明けとなった。また、6月としても史上最高気温を更新している。

 通常であれば、梅雨時期の雨をもらって野菜がぐんと大きくなり、梅雨明け後の渇水期を迎える。そのころには根も十分張り、暑さに負けずに元気に育つ。しかし今年はあまり大きくなれずに梅雨明けとなってしまった。これがどのような影響を及ぼすかわからない。全国的には既に猛暑・渇水のため農作物に大きな被害が出ていると聞いている。

 それでも今のところ、私たちの農園の野菜は順調に育っている。このまま元気に育っていってほしい。

6月に種まきした野菜

自家採種二代目の大豆(ナカセンナリ)の播種・初期除草

 まず、紹介するのは自給に欠かせない大豆だ。今年は昨年と比べて倍近くに増産する予定だ。

 種まき日は昨年とほぼ同じ6月12日。この直前まで連日雨が降り続いていたため、土がしっかり湿っていた。翌日も雨予報があったため、水やりはしていない。
 不耕起畝に播種するため、地上部の草を地際で丁寧に刈り取った。これが結構な重労働で、この方法ではやはり自給用の栽培が限界だと感じている。次の除草作業の都合上、なるべく表土をむき出しにしておきたいため、どうしてもしっかりと草を削る必要がある。

 草刈機や草削り・三角ホーなどのスタンディングツールを活用して整地を行う必要があると思っている。

 さて、種まき後にまとまった雨が降った事もあり、5日後には発芽が揃った。草も同時に発芽してくるため、播種10日後の6月22日に一回目の除草を行った。

220625 大豆 播種後10日後 初期除草
播種10日後 初期除草


 大豆を昨年栽培して、ある程度の背丈に育った後なら草を伸ばしておいても問題なさそうだったため、初期除草を徹底して初期生育をしっかりしてもらうことにした。

 初期除草には「けずっ太郎」という農具を使用した。この「けずっ太郎」は草が小さい時期に絶大な効果を発揮し、表土数センチしか動かない、むしろ浅い中耕になる、と非常に有用な農具だ。「けずっ太郎」についてはこちらを参照。

 発芽したばかりの草なら表土をカリカリッとかくだけでしっかり根を切るため、しばらく草がない状態を維持できる。今回は一回目と二回目の間を1週間として、立て続けに二回除草した。これですぐに草に覆われることは無いはずだ。

220625 大豆 播種後2週間
あっという間に大きくなる大豆

 あとは収穫までに二回程草刈りをすればいいだろう。次の草刈りからは、なるべく地際で刈らないようにするつもりだ。地際刈りすると、カメムシが好むイネ科の草が旺盛になり、大豆にも大きな被害となる。5cmほど背丈を残して草を刈ると、広葉の草の生長点が残り、草のバランスが良くなり、結果圃場全体の生態系のバランスも整ってくるはずだ。

しっかりと待ったオクラを播種

 オクラは高温性の植物で、低温で著しく生育が鈍り、病虫害の影響を受けやすくなる。
 私たちの住む長野県は5月いっぱいは10度付近まで気温が下がる日もある。12度以下の低温に当たるとかなり株が弱るため、しっかりと気温が上がってから種まきをした。

 6月15日ごろから最低気温が15度を下回ることがない予報だったため、発芽に1週間ほどかかるのを見越して5日に種まきをした。発芽は13日で、それから二日ほど最低気温が12度になったが曇りだったため、そこまで地表面は気温が下がらなかったはずだ。

 そのため、オクラの生育が順調で今のところ本葉2枚目まで展開し、一切アブラムシがついていない。葉の大きさも例年以上に大きい。オクラ栽培ではアブラムシが付くのを避けられないイメージがあったが、しっかりと高温になるまで待てば虫害を受ける事無く生育してくれるようだ。

220624 オクラの様子
アブラムシもおらず順調

 この調子で行けば、8月には収穫をもたらしてくれるだろう。今年は昨年失敗した自家採種もしっかり行いたい。
 例年からはさらに初期生育の気温を確保するために不織布トンネルをかけてもいいかもしれない。

ナス・ピーマン類の定植

 オクラと同じく、ナスやピーマンの定植も6月に入ってから行った。

 理由も同じで、12度以下の低温で傷みやすいからだ。6月9日に定植して、現在順調に成長している。今年の苗は畑の土に排水性向上のためもみがらや落ち葉堆肥を足しただけの土で育てた(→畑の土で育苗する)。

220609 ナス・ピーマン 植え付け
鷹の爪の定植

 約70日の育苗期間を経て本葉5,6枚の若苗で定植になった。自然農では若苗にしても、樹勢が強まり過ぎることがなく、むしろ生育のバランスが良くなるため、若苗にすることが多い。

 実は比較のために5月25日にも四株ずつ先に植えておいたものがある。6月いっぱい観察結果、早く植えただけ生育も早いといった感じだ。特に低温障害にあった様子は見られない。5月25日から6月9日までの間、12度以下になった日は何日もあり、最低で8度まで下がった日もあった。それでも特に生育が悪い様子はないため、案外早植えしてもいいのかもしれない。

220628 6月9日植えのナス
6月9日植え(20日後)のナス
220628 大きくなってきたナス
5月25日植え(33日目)のナス

 今年はあまり雨が降らない梅雨だったが、それでも6月初めは雨ばかりだった。雨が降る中で定植すると、常に地面が湿っているため、土も固まりやすいし、根も水分を求めて伸びにくい。雨によって予定もしにくいため、晴天が続く5月終盤に植えておけると、作業性も良く、根張りも良くなるのかもしれない。

 今年は垂直仕立て栽培に挑戦するため、ナス・ピーマンにも半分ずつ垂直に支柱を立てててある。無肥料でもがっちりと育ち、ピカピカの実をたくさんつけてくれるらしい。
 これから脇芽が伸びてくるにしたがって実践して行きたいと思う。

芽だしでしっかりと育っていく里芋

 今年の里芋は昨年芽が出ずに雨で腐った反省を生かして、定植前にポットで芽だしをしてから植え付けた(→こちら)。

 その後生育は順調でぐんぐん成長している。既に30cmほどまで葉っぱを出しており、6月中に一回目の土寄せを行った。もう少し背丈が伸びたらまた土寄せを行い、株もとから15cmは盛り上げたいと思っている。

220627 草に埋もれた里芋
5月25日定植の里芋
220627 草整理した里芋
6月27日の里芋の様子 草を削り土寄せした

 里芋は暑さと水気を好み、最近のじめっとした暑さでも良く育つ作物だ。梅雨時期の雨でぐっと大きくなると思っていたが、もう梅雨が空けてしまった。これでは雨が足りずに生育が鈍りそうだと思い、予定を早めて厚めの草マルチを施した。草マルチの保湿効果は絶大なので、これでなんとか育っていってほしい。

6月の収穫物

自家採種二代目、連作三年目のスナップエンドウ

 うちのスナップエンドウは無肥料・無農薬・連作三年目の土で、自家採種している種を使って栽培している。

 一時は生長が遅くて心配していたが、しっかりと実を付けてくれた。収穫量は昨年より減ったように思える。
 スナップエンドウの旬は短い。3月半ばに種まきをすると、6月10日頃から穫れ始めて、7月頭には収穫のピークを迎える。今年は梅雨が短く、生育適温をはるかに超える気温が続いたため、一気に株が弱ってしまった。本来であれば、梅雨時期のほどよい気温でまだまだ成長するのだが、今年は仕方がない。

 現在はもう収穫を切り上げ、種用の実を残してある。

無肥料栽培のニンニクを収穫

 ニンニクについてはこちらの記事にまとめてある。

7月の予定

 7月はあまり収穫できる野菜が少ない。葉物系やラディッシュ、こかぶなどの生育期間の短い根菜系なら春先に播いて収穫できると思うので来年以降は6,7月に収穫できる野菜をふやせるようにしたい。

 7月は引き続き、次々伸びる草を刈っていく作業が主になる。草刈りは野菜の成長を手助けするのと同時に、翌年以降の土作りにもなる。暑くて大変な時期だが、頑張りたい。

 さらに夏野菜が大きくなってくるため、誘引や芽かき等の管理作業も増えてくるだろう。特に今年は色々な野菜で「垂直仕立て栽培」に挑戦しているため、こまめな管理作業が必要になる。

【自然農】年明けから五月までに行った実際の畑仕事【寒冷地】

ニンニクの草整理

 ニンニクは越冬させるため、かなり畑に居る期間が長い作物だ。寒い季節とは言え、約8カ月もいると結構草が生えてくる。特に春先から一番肥大する収穫直前はあっという間に草が生えてくるため、しっかりと草取りをする。

220313 ニンニクの予数
3月中旬のニンニク

 ニンニクは水分を必要とする為、五月の連休前にはしっかりと草取りをして、草マルチをしておいた。五月下旬くらいは雨も少なく、乾燥気味だったため草マルチによる湿り気の維持は重要だ。

220505 ニンニクと草
五月上旬のニンニク。草が目立っている

 今年は購入種(福地ホワイト六片)と自家採種した種(ホワイト六片)を栽培している。購入種は粒が大きく、自家採種のものは無肥料で育てたもののため、一回り小さかった。そのせいか、生育にかなり差があった。肝心のニンニクはどうなっているかはまだ分からない。五月二十日ごろに試しに掘ったところ、福地ホワイト六片は既に直径7cmほどになっていたので期待できる。

 植え付けの深さを二種類に分けて栽培したが、その結果も楽しみだ。

春の定番、スナップエンドウ

自家採種二年目、連作三年目の種まき

 一般的には晩秋に種まきし、ある程度育った状態で越冬させるが、冬の気温がマイナス10度にもなる私たちの地域では寒さに強いエンドウでも越冬できない。そこで春の気配がする三月ごろに種まきをして育てている。

 私たちはスナップエンドウから畑が始まるので結構思い入れのある野菜だ。もとはF1品種のホルンスナックという品種だが、自家採種2年目の種を使った。昨年の栽培で育ちの良かった株から自家採種した。

 例年通り、霜に当たっても苗が枯れないぎりぎりを狙った三月一五日に種まきをした。相変わらずモグラの穴が至る所にあるため、なるべく位置をずらして播いた。約二十日ほどで発芽する予定だったが、植物は正確なようで四月五日ごろにしっかり芽を出してくれた。

 試しに催芽をしてから種まきしてみたが、これは微妙だった。管理が悪かったのかもしれないが、発芽率も悪かった。普通に直播した方がその後の生育も良かった。

220321 芽だししたスナップエンドウ
芽出しをしたスナップエンドウ

支柱立てはしっかりと挿すことを学んだ

 発芽後は収穫まで、草に負けない程度に草刈りをして、誘引していくことになる。適切なタイミングで誘引するのが、生育の良しあしにも大きくかかわってくる。

 今年も支柱を2,3メートルおきに挿し、高さ10cmおきに紐をはって、ツルが巻き付けられるようにした。生育に応じて、両側からひもで挟んで縦に誘引していく。

220425 スナップエンドウの様子
4月下旬のスナップエンドウ
220518 スナップエンドウの様子
五月中旬のスナップエンドウ。ひもが緩んでいるのが分かる。

 ひもには麻紐を使った。しかし、ひももピンと張っても、数日後にはゆるゆるになってしまっていた。麻紐自体が伸びているのか、支柱自体が傾いているせいなのか、とにかく緩んでしまい、うまく誘引できなかった。ツルも上に上に巻き付くことが出来ていなかった。
 支柱はハンマーで打ち込むなどしてしっかりと動かないくらい挿すべきだった。また、インゲンネットを使って誘因をきっちりすることを優先した方が良いだろう。

 全体的に生育が鈍い気がするのだが、誘引が上手く出来なかったのが原因だと思っている。今のところ、目立った病害虫は発生しておらず、連作障害らしき症状も出ていない。

夏野菜の育苗(ナス科)

種まきから植え付け前まで

 今年は完全に畑の土を使っての育苗に切り替えた。その方が畑に馴染むのも早いだろうし、自分たちの身の周りで完結する農業になると思っている。→【自然農】育苗土を畑の土を使って手作りする方法とその理由

 また、植え付け時期を6/10(最低気温が10度以上で安定してくる)に設定し、種まきはそれに合わせて3/25前後とした。三月終わりとは言え、気温はかなり低く最高気温がようやく15度に届く日がたまにあるといった気候だ。
 夏野菜の発芽には厳しい低温のため、ポケット芽だしで発芽を促進させた。これは上手くいき、揃いは悪かったものの無事発芽した。

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ポケット芽だし。この状態の種をポットに播く

 発芽後は晴天時のみ外で日光をあてて、夜間は室内に取り込んでを繰り返した。五月半ばになっても、霜が降る日もあるくらいなので五月下旬になり、ようやく夜も外に出すようになった。【自然農】畑の土と陽だまり育苗の夏野菜苗。種まきから約40日経ってどうなった?

トマトは五月二十五日に植え付け、昨年より順調

 トマトはナス科野菜の中でも、比較的低温に強く、霜の心配がなくなれば植え付けも出来るため、五月二十五日に定植した。苗の大きさは本葉5,6枚、少し小ぶりだが昨年の苗よりも良い苗に仕上がった。完全無肥料の苗とは思えないほど葉ツヤも良い。

220522 定植期のトマト苗
播種57日目。定植時のトマト苗。

 定植後、何度か10度以下になった日もあったが、順調に成長している。今年はモグラの被害が少なく、ゆっくり大きくなり出している。花房が確認できるものもあり、もうじき背丈が25cmほどになる。昨年はほとんどトマトが収穫できなかったため、今年は期待している。

里芋の芽だし、植え付け

 去年の失敗から、今年は種イモの芽だしを行って、初期生育を確保するつもりで里芋栽培を始めた。

 五月二十五日定植予定で、四月二十五日にポットに植えた。基本的に家の中で管理し、葉っぱが見え始めてからは外に出して日光に当てた。

 本葉が展開する前に畑に植え付けだ。催芽の効果は絶大で、数日後には葉っぱが展開しだした。すでに本葉2,3枚となり、本格的な梅雨の前に一回目の土寄せが出来そうだ。そもそも芽が出なかった昨年とは大きな違いだ。芽だししておくのは寒冷地では必須の栽培技術となりそうだ。

220525 定植時の里芋芽だし
定植時の里芋
220531 定植2週間後の里芋
定植二週間後の様子

 梅雨が明ける前に雨の合間をぬって、二回目の土寄せをしたいところだ。里芋はどうしても土寄せをしないと収穫はあまりできないため、不耕起栽培との相性が悪い。時間もかかるため、あまり大量には栽培できないが、自家用分なら十分である。今年は自分の中でマイブームの「垂直仕立て栽培」を里芋でも試してみようと思っている。

ズッキーニはもぐらの被害で不調、でも解決策を見つけた

 ズッキーニはたくさん出来るし、美味しいのでぜひとも作りたい野菜で、今年も栽培を始めている。

 昨年、苗を作ったもの以外、ほとんどモグラに根を痛められて大きくならなかった。そのため、出来るだけ苗を作って定植してみることにした。最初は四月十五日に播種して、本葉2枚目まで、五月十五日に定植した。苗自体は綺麗に出来て、根鉢をできていた。

 しかし、やはりモグラに苗の真下を通られてしまい、どんどん葉っぱが黄色くなってしまった。何度か埋め戻したものの、どうやら本道のようで、すぐ穴が復活していた。すっかり頭を抱えてしまっていたが、二つ解決策を思いついたので早速実践中である。

220525 モグラで成長が止まったズッキ^-ニ
生長が止まるズッキーニ

 それは定植した苗の周りに割りばしをぐるっと差し込んでモグラが近くを通らないようにすることだ。安価で土に還る資材なので導入も簡単だ。

220602 割りばしでモグラよけをしたズッキーニ
苗の周りを割りばしで囲む


 定植した第二弾の苗の周りの直系20cmほどに16本ほど割りばしを挿した。これが今のところ効果ありのようだ。今までは定植後数日で葉っぱが黄色くなり始め、生長がストップしていたが、今回対策してから植えた苗は三日ほどたっても、葉が緑色で元気に育っている。株周りもモグラが通った形跡はなさそうだ。

 もう一つはとにかく数を増やす作戦だ。多少モグラにやられても半分くらいは生き残るはず。その精神でとにかく数うちゃあたる作戦だ。育苗する分と直播する分でたくさん種まきしようと思っている。自家採種に成功すれば、種は売るほど手に入るため、無理な方法ではない。

 この二つの作戦で、何とかズッキーニは上手くいってほしい。

その他種まきをした野菜

・大根、ルタバガ→五月十日
・いんげん豆→五月十五日、畑に直播
・エンサイ→五月二十日、ポット育苗
・ナス、ピーマン→五月二十八日、試しに定植
・ミニトマト→五月二十七日、畑に直播(8日目に発芽確認)

【自然農】育苗土を畑の土を使って手作りする方法とその理由

畑の土を育苗に使うことにした理由

 そろそろ冬の終わりが見え始め、夏野菜の育苗をする時期になってきた。育苗は主に夏野菜の収穫期間を伸ばすために必須となる栽培技術だ。古くから「苗半作」という言葉がある。これは作物の一生は苗の出来で半分以上決まってしまう、ということを表している。

 苗の出来がその年の収穫を大きく左右するため、育苗にはかなり神経を使うし、様々な技術や工夫を多くの人が生み出してきた。設備や環境、使用する資材、開始する時期によって苗の出来は変わってくる。

 良い苗が豊作につながるなら、より良い苗を作りたいところだ。一般的には有用な資材が使われている培養土や、追肥のために肥料を用意したり、温度や湿度、日照を管理するために資材や機械を導入したりして、良い環境を整える。

 それには結構なお金がかかるもので、規模が大きくなれば数十万、数百万単位の費用が掛かってくる。餅は餅屋、という言葉があるように苗を栽培してくれる苗農家や種苗店もあって、高品質な苗を購入するという方法もある。当然、良い苗はできるがそれに伴う出費も多くなる。

 当面の間、私たちはま自給する分が収穫出来たらいいかな、というスタンスをとっている。安定して収穫が見込めるようになったら、販売も考えていけたらと思っているがまずは自給分からである。

 自給するための畑だし、なるべく費用を最低限に抑えて、良い結果を出したいところだ。そして、私たちが畑をやっていく上で自分の営みの範囲内で循環した栽培をしていきたいという思いがある。
 市販の培養土は色々な所から原料を運んで来て、それがまた全国各地へ運ばれて一部が私たちの元へ届く。一度掘り出された土は二度とその土地へ帰ることはない。こうなると循環する野菜作りからは少し離れてしまうような気がする。

 昨年、無肥料で栽培したミニトマトがなかなかうまく育たなかった(2021年のトマト栽培はこちらの記事にまとまっています)。育苗には市販の培養土を使い順調に苗ができた。しかし、定植後樹の成長がほぼ止まってしまい、収穫はほとんどできなかった。

 野菜を育てる畑の土と、身の周りで手に入る資材を使って育苗土ができれば、環境に負荷をかけない野菜作りになると思って、今年から育苗土作りに挑戦してみることにした。

育苗土を用意する手順

 実際に畑の土を使って育苗土を準備する手順は次のようになる。

①表面の草をよける
②土をとる
③もみがらを土の3~5割加える
④黒いビニール袋に入れて日のあたる場所に放置する

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土を篩にかける
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もみがらを混ぜる

 育苗土には未分解の有機物を入れないように注意する。植物は分解される際にガスを放出する。そのガスで根が傷むため未分解の有機物は土に入れないのが基本だ。
 実際やってみると、思いのほか全て取り除くのが難しい。大き目の篩でざっと大きな草を除けるだけにした。どうしても細かい根っこや葉が入ってしまうがガスが多く出るのはまだ青い状態の草を埋めた時なので、茶色に枯れている草なら多少は入っていても良いだろう。

 もみがらは排水性を高めるために使用する。しっかりと分解の進んだ落ち葉堆肥、刈り草堆肥を代わりに使っても良い。今回はビニールを掛けて半年近く放置したもみがらを使った。
 本来であればもみがらは田んぼに還る有機物なので、いずれは雑草堆肥や落ち葉堆肥を使いたい。中には踏み込み温床に使用して腐植した堆肥を使っている農業者もいる。

 最後に前述の未分解の草やもみがらによる障害を多少なりとも減らせるように、黒いビニール袋に入れて日のあたる場所に放置する。日中の太陽で熱をもらい、少しでも分解を進めておくためだ。
 分解促進および肥料分を少し補うために米のとぎ汁を足した。米ぬかは落ち葉堆肥などの分解スターターとしても利用されることもあるほど、微生物の働きを活発にしてくれる。

本来であれば夏にこの作業をするべき理由

 今回は割と思いつきでさっくりとした調べをしただけで育苗土に畑の土を使ってみた。

 実際準備してみたり、本やネットで情報を探してみて、もっとこうしたらという点や問題点が既に見つかった。

 まず残っている雑草の種が発芽してくる点。この方法だと雑草の種は死んでいないので、育苗している最中にどんどん発芽してくるだろう。根っこが野菜の根に絡むとどんな影響があるのかわからないが、栄養の取り合いや日光を妨げてしまうことも予想される。

 今年は生えてきた雑草は早めに抜いてしまうか、切ってしまうつもりだ。どの程度の手間になるか分からないが、試してみようと思う。雑草対策として、一番簡単なのは温度を上げてしまうこと。たいてい70℃近くまで上げてしまえば雑草の種は死滅する。
 夏場に袋に入れて直射日光にさらしておけば簡単にできる。が、それによって土の中の微生物まで殺してしまうことになってしまうのではないかと思う。

 また実際に作った育苗土をポットに詰めて水をかけてみたところ、水はけが少し悪かった。土ともみ殻の割合が低くて水はけが悪いかもしれない。もう少し有機物の量を増やした方が排水性、通気性ともに良くなるだろう。例えば、落ち葉堆肥や雑草を刈り取って積んでおいた雑草堆肥なんかが良いのかもしれない。

今年の育苗がそろそろスタートする

 野菜作りの世界に飛び込んで、ようやく苗作りの大切さが分かってきた。「苗半作」は昨年の栽培で身に染みるほど感じた。

 さらに自然農で野菜を作るなら、育苗もそれにあった方法をとるべきだと言う事にも三年目にして気づく事が出来た。今までは市販の培養土に頼りきりだったが、野菜たちが育苗を終えた後育っていく場所の土を使う。まだ根拠がないが直観的に上手くいくような気がしている。

 とりあえず今回の育苗土で心配な点は、今のところ二点ある。
 1つ目は排水性。何度か水を通しながらもみ殻の量を調節したが、実際にやってみるまでどうなるかわからない。水はけが悪いと、夜間に徒長し軟弱な苗になる可能性がある。日中の水やりの量を調節する事で多少は対処できると思っている。
 2つ目は雑草。全く熱処理をしていないため二ヶ月に及ぶ育苗期間中に沢山の雑草が生えてくることが予想される。こればかりは地道にコツコツ抜いていくしかない。今年は150個ほどの苗を作ることになるので気長に頑張りたい。植えたあとも雑草と一緒に育っていく事になるため、そのための準備になると考えたい。

 当地ではまもなく最高気温が20度近くになるため、四月頭から夏野菜の育苗を始めようと思っている。

落ち葉堆肥の作り方 材料は3つだけ!

  気づけば秋も終わり、冬になりました。秋といえば、紅葉ですね。とてもきれいで、季節を感じられる良い季節ですが、残る落ち葉は悩みの種にもなります。

集める前の様子

 毎年毎年大量の落ち葉を片付けるとなると、もううんざりしている人もいるかもしれません。寒い中毎日落ち葉掃除するのはなかなか大変ですよね。何か有効利用できれば掃除し甲斐も出てくるかもしれません。

 実は少し手間をかけるだけで、落ち葉を畑の土壌改良材として活用できます。落ち葉を堆肥化すると、腐葉土のような土壌改良材になります。落ち葉堆肥には土壌生物のえさとなる有機物がふんだんに含まれ、堆肥化過程の中でたくさんの微生物の死骸が積み重なっていきます。これによって、野菜がちゃんと育つ土に変えてくれる手助けをしてくれます。

 

落ち葉堆肥を作る場所を決める

 まずは場所を決めましょう。一度作り始めるとその場に置き続けることになるので慎重に選びます。下がコンクリートではなく土の場所にしましょう。畑や庭があればその片隅がおすすめです。
 もし、スペースがなかったり、コンクリートの場所しかない場合にはプランターやコンポストでも作ることができます。その際は、最初の仕込み時に水分をしっかり調整します。

 場所が決まったら、枠を作ります。枠に使うのは以下の材料です。
・ベニヤ板(プラスチックダンボールなどもおすすめ)
・杭(垂木でも可。木製ではなく、樹脂性にすると朽ちることがなく経済的)
(・釘)
・ブルーシート(上からかぶせて雨がかからないようにするため)

 10坪ほどの庭であれば市販のコンポスト容器で十分です。一反歩ほどの畑なら2畳×60cmほどの枠二つ分といったところでしょうか。

 昨年作った落ち葉堆肥は2畳×60cmの枠に半分ほどの分量で、できあがりは300kgほどでした。これは市販の腐葉土(20kg入り)15袋分になります。こう考えるとかなりの量ですよね。

【ベニヤ板などを使って枠を作る場合のポイント】
1. 板の下部15cmほどを地面に埋める
2. 杭を枠の外側8点に打つ(堆肥によって外側に押し出されるため)
3. 天板もあると便利

私たちが作成した枠(1800×1800×75)

落ち葉堆肥に必要な材料を集める

 落ち葉堆肥の作り方はさまざまで、それによって使う材料も変わってきます。今回は最もシンプルな作り方をご紹介します。私たちも今年はこの方法で仕込みました。

・落ち葉
・ぬか
・水

 必要なのはこれだけです。簡単ですよね。

 さらに鶏糞や油粕を加えることでより発酵を促進させたり、肥料成分を加えることもあります。少し温度管理の難易度が上がるのでまずは普通に作ることをおすすめします。勝手がわかってきたら自分の好みの成分になるように調整していくのがいいでしょう。

 落ち葉はいたるところで手に入ります。自宅の庭に木があって、落ち葉を片付けないといけない人はそのまま堆肥作りに利用できます。もし、身近になくてもご近所さんや公園など落ち葉があって困っている人に声をかけてみましょう。喜んで分けてくれる人がいるはずです。公共施設から集める場合は必ず事前に管理者の許可を得ましょう。

 落ち葉には木によって堆肥にしやすい種類としにくい種類があります。できる限り分解しやすいものを選びましょう。ですがあまり神経質になることはありません。少し混ざってしまうくらいなら、仕込み後の世話を少し増やすことで対応できます。

【堆肥化に向く種類】
・ケヤキ、ヌクギ、ナラなど(かさかさしている)
【堆肥化に向かない種類】
・クスノキ、モチノキ、イチョウなど(光沢がある、水分が多い、固い)

 米ぬかは発酵促進材として使用します。コイン精米所で無料持ち帰りができるところを探しましょう。近くにない場合は店内精米をしているお米屋さんで無料もしくは安価で購入できます(200円/1kgほど。1kgで5kg米袋くらいあります)。ホームセンターやネットショップでも取り扱いがありますが、その際は「炒りぬか」ではなく「生ぬか」を選びましょう。加熱されたものは微生物が減り、発酵がうまく進みません。

 水は水道があれば便利です。水道水には塩素が入っているため発酵が妨げられるという意見もありますが、そこまで気にしなくても大丈夫です。ない場合でも20Lのポリタンクに汲んでいくことでなんとかなります。

落ち葉堆肥の手順/完成までの期間

 落ち葉堆肥の作り方は、どの規模、サイズで行っても次のような手順です。

【STEP1】
落ち葉を入れる

躍動感あふれる


【STEP2】
水をまく

一度にたくさん撒きすぎないこと


【STEP3】
踏みしめる
→足踏みを繰り返すのではなく、狭い範囲をゆするように固めていく
【STEP4】
ぬかを振り掛ける

満遍なく振る

 これを容器が満タンになるまで、材料が足りる限り繰り返します。後は雨が入らないようにブルーシートやふたで覆って完成です。

【翌日以降のチェックポイント】
 この後、冬の間はそのまま寝かせておきます。適切な水分があって、ぬかをまいてあれば多少霜が降りるような寒さでも、翌々日には発熱してきます。そうなれば一安心。しっかり発酵が始まり分解されていきます。
 もし、数日たっても熱が上がらないようなら一度蓋をあけて様子を見ます。このとき落ち葉が乾きすぎているなと感じたら、少しずつ水をかけます。その後、もう一度足で踏んで固めます。たいてい、水分が足りていないか、隙間が多いことが原因であることが多いので、この作業でうまくいくはずです。

2日目の様子。手を入れるとすでに温かい

【STEP5】
 重要な作業の切り返しを行います。 
 春になって気温が上がってきたら、「切り返し」の時期です。一冬越えると分解が進んで、落ち葉の形が崩れてきているのがわかります。また、発熱していたので水分もだいぶ減っています。
 地面に近い落ち葉ほど、土壌生物の力も借りて分解が進んでいるので、すべて出してもう一度きれいに詰めなおします。こうすることで、分解が遅い部分と早い部分が均一になります。もし、水分が足りてないなと感じたら少し足します。

切り返しの様子


 詰めなおしたときには最初より大分嵩が減っているのがわかるかと思います。切り返しは1,2ヶ月に一回も行えば、十分すぎるほどです。定期的にすれば秋の初めにはほとんど熟しきった堆肥になっています。もし、手間をかけられない場合でも一度はやっておきましょう。時間はかかりますが、使えるレベルまで分解が進むはずです。

自分で作って、土作りに活用しよう

 落ち葉堆肥は腐葉土と同じように土壌の改善に役立ちます。土壌微生物のえさとなり、生き物たっぷりの土作りに活用できます。

 落ち葉堆肥や腐葉土はホームセンターなどでも販売されています。少量なら15L入り一袋で1400-2000円ほどで購入できます。1aあたり10袋ほど施用するのが上限なので1万円近い出費となります。もっと広い面積に使う場合は10万円単位のお金がかかります。

 落ち葉堆肥を自作して、ごみになるものを有効利用し、経済的に畑をよくしていきましょう!

落ち葉堆肥で不耕起畝に炭素補給する

 昨年から作っていた落ち葉堆肥を早速畑に使ってみました。今シーズン、ミニトマトを栽培していた畝に使いました、

 今回はその様子をご紹介します。この作業が来年の畑の状態に少なからず良い影響を与えると思います。

畝は炭素が消費された状態になっている

 今年通路には雑草をはやしていましたが、畝にはビニールマルチを張っていたため雑草が生えていませんでした。一年間かけて、通路部分にはそれなりの炭素(=炭水化物、土壌生物のえさ)が供給されました。不耕起栽培ではこの土壌表層への炭素の蓄積が重要なメリットになります。

7月はじめの畑の様子

 不耕起栽培では表層への炭素の蓄積による土壌生物の活性化、生物量の増加が野菜の生育に良い影響を与えていると考えられています。通常の耕起する栽培では、どれだけ雑草を生やそうと、堆肥を撒こうと、かき混ぜられることで表層でも地中でも炭素の割合は均一になってしまいます。不耕起栽培で減農薬や無農薬が達成できるのは、表層の高い炭素率のおかげかもしれません。

 ところがマルチをしていた畝部分には草が生えていないので炭素供給はほぼありません。一応、栽培していたミニトマトの残渣はそのまま残してあるので、根は土壌に還元されます。根は植物が光合成して得た炭水化物なので、外部からの炭素補給になります。

 

 来年以降、マルチもなるべく使わない栽培をしていくつもりなので、とりあえず畝の部分には外部から炭素を供給することにします。その供給源が作成した落ち葉堆肥です。

落ち葉堆肥を施す

 まずは畝を覆っているマルチをはがします。全部ははがさず、片側だけはぎました。

はがす前
片側だけはがす

 次に落ち葉堆肥を畝の上に撒きます。わかりにくいかもしれませんが、少し茶色の土が落ち葉堆肥です。見たところ、落ち葉の形は残っておらず、かなり分解が進んでいます。20mの畝に大体60Lくらい撒きました。堆肥の厚さが2-3cmくらいになっていました。

ほぼ土になっている
満遍なく撒きます

 レーキを使って、土と落ち葉堆肥を軽く混ぜ合わせます。できるだけ土をかき混ぜないように、やさしく作業します。レーキで引っかいていると、ミニトマトの細かい根がたくさん出てきました。きっと地中には細かい根が血管のように張り巡らされているのでしょう。そして、その根が分解されて土壌構造ができていきます。(これはバイオポアやスポンジ構造と呼ばれたりします。不耕起でも排水性を維持できる秘訣です)

レーキで混ぜる

 混ぜ終わったら、残しておいたマルチを再度かけなおします。固定にはこのようなマルチ押さえを使用しました。

 マルチがせっかくあるので最大限活用します。できるだけ土を太陽や霜に当てたくないのと、雨が降って大量の水が土に当たるのを防ぐためです。また、適度に水分が保たれるので、施した堆肥をさらに土壌生物が分解し、土壌構造が発達します。

11月は落ち葉堆肥を仕込む季節

 昨年仕込んだ落ち葉堆肥はほとんど使ってしまいました。11月も半ばに入り、ところどころで落ち葉がたくさん出てきました。また落ち葉を集めて堆肥作りをしたいと思います。

 落ち葉は毎年、大量に地上に落ちてきます。もちろん、落ち葉はもともと付いていた樹のものであり、外(つまり畑)に持ち出しすぎると、その土地の地力を損ない環境を変えてしまうこともあります。ですが、少しそれを分けてもらうくらいであれば大丈夫だと思います。公園や一般家庭の庭木などから出た落ち葉はごみとして処分しなければならない場合も多いです。そういったところからもらってくればwin-winなのではないでしょうか。

 自然の力を少し借りて、コスト、負荷の少ない農業にしたいですね。