例年にない異常気象だった6月
6月は梅雨の季節で雨が降り続くのと、気温も十分上がってくるためどんどん草が伸びてくる季節になる。野菜も良く育つが、草もより伸びるため草刈りに追われる時期になる。ここで草に埋もれさせないかが梅雨明け後の収穫の出来を大きく左右する。
ところが今年の梅雨ははっきり言って異常だった。
梅雨入りは6月14日と平年並みで雨予報が毎日のように続いていたため、今年はかなり雨の多い梅雨になると思っていた。それが一変して、毎日のように晴れて猛烈な暑さが続いた。雨は夜にさーっと降るだけで、日中は最高気温35度近くまで上昇した。そして、そのまま6月中に梅雨明け宣言となり、史上最短での梅雨明けとなった。また、6月としても史上最高気温を更新している。
通常であれば、梅雨時期の雨をもらって野菜がぐんと大きくなり、梅雨明け後の渇水期を迎える。そのころには根も十分張り、暑さに負けずに元気に育つ。しかし今年はあまり大きくなれずに梅雨明けとなってしまった。これがどのような影響を及ぼすかわからない。全国的には既に猛暑・渇水のため農作物に大きな被害が出ていると聞いている。
それでも今のところ、私たちの農園の野菜は順調に育っている。このまま元気に育っていってほしい。
6月に種まきした野菜
自家採種二代目の大豆(ナカセンナリ)の播種・初期除草
まず、紹介するのは自給に欠かせない大豆だ。今年は昨年と比べて倍近くに増産する予定だ。
種まき日は昨年とほぼ同じ6月12日。この直前まで連日雨が降り続いていたため、土がしっかり湿っていた。翌日も雨予報があったため、水やりはしていない。
不耕起畝に播種するため、地上部の草を地際で丁寧に刈り取った。これが結構な重労働で、この方法ではやはり自給用の栽培が限界だと感じている。次の除草作業の都合上、なるべく表土をむき出しにしておきたいため、どうしてもしっかりと草を削る必要がある。
草刈機や草削り・三角ホーなどのスタンディングツールを活用して整地を行う必要があると思っている。
さて、種まき後にまとまった雨が降った事もあり、5日後には発芽が揃った。草も同時に発芽してくるため、播種10日後の6月22日に一回目の除草を行った。
大豆を昨年栽培して、ある程度の背丈に育った後なら草を伸ばしておいても問題なさそうだったため、初期除草を徹底して初期生育をしっかりしてもらうことにした。
初期除草には「けずっ太郎」という農具を使用した。この「けずっ太郎」は草が小さい時期に絶大な効果を発揮し、表土数センチしか動かない、むしろ浅い中耕になる、と非常に有用な農具だ。「けずっ太郎」についてはこちらを参照。
発芽したばかりの草なら表土をカリカリッとかくだけでしっかり根を切るため、しばらく草がない状態を維持できる。今回は一回目と二回目の間を1週間として、立て続けに二回除草した。これですぐに草に覆われることは無いはずだ。
あとは収穫までに二回程草刈りをすればいいだろう。次の草刈りからは、なるべく地際で刈らないようにするつもりだ。地際刈りすると、カメムシが好むイネ科の草が旺盛になり、大豆にも大きな被害となる。5cmほど背丈を残して草を刈ると、広葉の草の生長点が残り、草のバランスが良くなり、結果圃場全体の生態系のバランスも整ってくるはずだ。
しっかりと待ったオクラを播種
オクラは高温性の植物で、低温で著しく生育が鈍り、病虫害の影響を受けやすくなる。
私たちの住む長野県は5月いっぱいは10度付近まで気温が下がる日もある。12度以下の低温に当たるとかなり株が弱るため、しっかりと気温が上がってから種まきをした。
6月15日ごろから最低気温が15度を下回ることがない予報だったため、発芽に1週間ほどかかるのを見越して5日に種まきをした。発芽は13日で、それから二日ほど最低気温が12度になったが曇りだったため、そこまで地表面は気温が下がらなかったはずだ。
そのため、オクラの生育が順調で今のところ本葉2枚目まで展開し、一切アブラムシがついていない。葉の大きさも例年以上に大きい。オクラ栽培ではアブラムシが付くのを避けられないイメージがあったが、しっかりと高温になるまで待てば虫害を受ける事無く生育してくれるようだ。
この調子で行けば、8月には収穫をもたらしてくれるだろう。今年は昨年失敗した自家採種もしっかり行いたい。
例年からはさらに初期生育の気温を確保するために不織布トンネルをかけてもいいかもしれない。
ナス・ピーマン類の定植
オクラと同じく、ナスやピーマンの定植も6月に入ってから行った。
理由も同じで、12度以下の低温で傷みやすいからだ。6月9日に定植して、現在順調に成長している。今年の苗は畑の土に排水性向上のためもみがらや落ち葉堆肥を足しただけの土で育てた(→畑の土で育苗する)。
約70日の育苗期間を経て本葉5,6枚の若苗で定植になった。自然農では若苗にしても、樹勢が強まり過ぎることがなく、むしろ生育のバランスが良くなるため、若苗にすることが多い。
実は比較のために5月25日にも四株ずつ先に植えておいたものがある。6月いっぱい観察結果、早く植えただけ生育も早いといった感じだ。特に低温障害にあった様子は見られない。5月25日から6月9日までの間、12度以下になった日は何日もあり、最低で8度まで下がった日もあった。それでも特に生育が悪い様子はないため、案外早植えしてもいいのかもしれない。
今年はあまり雨が降らない梅雨だったが、それでも6月初めは雨ばかりだった。雨が降る中で定植すると、常に地面が湿っているため、土も固まりやすいし、根も水分を求めて伸びにくい。雨によって予定もしにくいため、晴天が続く5月終盤に植えておけると、作業性も良く、根張りも良くなるのかもしれない。
今年は垂直仕立て栽培に挑戦するため、ナス・ピーマンにも半分ずつ垂直に支柱を立てててある。無肥料でもがっちりと育ち、ピカピカの実をたくさんつけてくれるらしい。
これから脇芽が伸びてくるにしたがって実践して行きたいと思う。
芽だしでしっかりと育っていく里芋
今年の里芋は昨年芽が出ずに雨で腐った反省を生かして、定植前にポットで芽だしをしてから植え付けた(→こちら)。
その後生育は順調でぐんぐん成長している。既に30cmほどまで葉っぱを出しており、6月中に一回目の土寄せを行った。もう少し背丈が伸びたらまた土寄せを行い、株もとから15cmは盛り上げたいと思っている。
里芋は暑さと水気を好み、最近のじめっとした暑さでも良く育つ作物だ。梅雨時期の雨でぐっと大きくなると思っていたが、もう梅雨が空けてしまった。これでは雨が足りずに生育が鈍りそうだと思い、予定を早めて厚めの草マルチを施した。草マルチの保湿効果は絶大なので、これでなんとか育っていってほしい。
6月の収穫物
自家採種二代目、連作三年目のスナップエンドウ
うちのスナップエンドウは無肥料・無農薬・連作三年目の土で、自家採種している種を使って栽培している。
一時は生長が遅くて心配していたが、しっかりと実を付けてくれた。収穫量は昨年より減ったように思える。
スナップエンドウの旬は短い。3月半ばに種まきをすると、6月10日頃から穫れ始めて、7月頭には収穫のピークを迎える。今年は梅雨が短く、生育適温をはるかに超える気温が続いたため、一気に株が弱ってしまった。本来であれば、梅雨時期のほどよい気温でまだまだ成長するのだが、今年は仕方がない。
現在はもう収穫を切り上げ、種用の実を残してある。
無肥料栽培のニンニクを収穫
ニンニクについてはこちらの記事にまとめてある。
7月の予定
7月はあまり収穫できる野菜が少ない。葉物系やラディッシュ、こかぶなどの生育期間の短い根菜系なら春先に播いて収穫できると思うので来年以降は6,7月に収穫できる野菜をふやせるようにしたい。
7月は引き続き、次々伸びる草を刈っていく作業が主になる。草刈りは野菜の成長を手助けするのと同時に、翌年以降の土作りにもなる。暑くて大変な時期だが、頑張りたい。
さらに夏野菜が大きくなってくるため、誘引や芽かき等の管理作業も増えてくるだろう。特に今年は色々な野菜で「垂直仕立て栽培」に挑戦しているため、こまめな管理作業が必要になる。