柿酢ってご存じでしょうか? その名の通り、柿が発酵し酢になったものです。ほのかな甘みとさわやかな酸味が美味しい酢です。→【旬の食材】たくさんある渋柿は柿酢にするのがおすすめ【大量消費】
私の実家では何年か前から柿酢を作っていて、3年ものの柿酢もありました。この時期になると柿酢を仕込み始め、すぐに柿が発酵する独特の香りがしていました。
柿酢は健康に良い
柿酢はお酢の仲間。お酢は昔から健康に良い食品として重宝されてきました。柿を発酵させて作る柿酢はこれまた健康的です。市販されている酢や柿酢はそれ以上発酵が進んで品質が変わらないように、加熱することで発酵を止めています。なので発酵食品としての効能はあまり期待できません。(同じように味噌や醤油などの発酵食品も加熱して、発酵を止めています)
ですが手作りすれば、発酵したまま貯蔵しておけます。いつでも発酵状態の柿酢を食べることができます。柿酢は貯蔵性も高いので年単位で貯蔵できます。もちろん発酵は止まりませんので年々味が変化していくのも楽しみの一つです。柿が不作でも多めに作っておけば翌年も安心して使えます。
柿は果物の中でも栄養価が高いもののひとつです。しかも、柿酢にするとさらに栄養価が高まります。たとえば、高血圧の防止に効果のあるカリウムの含有量は、黒酢と比べると3倍以上になります。
市販の柿酢は結構高い
そんな柿酢ですが、いざ買おうとするとかなりのお値段になります。特に原料が柿100%の柿酢はちょっと普段使いでは手が出ないお値段です。
Amazonで「柿酢」と検索して、はじめのほうで出てくる商品は大体3000円/700mlほどです。中には安いものもありますが、原材料欄を見ると醸造酢やアルコールを添加している製品です。柿酢であることに間違いはありませんが、せっかくなら100%柿、自然の力で発酵した柿酢のほうがいいですよね。
各産地で名産品としてブランド化されているので高めの価格設定になるのだと思います。
柿酢は家で手作りしよう
ということで、買うとお値段の張る柿酢。そこで自分で作ってしまいましょう。柿酢はとても簡単で自宅でもできます。必要な原料は柿だけです。ビンやカメなどに入れておけば後は待つだけです。
・必要なもの・
柿/ビン(カメ、ジップロックでも可)/キッチンペーパー(和紙、布)/輪ゴム/ナイフ/麺棒など
柿はなんでもかまいません。甘柿でも渋柿でも種があっても種がなくても大丈夫です。食べごろを逃して、柔らかくなっていても全く問題ありません。つぶさずに入れると満杯になる量です(約5kg)。
容器はなんでもかまいませんが、口が大きめのほうが作業しやすいです。またガラス製なら煮沸消毒できるので失敗しにくくなります。今回用意したのはニトリのガラスジャー 7.0Lです。何事も形から入りたいタイプなので、日常の風景に映えるものを選びました。
・手順・
1.ヘタをくり抜く(!洗ってはいけません!)
まずはヘタをくり抜きます。別についていてもかまいませんが、ヘタ部分には汚れがたまりやすいので外したほうがいいでしょう。また、このとき注意してほしいのですが、柿を洗っていけません。もし、気になるならさっと流すだけにしましょう。ごしごし洗ってはいけません。
というのも、柿酢は皮についている酵母などの微生物の力を借りて発酵させます。なので洗ってしまうと発酵力が落ちて失敗しまう原因になります。
2.つぶしながら容器に詰める
ヘタをとった柿をつぶしながら容器に入れていきます。熟しきってジュクジュクになった柿なら手でつぶせます。渋柿や固いものは麺棒などでつぶしながら入れます。ちゃんとつぶさなくても、柿同士の間が果肉や果汁で埋まれば大丈夫です。
これで完成です。最初は満杯でしたがつぶすと半分ほどになりました。最後にフタをします。発酵には酸素が必要なので密閉してはいけません。また発酵過程でガスが出るので爆発します。逆に大きな隙間があるとコバエなどが入ってしまいます。そこで紙やキッチンペーパーなどをかぶせて輪ゴムでとめておきます。
後は待つだけです。仕込むのが寒い冬の初めということもあり、発酵がゆっくり進みます。頻繁にかき混ぜてやれば、早くできるかもしれませんが、気長に待ちましょう。大体半年ほどで酢になります。
柿酢を作って、季節の手仕事を楽しむ暮らしを始めよう
この間会った農家の方は毎年柿酢を仕込むから酢を買わないといっていました。どの料理にも柿酢が合うそうです。確かに柿酢で作ったピクルスをいただきましたがとてもおいしかったです。酢飯にも柿酢を使うそうです。
柿酢を仕込めば酢を買う必要がなくなるかもしれません。私たちの自給自足生活が一歩前進しそうです。
一度仕込めば簡単にたくさんできます。余ってしまいそうなら家族や友達に分けてあげると喜ばれるかもしれません。畑をやっていれば、薄めて散布すれば活力剤代わりにもなります。
もし、柿が余っている方は柿酢作りに挑戦してみてください。季節の手仕事として暮らしに組み込むと心にゆとりある生活になりますよ。