【自然農】自家採種と連作3年目のスナップエンドウ栽培【連作障害は?】

自家採種した種は発芽率が良い

 今年栽培したスナップエンドウは自家採種3年目の種を使った。元はF1種の品種だったが、特に性質がばらけている様には感じなかった。

 自家採種をしていくと、種が圃場・地域の気候や環境を記憶して出来が良くなると言われているが、あまりそれは感じなかった。基本的に種採りを始めて種が馴染んでくるまで五年はかかると言われているため、もう少し気長に待とうと思う。

 発芽率が非常によく、9割以上発芽していた。昨年と同じ3月20日に種まきし、20日後の4月10日に出そろった。かなり正確で、この栽培スケジュールを記憶している様だった。発芽後も寒い日が続き、霜に当たることもあったが特に痛みも無かった。

220425 スナップエンドウの様子
4月下旬のスナップエンドウ

 今年は実験的に畝の半分を「芽だし」を行ってから種まきした。自然農法で栽培されている方が紹介していた方法で、寒い地方で春先の発芽率を上げるためのようだった。
→参考にした方のブログはこちら(春蒔きスナックエンドウの芽出し/無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、自給自足Life。~持続可能で豊かで自然な暮らしの分かち合い~)


 種を一昼夜水に浸し、翌日水を切ってそのまま乾かないようにタッパーなどに入れて置く。すると数日後に根が出てくるので、伸びきる前に植えると発芽が揃い、早いと言うものだった。

220321 芽だししたスナップエンドウ
芽出しをしたスナップエンドウ

 発根処理自体は上手くいったのだが、その後の発芽率はあまり良くなかった。普通に直播した部分と発根した部分、葉の密度が全然違うのが分かると思う。後述するが、この比較は畝の肥沃度が全く違う部分で行ったため、種の播き方が全ての原因ではないと考えている。

連作を嫌うエンドウ類を三年連作した

 スナップエンドウなどのエンドウ類は一般に連作障害が出やすいとされている。一度栽培した土での栽培は最低三年は空けると言われている。連作障害としてどのような症状が出るのか、詳しい所はわからないが、生育が悪い、実ができない、病気が蔓延する、虫害が頻発するといったことが起こる。

 自然農、自然栽培では連作障害が起こりにくいと言われている。無肥料のため、肥料分の偏りが少なく、草を完全に除去しないため土壌生物もバランスが勝手にとれてくるためだと言われている。

 今年、スナップエンドウは昨年と比べると少し、生育、収穫共に良くなかった。これが連作障害なのだろうか。次の項目で今年の栽培がうまくいかなかった要因をいくつか考察しているが、特に誘引が上手くいかなかったのが原因だと考えている。
 病虫害もアブラムシなどが多少見られたが、そこまで気にならない程度だ。背丈も60~70cmほどまで伸び、順調に育つ株も多くあった。これらから考えると今年も連作障害はほぼ起こっていないと言える。

220612 50cm程まで育って実もついたスナップ
立派に育った株

支柱と誘引が上手くいかなかった

 結果的に今年の収穫量は少し少ない。生育を観察していても、どうも伸びが悪かった。原因として三つほど考えられるものがある。連作障害以外に次の原因があると考えた。

①土がよくなりすぎたand悪すぎた
 一つ目は土がよくなりすぎたという点だ。スナップエンドウを栽培した畝は春先に、ホトケノザ、ハコベ、ナズナなどの肥えた土に良く観察される柔らかくて背の低い草が旺盛に生えていた。隣の畝に作付したニンニクは三年間無肥料にも拘わらずかなり大きくなったものもあった。

220416 スナップの畝 草がいい感じ
ナズナやハコベ、ホトケノザが見られる


 マメ科の植物は比較的痩せた土を好むと言われている。そのため、土壌の肥沃度が高まったところではあまり生育が良くならなかったのだろうか。とはいえ、花が沢山付き、収穫も出来ているため、丁度良い肥沃度だったのかもしれない。
 一方、この畝は手前半分があぜ道に面しており、肥沃な草が多い。奥側は慣行栽培の圃場で際部分は除草剤が撒いてある。こちらは草がそもそもあまり生えておらず、今年はスギナが多く出てきていた。
 そのため、畝が肥沃とそうでない部分で半分半分になっていた。このうち奥側はスナップエンドウの育ちが悪く、結局ほとんど大きくならずに消えて言った株も多かった。手前はほぼ例年通りの育ちといえる。前述の種まき方法の違いも同じ範囲で試しているため、芽だしが良くなかったのか、土の肥沃度が足りていなかったのかはわからないため、もう少し実験が必要だ。

220619 育ちが良い部分のスナップ
手前側、良く育っている
220619 育ちが悪い部分のスナップ
奥側 スギナが目立つ

②春先の気温が低かった
 今年は昨年、一昨年と三月、四月、五月の気温が低かった。数値的には特に五月上旬が低くて最高気温が10度に届かない日もあった。肌寒い日が多いなと思っていた。
 うちの栽培方針は「使い捨ての資材はなるべく使わない」「なるべく土を動かさない」ため、ビニールマルチを使っていない。それもあって寒い日が続くと生育が緩慢になりがちなのだろう。ちなみに近くにあるスナップエンドウの慣行栽培の圃場ではうちの二倍のスピードで育っていた。

③支柱の立て方が甘く、誘引が上手く出来なかった
 一番の原因はこの支柱と誘引だと思っている。
 スナップエンドウは葉の先からツルを伸ばし、何が掴まることで身体を安定させる。逆にツルが固定されていないと生育が鈍ると言われている。

 誘引方法は数メートルおきに支柱を立てて、ネットを張るのが一般的だ。そして背が伸びて来たら、ツルが掴まれていない枝ごと、両側からひもで挟んで枝が上を向くように誘引していく。

220526 アサヒモを横に張ってある
10~15cm間隔でひもを張った

 今年の失敗点は支柱を深くさせなかったことでグラグラしてしまったことだ。不耕起でも草マルチの徹底で土がとても柔らかくなっていたが、柔らかすぎて簡単にぐらついてしまっていた。人力で差し込めるところから、ハンマーでさらに15cmほど叩き込めばよかった。

 また、ネットを使わずに栽培できないかと、横紐を何本も張ってネットに代わりにしようとした。麻紐をぴんと張ったが直ぐに緩んでしまい、スナップエンドウが上に伸びていけていなかった。また、風が吹くと根本から大きく揺さぶられていたため、それでかなり根が傷んだと思われる。

220615 緩みまくった紐
緩んだ誘引紐

来年の栽培に向けての改善点

 まず、適度な草刈りとしっかりとした被覆による土作りを引き続き行う。やはり草を敷いて1年たつと、土が柔らかく保たれ草の種類も変わってくると感じている。

 次に欠株を補うために補植用の苗を用意すること。畝の奥側はモグラによる苗痛みも多かった。補植用に苗を作って置いて、それを植えることで多少は畝の生産性が上がる。

 支柱はハンマーを使って、最低30cmは土に突き刺す。また、支柱が倒れないように適度に筋交いや畝の両端はひもで突っ張る補強をする。誘引先としては市販のナイロンネットの活用する。不耕起ならネットを常設することもできる。
 また、スナップエンドウの種まきと同時に、北側にライ麦を筋蒔きしておくのはどうかと思っている。一緒に育つことでスナップエンドウのツルが巻き付き先として活用できるし、強い北風を防ぐことができ、地温の維持にもつながる。

 今から来年の栽培が楽しみだ。

スナップエンドウ収穫/梅雨入り

 先日、夏らしい陽気に! といった記事を書いた矢先、梅雨入りしてしまいました(笑)。翌日から大量の(待望の)雨が降り続き、畑にもたっぷり水が入りました。周りの農家さんや畑にいる方たちも雨を待ち望んでいるようでした。

 植えたばかりのミニトマトの様子も心配でしたし、播いたばかりの種もあったので少し様子を見に行ってみました。

 すると、畑にかなり水が溜まっていました。スナップエンドウの畝は高さ15cmくらいあるのですが、半分くらい水に浸かっていました。排水性に少し難ありかなと思いました。雨が強すぎて、スマホを取り出せなかったので写真は撮りそびれてしまいましたが、今後の大雨が少し心配です。

 ミニトマトは心配なかったようで、しっかりしていました。雨が上がった後に病気などが出ていないか観察が必要です。

 もう一つ心配だった種ですが、先日播いたズッキーニの種がなぜか穴から出ていました(笑)。見た感じ何かが掘り出したようでもないし、種自体は無傷だったのでそのままもう一度埋めておきました。

 

 翌日、3日ぶりに晴れ間が広がり、晴天だったのでスナップエンドウの収穫をしてきました。今年の畑で最初の収穫物です!

 あれよあれよとたくさん穫れました!

 まだまだたくさん樹には実がついています。これからどんどん穫れそうで楽しみです。

 自家消費には量が多かったので、隣の畑にいた方たちに少しおすそ分けしました。すると、そのお礼とばかりにたくさんの野菜をいただいてしまいました。

 春菊にほうれん草、レタスまでいただきました。どれも新鮮でとても美味しかったです! この時期にこんなにたくさんの種類の野菜が穫れるなんて、さすが長年この土地で土に向き合っているなぁ、と思います。これからいろんなことを学んでいきたいと思います。

 スナップエンドウはシンプルに茹でて、塩をしていただきました。

 穫れたてのスナップエンドウは触感も良く、ならではの甘さが良く感じられました。スーパーに売っているものと比べても遜色ありません。

 

 いよいよ種を播いたものが実際に口に入る段階まで来ました。一から自分の手で育てたものは格別のおいしさです。これからも楽しんで畑仕事に勤しもうと思います!

アブラムシとの闘い/スナップエンドウ

 このところ暖かい日が続き、スナップエンドウがかなり生長しました。中には花をつけているものも見られます。あと1か月ほどで収穫できそうです(ちょっと遅すぎる感ありますが笑)。

 背丈が高くなってきていたので、二段目の誘引を入れました。このくらいの高さになると、風の影響が大きくなってくるので、しっかり入れてあげます。まだ入っていない、これから伸びてくる茎も順次入れていきます。

 誘引作業自体はあっという間だったのですが、スナップエンドウにアブラムシがついているのを発見してしまいました。いつかは出てくると思っていましたが、いざ見つけるとちょっとショックですね。

 本来であれば、防除として薬剤を噴霧するのですが今年は別のアプローチをしてみることにしました。

 先日読んだ「無肥料栽培を実現する本」に害虫に関する話も書いてありました。その本の著者が言うには、

・アブラムシは不必要になった葉っぱについている
・摘葉(いらない葉をおとすこと)の役目を担っている
・先にいらない葉を落としてしまえば、そこまで被害は出ない
・何もしないと、アブラムシが激増してコントロールできなくなる

ということでした。

 実際にスナップエンドウを観察してみると、確かに株元の葉にアブラムシがたくさんついていました。ですが、生長点に近い、上の葉にはあまり見られませんでした。

 アブラムシが根元のいらない葉を狙う理由をもう少し考えてみます。

 アブラムシは葉に溜まっている窒素(硝酸態窒素)を吸いに来ているといわれています。すると一つの仮説が立ちます。

 生長点に近い葉は根から吸った窒素分をどんどん使って、成長していきます。しかし、根元の葉はもう成長しないので、窒素が過剰に蓄積しているのではないでしょうか。そして、アブラムシはそれを狙いに来ていると。

 もちろん単純に根元から順番に食べていっている可能性もありますが、ある程度しっくりくる説明だと思います。

 

 今回は、アブラムシ対策として先に余分な葉を落とすことにしました。観察していると、白い模様が着いた葉が見つかりました。その裏側にはアブラムシの卵が産みつけられていました。

白い跡が確認できる

 

裏返すとたくさんの卵が!

 

 この卵が確認できる葉を一枚一枚除去しました。すると、もさもさだった株元が自然とすっきりして風通しも良くなりました。

 風通しが悪いと、蒸れて病気を招く原因にもなるので、良い摘葉になったと思います。

 

 今回はアブラムシの対策として、卵が産みつけられた葉を除去してみました。これでどうなるか観察してみたいと思います。

ライン張り/スナップエンドウ

 今日は昨日に引き続き、スナップエンドウの作業をしました。

 スナップエンドウは発芽してから、しばらくするとツルを伸ばし始めます。今回育てる品種は「ツルなし」なのですが、それでも少しばかりツルを伸ばします。

 このツルはスナップエンドウが自分の体を支えるための手のようなものです。スナップエンドウの茎は細いのでツルの力で補強します。下の写真でも、紐みたいなものが出ているのが見えます。

S__3825668

 このツルは巻き付けるものを感知して、くるくると巻き付きます。このけなげな姿がスナップエンドウのかわいらしいところです。

 今回はスナップエンドウの成長に合わせて、段階的にツルが巻き付けるように紐を張りました。ネットを張ると、より巻き付ける場所が増えますが今回は支柱を何本か立てて、その間に紐を張ることにしました。

S__3825667

 少しわかりづらいですが、スナップエンドウの頭上に紐が張られています。今後スナップエンドウがきちんとツルを巻き付けられるか観察していきます!

 最近は日毎に暖かさを増しています。ミニトマトとスナップエンドウのほかにも、様々な野菜たちを育てていこうと思っているのでまたご紹介します!

 

トンネル剥がし/スナップエンドウ

 こんにちわ。先日最高気温が30℃を超えたかと思いきや、数日後には最低気温が1℃と冷え込み、霜まで降りました。でもようやく、霜を心配する必要がなくなるかと思います!

 そこで種まきのときから、ずっとかけてあったトンネルを剥がしてきました。下の写真の白いやつですね。

202047 スナップ播種_200407_0009

 しっかりとかけておいたおかげで、この間の霜からも守ることができました。ありがとう、トンネル。

 さて、回収なんですが、なかなか大変でした。来年はどのような長さで使うかわからないので、筒を芯にして再度巻いていきました。世の中にはマキトールなる便利な機材もあるのですが、なにせ高い。1シーズンでそこまで頻繁に使うものでもないので、今回は手で巻いていきました。

 1人がピンと張って、もう1人がぐるぐる。

200512  スナップエンドウ トンネル剥がし
畝にまたがって押さえてくれているマーティ

 そんなこんなで4畝分、80mを回収しました。意外とあっさりでしたが、これがもっと大量にあるとこの方法では難しいでしょう。短いからこそできる方法でした。

 このあたりは大規模にレタス、キャベツなどの高原野菜を生産している農家、法人がたくさんあるのですが、観察していると参考になることも多いです。

 レタスも春の出荷に合わせて、冬のうちから苗の植え付けをします。当然霜にあたると困るので、同じように霜よけの資材をかけます。レタスは圃場が大きく、株もかなり密植です。畑の面積とほぼ同じ面積の寒冷紗をかけています。こんなに大量の寒冷紗、どうやって回収するのだろうと思っていました。

 この間、その回収作業を目にしました。レタス農家の方たちは巻き取ることなく、袋にどんどん詰めていっていました。どうやら、使用する分だけ寒冷紗をカットしてあるようです。毎年同じ面積で使うから、芯に巻かなくても大丈夫、という感じですね。毎年作る場所が決まっていると使う資材も決めておける。結果、時間効率を高めることができるということです。

 

 今回はスナップエンドウのトンネルを回収しました。これから気温が上がって、どんどん成長していくと思います。スナップエンドウの成長を追いかけていきます。

200512 スナップエンドウ支柱立て

 次回はスナップエンドウを誘引するための準備を行っていきます!