【手作業】縦穴掘りで驚愕の排水性向上! 高価な機械もいらない【実体験あり】

旧水田は水はけが悪い

 現在借りている畑の一つに元々田んぼとして使われていたところがある。この圃場は水はけが悪く、レタスやキャベツを栽培しても、過湿になって生育が著しく悪い場所だったようだ。北側と東側の畔にバックホウで深い明渠も掘ったが、そこまで効果はなかったと聞いている。

 私たちが借り、実際に色々な作物を植えてみた。一年間観察したところ、畑の北東方面の水はけが悪い事が分かった。場所によって生育ムラがひどく、発芽してそのまま腐ってしまったようなものも多かった。

 畝を立てるときに通路部分の土を10~15cm掘り上げているため、元の地面よりも低い所に通路がある。雨が降ると、すぐに通路に水が溜まってしまい、ひどいときは2,3日は水がはけずにたまり続けていた。

 特に排水性が悪いと思われる北側、東側はそのままの地面も水が上がり、びちゃびちゃの状態になっていた。この部分は数日間雨が降らなくとも、土がかなり湿っており、畝上げの際に掘りあげたところ、塊になって全くほぐれなかった。においもどぶのような悪臭で、いかにも生物性、物理性に乏しい土だった。

 このような土で育つ野菜は少なく、水に強いと言う里芋ですら、芽が出る前に長い事浸水したせいか腐ってしまった。この失敗があったからこそ、里芋は芽だしをすることにした(→里芋の芽出しをする)。

水はけ改善に縦穴掘りが効く

縦穴による排水性向上とは

 縦穴掘りは現代農業という雑誌で度々紹介されている排水性を向上させる手段だ。深さ40~60cm程の縦穴を掘っていくだけで、それまで明渠や弾丸暗渠を施工しただけでは排水不良だった圃場の排水性が簡単に向上するというものだ。

 この技術は特に新しいわけではないようだ。

樹木医さんは、樹勢回復のための土壌改良と発根促進法として縦穴を施してきました。(現代農業(農文協) 2021年3月号 59ページより抜粋)

とある。

 なぜこのような排水性改善効果が得られるのか。新しい技術ではないが、詳しいメカニズムはまだ解明されていないらしい。
 仮説としては、硬盤層(地中30cmあたりにできる固く締まった層)を確実に貫通する穴をあけ、そこから水を地下深くに逃がすことができる。地表面、土中、どちらの水も下へ流すため、排水効果が高いとされている。
 また何本もあいた穴への流れは地下で合流する。すると立体的な空気と水の流れが生まれ、圃場全体の水が流れ始める。例えるなら、灯油のポリタンクを一方の口から出す時、もう片方の口も空けることで勢いよく流れるのと似ている。

 さらに現代農業2021年12月号では水や空気が穴の中で渦を巻くことでお互いの駆動力を高め合うことも要因の一つとされている。これはお風呂の栓を抜いた時に水が渦巻くのと同じだそうだ。

 また特に水の滞る場所にピンポイントで穴を空けられる。歴や石などの障害物も確実に避けることができる。

各地の実施事例

 私が初めてこの縦穴掘りを知ったのは現代農業2020年10月号のアスパラハウスでの排水改善についての記事だった。

 このアスパラハウスではハウスの東西で排水性が異なり、それによる生育ムラが大きく出ていたそう。元々は水田転換圃場の排水対策として研究されていた様で、応用して行ったようだ。

 簡単に作業と結果をまとめると、

・ハウスの西側に水が溜まっていることが判明
・畝間にエンジン式オーガで直径10cm、深さ60cmの縦穴を70cm間隔で開けていく
・穴には充填剤としてもみ殻を詰める

 以上だ。これだけでどぶ臭さが改善され、生育ムラもその年中に改善したと書かれている。非常に簡単なわりに、効果がわかりやすく、大きな改善が見られるのが縦穴掘りの特徴といえる。

 現代農業2021年3月号では熊本県の元水田圃場での様子が記事になっている。
 六個の穴を空けただけで20aのグジュグジュ畑が劇的に乾いたそうだ。圃場内に明渠を掘ったりしてみたものの、あまり効果はなかったのに縦穴を6個掘っただけで、むしろ乾燥害が出るほど排水性が良くなった、とある。

 現代農業ではその後の号でも何回か記事が組まれ、様々な地域、圃場でも成果を上げているようだ。水が溜まってしまうと多くの野菜は根腐れなどから生育が悪くなり、病虫害のダメージを受けやすくなってしまう。

実際の畑、作物の様子

縦穴の周辺3m四方が劇的に乾いた→里芋の成長が良くなった

 今年里芋を植え付けた場所は、雨が降ると表層にまで水がしみ出し、ずっとじめじめしている。里芋は水を好むため、このような排水性が劣る場所でも良く育つと考えていた。

 東西方向に約10m作付けし、現在背丈は腰を超えるほどとなっている。たった10数株だが、明らかに生育が悪い部分がある。

220806 草で被覆したの里芋
奥が東側 真ん中の生育が悪い

 写真は奥手が東側になる。この圃場の北側に位置する里芋畝は西側の端2,3mが少し乾き気味、東に行けば行くほど湿り気が酷くなっている。
 東側の方が生育が良く、真ん中が少し劣っている。これはより水持ちの良い東端の株の生育が良いと思っていた。しかし、つい先日里芋の土寄せを行う際に畝に沿って土を15cm程度掘りあげた。
 東側の生育の良いエリアの土は塊で持ち上がったものの、手で簡単に崩すことができた。かといってサラサラでもなく、どちらかというと団粒化したコロコロな状態だった。一方、生育の悪い真ん中あたりの土はがちがちで粘土質の塊で、ほぐそうとしても練ってしまって一苦労だった。

 実は、今年の春、縦穴掘りの効果を確かめてみようと思い、実際にこの圃場に掘ってみたのだった。場所は今里芋が植わっている東側の畔に一つ。丁度生育の良い、東側の里芋3,4株の近くだ。穴の周囲3mがその生育良好エリアにあたる。

220806 真ん中が生育が悪い里芋 縦穴の場所
今年の春に縦穴を掘った


 これからわかるのは、今回は縦穴の周囲が排水性が良くなり、穴から遠いところはまだ排水性が良くなっていない。元々乾き気味だった西側と合わせて、生育ムラが出来たのではないかと思っている。

 里芋といえど、湿り気があり過ぎて土が締まってしまうと生育が悪くなってしまうことも分かった。 

ナスも縦穴の近くの株ほど生育が良い

 同じように、縦穴の周囲は生育が良く、何もしてない中央部分はそれに比べて生育が悪い状況はナスにも見られた。

 ナスは里芋の畝から一本、南側の畝で西側からピーマン、東側からナスを植えてある。
 ナスも水を好む野菜の一つで、水と一緒に養分を吸収するため、水がないと生育が悪いと言われている。そのため、水持ちは良い(水はけは悪い)北側に植え付けてみた。

 ここは通路の土を掘りあげた畝なので、雨が降ると通路に水が溜まってしまい、数日間は畝間が浸水してしまう。そのため、東側の一番端、水が溜まりやすい角にピンポイントで縦穴を掘った。その後も雨が降ると前よりは減ったものの、通路に水が溜まっていた。

220612 水が溜まった畝間
水のたまった畝間

 ナスの生育を見ると、里芋の時と同じように、元々水はけの良い西側と縦穴の周囲3mほどの株はかなり良く成長した。真ん中あたり、丁度里芋の生育が悪いエリアの近くは生育が悪いのが分かる。
 相変わらず、畝間に水は溜まってしまうが里芋の株周りと同じような土質の変化があれば、ナスの生育ムラも説明がつく。

220812 ナスピーマン畝の生育ムラ
中央部がおおきくなっていない
220812 生育良好のナス
生育の良いエリア
220812 生育不良のナス
生育の悪いエリア 同日

 つい先日、ナス・ピーマン畝の生育不良エリアに2mおきに3本の縦穴を掘ってみた。これで生育が改善され、他の株に追いついて来るか観察してみようと思う。

まとめ お手軽、効果的な排水対策

 縦穴掘りはとても簡単で、すぐに効果が期待できる排水対策だ。暑い季節は無理でも、真冬以外なら、秋や春の涼しい季節にやっておけば、必ず次の梅雨時期には効果を発揮してくれるはずだ。

 最後になるが、縦穴を掘る為の道具を紹介しておこう。普通のスコップではせいぜい30cmが限界だろう。普通にスコップでは縦穴というよりもでかい穴が開いてしまう。

 そこで私が購入したのが、朝香工業 金象印 Wらせん穴掘り SD75だ。少し高価だが、次に紹介する電動工具やエンジン式工具よりは圧倒的に安い。深さ50cmくらいまでなら簡単に空けることができる。ひとつ5分もかからないだろう。

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縦穴掘り器

 現代農業ではプロ農家の事例が紹介されており、彼らはオーガとよばれる、デカいドリルのような機械を使用していた。バッテリー式エンジン式があり、どちらも一長一短、価格は数万から数十万するものが大半だ。
 個人的には小規模に使うなら、手動の穴掘りスコップで十分だと思う。

 排水性の悪い土に悩んでいる方はぜひ、試しに縦穴を掘ってみてほしい。大きな効果が期待できるはずだ。

【自然農】おいしい里芋を収穫するための土寄せのやり方【不耕起】

梅雨が明けるころに土寄せをする

 里芋は植え付けた種イモの上に子芋、孫芋ができる。収穫するのはこの子芋、孫芋になるのだが、栽培期間中に地表に出てきてしまう。太陽に当たり、芽を伸ばした子芋、孫芋は細長くなり、味が著しく落ちる。その為、子芋孫芋を土に埋める、さらに芋を太らせるスペースを作るために土寄せをする必要がある。

 里芋の土寄せは、二回くらいに分けて段階的にするのが良い。一度にやってしまうと、葉っぱが出てくる分岐点を埋めてしまうことがある。除草作業も兼ねて、梅雨時期と梅雨が明けた頃の二回、土寄せを行う。
 今年は6月中に梅雨が明けたが、例年なら8月頭に梅雨明けし、乾燥期になるため、8月にも土寄せをした。

 目安は20~30cmほど株元に盛り上げればよい。小山が出来るくらい、土を盛ることになるため、結構な重労働だ。この作業をしないと、美味しい里芋ができないばかりか、そもそもの収穫量も減ってしまうため、頑張りどころだ。

 私たちの里芋は4月25日にポットで芽出し、5月25日に植え付けた。現在の様子は写真の通りで、かなり株に勢いがある。6月半ば、梅雨の晴れ間に一回目の土寄せをした。

220627 草整理した里芋
6月27日の里芋の様子 一回目の土寄せした
220806 草刈り前の里芋
8月6日の里芋の様子

不耕起、しかも粘土質の圃場での土寄せ

 通常栽培であれば、草を生やさない様に管理してあるだろうから鍬で簡単に土寄せできる。土寄せの時期までは保温と雑草対策を兼ねてマルチシートを使用する方法もあるらしく、それなら更に簡単だろう。

 私たちはなるべく、石油資源を使わず、自分たちの身の回りで循環する野菜作りをしている。肥料・農薬を使わず、耕耘機で耕すこともしていない。
 不耕起でも野菜がちゃんと育つ事を確かめたくて、実践中だ。そして、実際に野菜が良く育っている事実を目の前で見ることが出来ている。里芋も、周りの畑よりも大きく育っているように見える。

 里芋栽培では土寄せが必ずといってよいほど必要だ。不耕起栽培だと、非常に相性が悪い作業だ。なるべく土を動かさないという考えと真っ向から相反する。今回は「耕さない」ということにとらわれずにしっかりと土寄せをする方法を考えた。

草を刈り、表土をむき出しにする

 まずは草刈りから始めた。こまめに草刈りをしているはいえ、結構大きな草が目立っている。ここまで里芋が大きくなれば、もう草に負けることは無いと思うが、せっかくなのでしっかりと刈り取った。今思えば、南側15cmくらいに生えている草は残しておき、日差しを遮るネット代わりにしてもよかった。

220806 草刈り後の里芋
表土が見えるくらい、草を削った

 今回は株から40~50cm脇にそれた通路の土を掘りあげ土寄せに使うため、通路部分までしっかりと草を削った。青草が混ざると、ガスが湧き生育に悪影響があるかもしれないので丁寧に。この作業が一番時間が掛かった。立鎌や草刈機を活用して時間短縮できれば、もう少し規模が大きくなっても対応できるはずだ。

土を剣先スコップで掘り上げる

 次に剣先スコップで通路部分の土を掘りあげた。やり方は「不耕起畑での畝の立て方」で紹介しているような方法で、まず切り込みを入れてから掘りあげる。

 作業自体は畝立てで慣れているため、簡単だった。
 ここの圃場は元田んぼで水はけが悪く、塊になっている。本来であれば、数日日光にさらして半乾燥くらいにすれば作業性が良かったかもしれない。今回は天気が読めないことから一日で済ませてしまった。

 あとは手でほぐしながら株元に盛り上げた。同じ一本の畝でも場所によって土の水分量がかなり違っていた。この圃場は北、東側になれば水はけが悪く、南、西側はすぐに水がはけ乾燥気味だ。
 里芋は水分を多く好むため、一番北側に東西方法に植えてある。大体中心を境に成長が比較的良い方、悪い方がある。基本的に水はけの悪い東側の株が大きかったため、やはり里芋は水はけが悪い方が育ちが良いのだと思っていた。

220806 土寄せ後後の里芋
20cm以上、土を盛りあげた

 しかし、実際に土寄せの際に触っていると、生長が良い株ほど土が乾き気味だった。東側は掌でこすり合わせればボロボロと崩れ、コロコロの土だったのに対し、育ちの悪い西側は塊が二つにパカッと割れるほど水気があった。

 本来だったら東側の方が水はけが悪いはずなのに、何故水はけが改善していたのか。これについては思い当たる節があるため、また記事にしたいと思う。そして、里芋はある程度の水はけも良く、保水力が高い土を好むと言うことがわかった。

厚めに刈り草で被覆する

 土寄せが出来たら、刈り草で表土が見えないように被覆する。これまで敷いてあった草では足りないので畔を刈った時の草も集めて来た。

 里芋は乾燥を嫌う。これからの時期、雨が減り、日差しが強く照り付ける。水分がしっかりと保たれていれば里芋はぐんぐん成長していく。毎日水やりをするのは大変なので、降った雨の水分を効果的に保持するために厚く草で被覆する。

220806 草で被覆したの里芋
刈り草で10cm以上被覆した

 草の保湿効果は高く、10cmも敷いてあれば、2週間雨が降らなくても大丈夫だろう。ここの土は粘土質で乾燥するとカチカチに固まってしまう。刈り草で被覆すると、土をふかふかにしてくれる効果もある。

 そして草は土壌生物のエサになり、次の世代の栄養に変わる。草は雑草扱いされ、邪魔者扱いされる。でも、同じ植物として、土の養分や光合成したエネルギーを蓄えている。これを畑から取り除かずに土に還していくことで肥料を与えなくても野菜が育つ循環を作り出すことができるはずだ。

 そう思いながら、しっかりと草で被覆した。

不耕起栽培の欠点は作業性の悪さ

 ここまでくれば里芋は10月の収穫を待つばかりだ。無肥料、無農薬、不耕起で育った里芋の味が楽しみだ。

 不耕起栽培の最大のデメリットは作業性、効率性が悪いことだ。草を生やす草生栽培だと更に作業性が落ちる。草生・不耕起のダブルパンチだ。今回の作業も、十数株の里芋に対して2時間ほどかかった。今年は良いけれど、もう少し多めに作るとしたらやり方を考えないといけない。
 環境を負荷を与えない、資源に依存しない農業をするためには多少の非効率には目をつぶらないといけないことを実感した一日だった。でも、その非効率さを気楽に受け入れられるような、ゆとりのある暮らしをしていきたいとも思った。

【自然農】生育初期に草に埋もれないための整地・種まき方法【不耕起】

夏播きの秋冬野菜は草に負けやすい

 毎日のように30℃近くまで気温が上がり、照り付ける日差しでしなびそうになりながら、畑に向かっている。というのも夏野菜は今がまさに最盛期。最も生育に適した気候だろう。うちの夏野菜はまだ収穫が始まっていないものも多いが、後1週間ほどもすればどんどん穫れだしてくる。

7月23日の畑の様子

 春先、寒いうちから準備していた野菜たちの収穫で食卓が豊かになる一方、既に秋冬野菜のことを考えければいけない季節だ。中でも成長の比較的ゆっくりな人参やビーツなどのアブラナ科ではない根菜類はできれば7月中、遅くとも8月半ばには播いておかないと、寒さの厳しい長野県では大きくなりきれない。

 夏播き栽培で問題となってくるのは①梅雨明け後の晴天続きで乾燥しやすいこと、②虫の活動が活発なこと、③草の勢いが強いことだ。
 ①の乾燥は畑のそばで水が取れれば潅水をすることで対応できる。不織布などの被覆材を活用する手もある。②の虫害はある程度はどうしようもない部分がある。無理な早播きはしない(盆すぎから気温は落ち着く傾向にある)、虫害の発生しにくい土作りをするしかない。

 労力的に困るのは③の草だ。にんじんやビーツは発芽までに1週間以上かかる事もあり、発芽が揃った頃には雑草の芽もびっしり、ということになる。しかも、初期生育が遅いのに、草は今が全盛期なためあっという間に草に飲まれる。そもそも、雑草というのはその土地に何十年もいて、その土壌に合ったものが生えてくるため、最も生命力が高い植物たちだ。
 暑い中、小さな草を一つ一つ抜いていくのは大変な労力がかかる。他にもやらなければいけないことが多い真夏にはなかなか大変だ。

 農業は草との闘いの歴史だ。いかに草に負けないように管理するかが、出来にも大きくかかわってくる。除草剤が開発され、今や100円ショップでさえ簡単に手に入るのはその結果だろう。
 また、耕すことの大きな目的は草の成長を抑えることだ。農業は耕す事で一気に効率的に食べ物を栽培することが出来るようになった。除草剤や耕耘機の登場は食糧生産に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。

 しかし私たちはなるべく、石油資源を使って耕耘することや土壌の多様性に大きな影響を与える除草剤を使わずに栽培したい。そこで夏の種まきをするときにどのようにして生育初期の草を抑えるかに焦点をおいて、種まき方法を考えた。

けずっ太郎で初期除草できるような種まき方法

けずっ太郎で初期除草はかなり効果的

 けずっ太郎とは私が愛用している「土を動かさずに草を根元で切る」除草鎌だ。株式会社ドウカンが開発・販売している農具(→ホームページはこちら)で、刃幅が何種類かラインナップされている。

けずっ太郎スリム 刃幅7cm

 けずっ太郎は草が発芽した直後にかけると一気に一掃できる。今年、大豆の株間をこれで初期除草したが、播種後に二回一週間おきにかけただけで一度も除草することなくここまで大きくなった。

けずっ太郎で初期除草
株間はほとんど草が生えていない

 人参や大根でも、株元ギリギリまで除草できるスリムサイズを新たに購入したため、今年は初期除草を徹底するつもりだ。株元は間引きついでにちょこちょこと草取りすればいい状態にすれば、作業もかなり省力化できる。

不耕起でもけずっ太郎を使えるように整地する

 この種まきの最重要ポイントはこの整地作業にある。

 通常、不耕起だと種まきの前は畝上には草が生えており、地面は見えないくらいになっている。これではけずっ太郎はおろか、種まきすらできない。そこでいかに土を攪拌することなく、植えるスペースを確保するかが作業性、効率を大きく左右する。

整地前の畝 草を生やしてある

 まずは畝上の草を草刈機でざっと刈る。長すぎる場合は50cmで一度刈ってしまう二度刈りにすると刈り草の扱いが楽になる。刈り草は重要な資材になる。

ざっと草刈り、一度刈り草を退かした

 刈った草は一度レーキで綺麗に畝間に落として行く。できるだけ丁寧にやっておくと後が楽だ。
 次に残っている切り株を草刈機の刃を少し地面に潜り込ませるようにして綺麗に刈り払う。畝の中央から外側に振り落とす様に、二回に分けて刈ると簡単だ。

深刈りした後 草はほとんど残っていない

 あとはレーキで地面の凸凹を均しながら、それでも残っている切り株や太い根があれば抜いてしまう。レーキは爪を深く差し過ぎない(耕さない)ように浅く、表面をなでるように。

 これで種まき準備完了だ。でも、すぐには種を播かない。この状態で数日置いておくことで、表層の草を発芽させるためだ。畝間に落とした草を畝の上に戻し、被覆しておく。できればやっておきたいが、面倒ならそのまま置いておいても多分大丈夫だ。

種まき当日の作業

 種まき当日まで約10日前後、日を空けることで畝に草が生え始める。
 畝上には前に刈り敷いた枯草が載っているため、レーキで丁寧に畝間に落とす。大きな根が残っている場合はのこぎり鎌で根元から切り取る。そしてけずっ太郎で表面を均すように草をかき取る。これで種まき準備完了だ。

10日後 深刈りした場所
深刈りしなかった場所

 写真を見比べると、生えている草の大きさが違うのが分かるだろう。このくらい小さければ、けずっ太郎で簡単に一掃できる。

 こうすることで種を播く前にある程度の草の種を減らすことができる。けずっ太郎は大きく土を耕さないため、下から新たに上がってくる種も少ない。表層から2,3cmを浅耕することでまさにこれから発芽しようとしている種の出鼻をくじくことにもなる。

 種まきは出来るだけ真っ直ぐに播くのが大切だ。発芽後の管理は真っ直ぐに苗が並んでいると効率が上がる。けずっ太郎で小さな芽の脇をなるべく際まで除草する時に真っ直ぐ並んでいないと非常にやりづらい。
 また筋蒔きで2条、3条と複数列播く場合は条の間隔をきっちり揃えておかないと条間に刃が入らず草だらけになるので注意が必要だ。

発芽が揃ってからの作業

 人参やビーツ、玉ねぎであれば7~10日で発芽揃う。大根やかぶ、小松菜などのアブラナ科は3~4日で発芽が揃う。

 芽が出そろったら、けずっ太郎の出番だ。発芽した苗と一緒にたくさんの小さな草の芽があるはずなので、それをかき取る。野菜の芽を抜かない様に気を付ける。
 大体1週間すると草の芽を出てくるので①種まき日から1週間後、②それからさらに1週間後、の二回立て続けに除草すると、条間にはほとんど草が生えて来なくなる。播種から2週間経つと、丁度間引きのタイミングになるので株元の草も取りながら間引いていく。

秋冬野菜第1弾は成長がゆっくりなビーツ

 この方法で早速、ビーツの種まきをした。ビーツはわたしたちも食べたい野菜の一つで、毎年挑戦しているがなかなか大きくなりきらずに冬になってしまう。

 毎年8月中旬に種まきをしているが、これだと大きくならなかった。養分不足や酸度が最適ではない(ビーツは酸性の土壌を好まない)など他にも要因は考えられるが、今年は一番改善するのが簡単な早播きにすることにした。
 ビーツの生育最適温度は15~20度で、これ以下になると、玉の肥大が鈍ると考えられる。通常、ビーツの生育期間は60~75日なので、最高気温が20度を割り込む日から60日遡って種まきをすれば、良く肥大してくれるのではないかと思っている。
 今年栽培している「デトロイトダークレッド」の栽培適期表からも冷涼地は6月中に種まきすることとなっているため、これでも遅いのかもしれない。

 今回紹介した方法で整地した畝に種まきした。5mの畝に3条、株間は15cmなので約100個分の種まきをした。どのくらい育ってくれるか楽しみだ

ビーツの種まき

 写真で筋状に茶色の被覆が見える。これは自分で仕込んだ落ち葉堆肥だ。もう2年間放置してあった堆肥を篩で枝やまだ未分解の落ち葉を除いた。乾燥防止の被覆材変わりになればと思って使ってみた。刈り草を掛けておいても良いのだが、この後の除草作業の邪魔になるのでできれば避けたいので代わりに落ち葉堆肥を使ってみた。

【自給】エゴマの栽培と暮らしの中での活用法【作る暮らし】

近年見直されているエゴマ(荏胡麻)

 エゴマは最近、健康に対する意識の高まりから注目されている食材だ。
 歴史は古く、日本では縄文時代から利用されてきた歴史がある。元々東南アジア原産だが、早いうちから大陸から日本に伝わり、長い間活用されてきた。日本最古の野菜といってもいいだろう。
 平安時代には提灯などの燃料として、江戸時代ではその油の特徴から和紙などの撥水剤としても利用されていた。栽培量が減った現代でも、全国各地でエゴマを栽培し、利用する文化が残っている。

 そんなエゴマだが、多くの人が「エゴマ油」が身体に良い、と聞いたことがあるだろう。エゴマは「畑の魚」と呼ばれるほど、不飽和脂肪酸を多く含んでいる。不飽和脂肪酸は体内で作ることのできない必須脂肪酸で食事から摂取する必要がある。エゴマはその不飽和脂肪酸の中でも、循環器系疾患の予防に効果があると言われている「α- リノレン酸」を特に豊富に含んでいる。そのことからエゴマは現在注目されている健康食品だ。

 エゴマはシソ科の一年草で、日本各地で栽培されてきた。長野県では「えぐさ、いぐさ」、東北地方では「じゅうねん、じゅうね」、岐阜県では「あぶらえ」など様々な別称がついて、その地域ごとに親しまれている作物だ。東北地方の「じゅうねん」というのは「エゴマを食べれば十年長生きする」という言い伝えから来ている。昔の人は高度な分析機器がなくても、エゴマが身体に良いことを知っていたのだろう。

 私たちも最初の畑の隣のおじさんから、数本株を分けてもらったことから栽培するようになった。最初の年はもらった数株を大事に育て、種を採った。昨年、その種を播いて1Lの大瓶満タンに収穫した。

210907 エゴマ
昨年のエゴマ
211024 乾燥中のエゴマ
収獲した実エゴマ


 そして今年、その種をまた畑に播いた。現在、30cmくらいまで大きくなってきた。もうエゴマの葉も結構採らせてもらった。醤油漬けにして少しずつ楽しんでいる。

育てた後が大変なエゴマ栽培

 エゴマはシソ科ならではの生命力で、比較的簡単に栽培できる。多少、葉っぱは穴をあけられるが、そこまで大きな被害が出ることはあまりない。紫蘇が翌年も同じ場所から芽を出すようにエゴマも生命力が強く、自然生えしてくる。

220714 エゴマの葉っぱ
エゴマの葉

 種まきは梅雨入り直後の6月10日前後にしている。種が大きく、水を吸いにくい形状のため、雨が降って水分が多い時を狙って種を播く。約1週間で芽が出そろうので除草する。最初の成長が遅いため、こまめに草整理をしておきたい。今年は条間を「けずっ太郎」で除草した。発芽後に一度やっただけだが、播種してから1カ月たった今、もう草に負けないくらいエゴマが育ってくれた。若干草が伸び始めたので近々草整理に入る。

220624 発芽したエゴマ
種まきから10日経ったエゴマ

 あとは草が伸びすぎないように、1,2回草刈りをしてあげれば収穫となる。葉っぱを利用する場合は、背丈が十分育って来てから、一度にたくさん採り過ぎないようにする。一株から一度に一枚までと決めておけば、取りすぎることは無い。
 茎葉が半分以上枯れ上がったら収穫時だ。

 大変なのは、種(実)の収穫だ。エゴマの種は外れやすいため、慎重に畑から出さないとボロボロと落ちてしまう。
 いざ脱穀といっても、私たちのように多くの人は手作業だろう。ひたすら木の板でたたいたり、株ごと叩きつけたりしてできるだけ種を落として行く。あんなに外れやすい割に、数が多いせいかいつまでもぽろぽろ外れてくるため、かなり根気がいる作業だ。

 ゴミが沢山入ってしまうため、篩や風の力を借りて綺麗にしていく。これも大変だが、どんどん綺麗になっていくエゴマの種を見ると、嬉しい気持ちになる。さらに細かいゴミを除く為に水さらいをする。軽いゴミや実の詰まっていない種が浮いてくるため、それを取り除けば調整は完了だ。

エゴマの活用方法

葉っぱを利用する

 エゴマの葉っぱを利用するには、「醤油漬け」がおすすめだ。韓国料理では「ケンニプ」と呼ばれ、広く浸透している食べ物だ。

220715 エゴマの醤油漬け
エゴマの醤油漬け

 仕込んで翌日に食べられるのも良い。うちも早速仕込んで毎日食べている。ちょっと癖のある風味がたまらない。ご飯がどんどん進む。やるまでは面倒なのだけど、実際やってみて、その良さを知ると何で今までやらなかったのか疑問に思うくらいだ。
 家庭菜園、自給農のいいところはこうして手間をかけたものには大きな価値がある事を知ることができる点にある。

 エゴマの葉で作るジェノベーゼソースも美味しいらしい。これはまだ試したことがないので、今年試してみようと思う。ジェノベーゼというとバジルで作るのが一般的だが、紫蘇で作るのも美味しい。エゴマは紫蘇の仲間だから間違いなく美味しいはずだ。パスタのレパートリーが増えること間違いなしだ。

 他にも大葉巻きの代わりにエゴマ巻きなんてのも良いかもしれない。

実(種)を利用する

 エゴマは実に含まれるα- リノレン酸という不飽和脂肪酸の含有量が世界で一番多い。この脂肪酸は必須脂肪酸で食事から摂らないといけない。
 α-  リノレン酸の一日あたりの摂取量を野菜から摂取しようとすると、ほうれん草なら約1.5kgも食べないといけないことになる。エゴマ油なら小さじ1杯(3g)で必要量を摂取できる。油自体にはあまり癖が無いため、サラダにかけたり、ヨーグルトにかけたり、コーヒーに垂らしても良い。

 エゴマから自分でエゴマ油を搾る。現代においてかなり上位の贅沢になるのではないだろうか。エゴマ油は価格も高く、200mlほどで1000円くらいはする。高品質な物は2000円以上のものもたくさんある。それを惜しみなく毎日食べることができたら素晴らしい。エゴマ油200ml、自分で絞るには1000円以上の労働力は必須だけど、自給自足でそれを言ったら始まらない。掛ける手間の分だけ価値がある。

 余談だが、私たちは自家用の搾油機を持っていないので購入を検討している。1週間に1度、必要な分だけ絞れたらと思っているので、サッと使えること、手入れが簡単なこと、50mlくらい絞れることを条件に探している。
 案外、選択肢は多く、家庭用搾油機業界は競争が激しいのかもしれない。今のところ、考えているのは石野製作所のShiBoRoだ。価格が10万(!!)とかなり高額なため、いつになることやら。他にも良さそうな商品はたくさんあるのでじっくり探したい。

 エゴマの実は油を搾るだけじゃない。丸ごと食べるのも結構イケる。もはや毎日実を食べた方がいいのかもしれない。食べ方はいろいろある。
 まず本当にそのまま。ナッツのような風味とプチプチした食感で美味しい。ヨーグルトに入れて食べるのがおすすめだ。
 すりつぶすのも良い。胡麻の代わりにエゴマ和えにしたり、甘いタレにして餅につけたり、すりつぶしたエゴマをご飯に混ぜる「えめし」は岐阜・飛騨地方の郷土料理として知られている。

220717 すりつぶしたエゴマ
焙煎してから擂ると香りが良い
220717 エゴマご飯
すりエゴマとご飯を混ぜる

今年のエゴマ栽培も上手くいきますように

 今年は全国的に異常気象が続いている。ここ長野県はまだ大きな被害が出ておらず、畑の野菜たちも無事だ。

 エゴマは順調に育っている。土の成分を吸収する力が強く、その土地のエネルギーを蓄えるエゴマ。このまますくすく育って、実りをもたらしてくれることを願っている。

220717 エゴマの様子
7月17日のエゴマの様子 種まきから1ヶ月

【自然農】6月にやった実際の畑仕事とそれについての考え【寒冷地】

例年にない異常気象だった6月

 6月は梅雨の季節で雨が降り続くのと、気温も十分上がってくるためどんどん草が伸びてくる季節になる。野菜も良く育つが、草もより伸びるため草刈りに追われる時期になる。ここで草に埋もれさせないかが梅雨明け後の収穫の出来を大きく左右する。

 ところが今年の梅雨ははっきり言って異常だった。
 梅雨入りは6月14日と平年並みで雨予報が毎日のように続いていたため、今年はかなり雨の多い梅雨になると思っていた。それが一変して、毎日のように晴れて猛烈な暑さが続いた。雨は夜にさーっと降るだけで、日中は最高気温35度近くまで上昇した。そして、そのまま6月中に梅雨明け宣言となり、史上最短での梅雨明けとなった。また、6月としても史上最高気温を更新している。

 通常であれば、梅雨時期の雨をもらって野菜がぐんと大きくなり、梅雨明け後の渇水期を迎える。そのころには根も十分張り、暑さに負けずに元気に育つ。しかし今年はあまり大きくなれずに梅雨明けとなってしまった。これがどのような影響を及ぼすかわからない。全国的には既に猛暑・渇水のため農作物に大きな被害が出ていると聞いている。

 それでも今のところ、私たちの農園の野菜は順調に育っている。このまま元気に育っていってほしい。

6月に種まきした野菜

自家採種二代目の大豆(ナカセンナリ)の播種・初期除草

 まず、紹介するのは自給に欠かせない大豆だ。今年は昨年と比べて倍近くに増産する予定だ。

 種まき日は昨年とほぼ同じ6月12日。この直前まで連日雨が降り続いていたため、土がしっかり湿っていた。翌日も雨予報があったため、水やりはしていない。
 不耕起畝に播種するため、地上部の草を地際で丁寧に刈り取った。これが結構な重労働で、この方法ではやはり自給用の栽培が限界だと感じている。次の除草作業の都合上、なるべく表土をむき出しにしておきたいため、どうしてもしっかりと草を削る必要がある。

 草刈機や草削り・三角ホーなどのスタンディングツールを活用して整地を行う必要があると思っている。

 さて、種まき後にまとまった雨が降った事もあり、5日後には発芽が揃った。草も同時に発芽してくるため、播種10日後の6月22日に一回目の除草を行った。

220625 大豆 播種後10日後 初期除草
播種10日後 初期除草


 大豆を昨年栽培して、ある程度の背丈に育った後なら草を伸ばしておいても問題なさそうだったため、初期除草を徹底して初期生育をしっかりしてもらうことにした。

 初期除草には「けずっ太郎」という農具を使用した。この「けずっ太郎」は草が小さい時期に絶大な効果を発揮し、表土数センチしか動かない、むしろ浅い中耕になる、と非常に有用な農具だ。「けずっ太郎」についてはこちらを参照。

 発芽したばかりの草なら表土をカリカリッとかくだけでしっかり根を切るため、しばらく草がない状態を維持できる。今回は一回目と二回目の間を1週間として、立て続けに二回除草した。これですぐに草に覆われることは無いはずだ。

220625 大豆 播種後2週間
あっという間に大きくなる大豆

 あとは収穫までに二回程草刈りをすればいいだろう。次の草刈りからは、なるべく地際で刈らないようにするつもりだ。地際刈りすると、カメムシが好むイネ科の草が旺盛になり、大豆にも大きな被害となる。5cmほど背丈を残して草を刈ると、広葉の草の生長点が残り、草のバランスが良くなり、結果圃場全体の生態系のバランスも整ってくるはずだ。

しっかりと待ったオクラを播種

 オクラは高温性の植物で、低温で著しく生育が鈍り、病虫害の影響を受けやすくなる。
 私たちの住む長野県は5月いっぱいは10度付近まで気温が下がる日もある。12度以下の低温に当たるとかなり株が弱るため、しっかりと気温が上がってから種まきをした。

 6月15日ごろから最低気温が15度を下回ることがない予報だったため、発芽に1週間ほどかかるのを見越して5日に種まきをした。発芽は13日で、それから二日ほど最低気温が12度になったが曇りだったため、そこまで地表面は気温が下がらなかったはずだ。

 そのため、オクラの生育が順調で今のところ本葉2枚目まで展開し、一切アブラムシがついていない。葉の大きさも例年以上に大きい。オクラ栽培ではアブラムシが付くのを避けられないイメージがあったが、しっかりと高温になるまで待てば虫害を受ける事無く生育してくれるようだ。

220624 オクラの様子
アブラムシもおらず順調

 この調子で行けば、8月には収穫をもたらしてくれるだろう。今年は昨年失敗した自家採種もしっかり行いたい。
 例年からはさらに初期生育の気温を確保するために不織布トンネルをかけてもいいかもしれない。

ナス・ピーマン類の定植

 オクラと同じく、ナスやピーマンの定植も6月に入ってから行った。

 理由も同じで、12度以下の低温で傷みやすいからだ。6月9日に定植して、現在順調に成長している。今年の苗は畑の土に排水性向上のためもみがらや落ち葉堆肥を足しただけの土で育てた(→畑の土で育苗する)。

220609 ナス・ピーマン 植え付け
鷹の爪の定植

 約70日の育苗期間を経て本葉5,6枚の若苗で定植になった。自然農では若苗にしても、樹勢が強まり過ぎることがなく、むしろ生育のバランスが良くなるため、若苗にすることが多い。

 実は比較のために5月25日にも四株ずつ先に植えておいたものがある。6月いっぱい観察結果、早く植えただけ生育も早いといった感じだ。特に低温障害にあった様子は見られない。5月25日から6月9日までの間、12度以下になった日は何日もあり、最低で8度まで下がった日もあった。それでも特に生育が悪い様子はないため、案外早植えしてもいいのかもしれない。

220628 6月9日植えのナス
6月9日植え(20日後)のナス
220628 大きくなってきたナス
5月25日植え(33日目)のナス

 今年はあまり雨が降らない梅雨だったが、それでも6月初めは雨ばかりだった。雨が降る中で定植すると、常に地面が湿っているため、土も固まりやすいし、根も水分を求めて伸びにくい。雨によって予定もしにくいため、晴天が続く5月終盤に植えておけると、作業性も良く、根張りも良くなるのかもしれない。

 今年は垂直仕立て栽培に挑戦するため、ナス・ピーマンにも半分ずつ垂直に支柱を立てててある。無肥料でもがっちりと育ち、ピカピカの実をたくさんつけてくれるらしい。
 これから脇芽が伸びてくるにしたがって実践して行きたいと思う。

芽だしでしっかりと育っていく里芋

 今年の里芋は昨年芽が出ずに雨で腐った反省を生かして、定植前にポットで芽だしをしてから植え付けた(→こちら)。

 その後生育は順調でぐんぐん成長している。既に30cmほどまで葉っぱを出しており、6月中に一回目の土寄せを行った。もう少し背丈が伸びたらまた土寄せを行い、株もとから15cmは盛り上げたいと思っている。

220627 草に埋もれた里芋
5月25日定植の里芋
220627 草整理した里芋
6月27日の里芋の様子 草を削り土寄せした

 里芋は暑さと水気を好み、最近のじめっとした暑さでも良く育つ作物だ。梅雨時期の雨でぐっと大きくなると思っていたが、もう梅雨が空けてしまった。これでは雨が足りずに生育が鈍りそうだと思い、予定を早めて厚めの草マルチを施した。草マルチの保湿効果は絶大なので、これでなんとか育っていってほしい。

6月の収穫物

自家採種二代目、連作三年目のスナップエンドウ

 うちのスナップエンドウは無肥料・無農薬・連作三年目の土で、自家採種している種を使って栽培している。

 一時は生長が遅くて心配していたが、しっかりと実を付けてくれた。収穫量は昨年より減ったように思える。
 スナップエンドウの旬は短い。3月半ばに種まきをすると、6月10日頃から穫れ始めて、7月頭には収穫のピークを迎える。今年は梅雨が短く、生育適温をはるかに超える気温が続いたため、一気に株が弱ってしまった。本来であれば、梅雨時期のほどよい気温でまだまだ成長するのだが、今年は仕方がない。

 現在はもう収穫を切り上げ、種用の実を残してある。

無肥料栽培のニンニクを収穫

 ニンニクについてはこちらの記事にまとめてある。

7月の予定

 7月はあまり収穫できる野菜が少ない。葉物系やラディッシュ、こかぶなどの生育期間の短い根菜系なら春先に播いて収穫できると思うので来年以降は6,7月に収穫できる野菜をふやせるようにしたい。

 7月は引き続き、次々伸びる草を刈っていく作業が主になる。草刈りは野菜の成長を手助けするのと同時に、翌年以降の土作りにもなる。暑くて大変な時期だが、頑張りたい。

 さらに夏野菜が大きくなってくるため、誘引や芽かき等の管理作業も増えてくるだろう。特に今年は色々な野菜で「垂直仕立て栽培」に挑戦しているため、こまめな管理作業が必要になる。