無肥料栽培の可能性を感じた
昨年2021年はミニトマトの栽培が上手くいかず、収穫もほとんどできないと言う結果に終わった。その結果は惨憺たるものだったが、改善も見つけることが出来た。そのおかげで今年の栽培にも大いに生かすことが出来た(→昨年のミニトマト栽培の考察はこちら)。
今回は今年のミニトマト栽培について振り返っていこうと思う。大きく分けて3つのポイントがある。
今年は日々食べていく分にはちょうど良い程度の収穫が出来た。3日に1回収穫して、500gずつくらいは穫れただろうか。8月の半ばから10月の半ばまで約2か月間収穫した。
昨年からするとよっぽどよく出来たのだが、冬の間に食べるために瓶詰にする余裕も、販売に回す余裕もなかった。植え付け本数としては40株は植えているため、これでは本当に必要最低限だ。
それでも、今年の栽培を安定してできるようになれば、十分な収穫を無肥料・無農薬で得ることができる展望が見えた一年だった。
ポイント1 畑の土で育苗
寒さに弱いトマトは育苗が必須になる作物だ。今回は育苗土を購入せずに、トマトを栽培する場所の土をそのまま育苗土に使用した。その方が苗作りの環境と定植後の環境が同じになり、健康に育つと考えたからだ。しかも、外部からの土を持ってくることなく、自分の身の周りで循環する、サステナブルな栽培だ。
種まきは3月26日に行った。加温器がないのでポケット芽出しをして、根が数mm出てからポットへ植えた。約1ヶ月で7.5cmポットから10.5cmポットへ鉢上げした。
その後、さらに約1か月後の5月25日に定植した。定植時は本葉7,8枚でがっちりとした良い苗に仕上がった。同じ日に種まきしたものでも、二ヶ月の育苗期間を経て生育に大きな差が出たものもあった。大きく順調に育った苗と、あまり良くなかった苗は畝を分けて植えた。
結果としては、やはり苗の段階で生育の良い株はその後の生育も良かった。本葉7枚、がっちり育った苗を植えた畝は全体的に生育が良かった。
今の育苗技術では全ての苗を均一に育てることが出来ない。来年は必要な量よりも少し多めに作って、良い物を選抜しようかと考えている。
ポイント2 垂直仕立て栽培の成功例
今年のテーマとして、垂直仕立て栽培でどのように成長するかを観察していた。
株によって差があったものの、上手く育ったものはぐんぐん成長した。無肥料・無農薬でもここまで育つのかと思ったほどだ。他の野菜についてもまとめてあるのでこちらの記事を参照。
まず、実割れが少なかった。露地でミニトマトを作ると、とにかく割れが問題になる。しかし、垂直仕立て栽培のミニトマトは皮が薄く、実割れが起こらなかった。他の株のトマトが軒並み割れてしまう雨の後でも、一つも割れずに実っている事もあった。
一本の枝に7段目まで花が咲き、収穫することが出来た。その先の生長点も花芽がついていた。ミニトマト専業農家からすれば大したことはないのだろうが、無肥料でも実付きが良いのは垂直仕立て栽培の力が発揮されたからだろう。垂直仕立て栽培では基本的に芽かきをしないため、総花房数でいえば、20個くらいの花房がついたはずだ。
さらに特筆すべきはその味だ。皮が薄いから食感が良いのはもちろんのこと、甘みがしっかりとしていた。他の垂直仕立てにしていない株と食べ比べればすぐに違いがわかる。
ポイント3 自家採種でさらに優良品種に
今年栽培したのは元々F1種の自家採種1代目の種。F1の自家採種したものは性質がばらけるので、今年のトマトもかなりばらついていた。たまたまうまくいった株があったため、それを親にして自家採種を重ねた。
F1種を自家採種すると、大体4,5年繰り返していると、固定化されてきて新しい品種として別物になると言われている。1代限りの品種がその土地の風土、栽培方法に合った品種へと変わっていくのは生命の本来の移り変わりではないかと思っている。
垂直仕立てではなく、放任(脇芽をとらず、伸ばし放題)にした株で良く育ったものからも採種した。来年は垂直仕立て系統と放任仕立て系統の比較も行っていきたい。今のところ、垂直仕立ての方が栽培管理も楽で気に入っているが、放任栽培もトマト本来の姿を活かした栽培法なので上手く育ってくれる可能性がある。
品種について
最近のトレンドなのか、主に直売所でカラフルトマトが流行っているような気がする(Google検索するとたくさんの検索結果がでる)。一つのパッケージに赤、黄、橙、緑、黒など様々な色のトマトが入っていて、見た目はとても華やかだ。パッケージが豪華なこともあり、価格も少々高めに設定されていることが多い。
地元の直売所で試しに買ってみたことがある。このような見た目から入る商品は味がよくないと、一回限りの購入になってしまうと思っていた。特に赤以外のトマトは味が劣るということをよく耳にするのでカラフルトマトはどうなのか気になっていた。
結論から言うと、やはり赤色以外のトマトは味がどうしてもぼやけてしまうと思う。甘みが強いわけでもなく、癖があるわけでもなく、水っぽい感じがした。品種が正確にはわからないし、栽培法にもよるのかもしれない。
そこで来年は通常の赤色のミニトマト以外にも、複数品種のトマトを栽培してみたいと思う。
無肥料栽培に適した品種は在来種や固定種に多い傾向にあるが、多くのカラフルトマトは様々な地域で在来種として引き継がれてきた品種である事も多い。古い品種は少肥料下でも良く育つことがあるので色々試してみたい。
味がよくない懸念もあるが、垂直仕立て栽培で食味が改善することに期待している。今年栽培したミニトマトは垂直仕立て栽培で生育の良かった株に関しては抜群においしかった。垂直仕立て栽培が上手くいくと、植物の代謝も活発になり、食味も向上するからだと言われている。
またトマトソースやケチャップなどの加熱加工に適した調理用トマトも自給と販売の幅を広げるために栽培してみたいと思っている。特にトマトソースは瓶詰にしておけば半年は日持ちするだろうし、自給するうえでは欠かせない食材だと思っている。