在来種の信州地大根を播きました

 野菜にはそれぞれの地域で古くから栽培されてきた「在来種」と呼ばれる品種があります。よく野菜の品種にはF1(交配種)と固定種の二つがあるとされますが、在来種はどちらの場合もあります。とにかくその土地に根付いた野菜です。

 今回は信州の在来種であり、固定種でもある大根の「信州地大根」を播いてみました。なんともそのままのネーミングですが、インパクトはありますよね。

 古くからここ信州で栽培されてきた大根ですので、私たちの住む御代田町の風土にもあっているはずです。今から播くと、収穫は10月半ば。とっくに夏は過ぎ去り、朝晩は冷え込んでくる季節です。寒さにあたりながらじっくりと育ち、滋養深い味の大根になると思います。
信州地大根の収穫。種採りにも挑戦

 種まきはタイミングがとても大事です。一般的に種の発芽には次の三つがそろわないといけません(発芽の三条件)。

 ①水分 ②酸素 ③温度

 これがそろわないと発芽がそろわなかったり、そもそも発芽してこないといったことが起こります。野菜それぞれに発芽に必要な日数が大体決まっており、それを過ぎても発芽しない場合、たいていこの三条件のどれかを満たしていません。

 温度は播き時に気をつければ特に問題ありません(トマトなど育苗する必要のある野菜は播き時が寒い時期であることが多いです)。酸素はなかなかコントロールしづらく、目で見てもわかりません。基本的には均一に耕された土に普通に播けば大丈夫です。播いたところを強く踏みつけたり、猛烈な雨にたたかれると酸欠になってしまうこともあります。

 水分は一番大切です。生き物である以上水は必ず必要です。野菜によって、要求する水分量も異なります。大豆などの豆類は大きいため水分を多めに欲しますが、多湿にしすぎると発芽の前に腐ってしまいます。

 今は夏真っ盛り。常に強い日差しが降り注ぎ、土はすぐに乾いてしまいます。こうなると、ちょっと種まきには都合がよくありません。雨が降る前に種まきすればある程度水やりの手間が省けますが、雨は降らないときはほんとに降りません。

 そこで今回は土の水分確保のためにひとつ策を打ってみました。

 土を裸のままにしておくと、すぐに乾燥してしまいます。そこで土の上に干草を細かくして敷いてみました。こうすることで露出した土がなくなり、乾燥を防げるはずです。さらに雨が降って、種の上にかかっている土が流されてしまう心配も減ります。地面には刈ってそのままにしてある草がたくさんあるので、資材の確保、コストにも困りません。

 実際にやってみるとこのようになりました。

 種まき直後に水やりをして、それから雨や水やりをすることなくしっかり発芽しました。発芽率も90%以上とかなりよかったです。

 ひとつ欠点を挙げるとすれば、発芽した芽が覆っている干草の中で徒長気味になってしまうことがあることです。これは発芽しそうなタイミングであらかじめ被覆をはずしてしまえば問題ありません。

 無事発芽した信州地大根。ぐんぐん成長していて、今日はもう本葉が展開していました。おいしく育ってくれるとうれしいです!

 そして、この大根は固定種なので自家採種にも挑戦したいと思っています。自家採種と固定種についてはまた詳しくまとめた記事を書こうと思っています。→F1と固定種と自家採種への挑戦

夏本番! 次々と収穫できています。

 梅雨が明け、本格的に夏がやってきましたね。突然暑くなり、疲れからかなかなかブログに意識が向いていませんでしたが、少し暑さにも慣れてきて、余裕が出てきました。

 最後に更新した日から約2週間がたちました。その間、鹿の襲来、ズッキーニの病気、来年の野菜作りの準備、収穫物の販売などたくさんのことがありました。中でも一番はミニトマトが採れ始めれ、今年の野菜作りの一大イベントが始まった感じがします。

 梅雨の時期に病気がちだったミニトマトですが、晴れが続き、乾燥した気候になり少し元気を取り戻しました。今では背丈が2m近くになり、見上げるほどです。花もたくさん咲いており、一ヵ月後の収穫が待ち遠しいところです。

200807 赤い! 収穫

200807 ロッソ大きくなった

 ズッキーニは時期をずらして複数回播き、長く収穫するつもりでしたが、雨の影響で根がダメージを受け、成長が止まってしまいました。今年は緑色のスタンダードな「ゼルダ・ネロ」と変り種のUFO型「サンバースト」を栽培しています。ゼルダネロの方は、雨による根ぐされやアブラムシの媒介するモザイク病でかなり株がやられました。一方サンバーストは非常に強く、草勢も旺盛で実つきも順調です。

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 暑さに強いオクラも梅雨の終わりを待ち望んでいたように。梅雨明けした直後に花を咲かせました。これからどんどん採れてくるはずです。

 空芯菜は多湿に強く、梅雨の間でもびくともしませんでした。柔らかい茎を収穫するとわき芽が育ってどんどん採れます。高温のフライパンでさっと焼き付けるとしゃきっとした食感が残っておいしくいただけます。

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 この時期は雑草の伸びるスピードが速まり、草取りに追われます。今年は春先から梅雨にかけて刈った草を敷いておくことを繰り返しました。その結果裸の地面がなくなり、新しく雑草が芽吹くことがなくなりました。また強烈な日差しにさらされ過乾燥になるのも防げています。この方法には手ごたえを感じています。

 収穫期を迎え、豊かな実りに感謝です。その一方で冬や来年のための準備も進んでいます。その様子もお伝えできたらと思います。

落ち葉堆肥作り/実験編③

 前回切り返しをしてから1ヵ月が経ちました。そろそろ二回目の切り返し! ということでやってきました。

 前回はスコップ一本で枠から出しましたが、今回は新たにトロ舟(大きなタライ)を使うことにしました。これにいっぱいつめて、舟ごと外に出すことで少しは楽になるはずです。

 いざ作業開始。順調に外に落ち葉(だったもの)を出していきます。1ヵ月前よりさらに風化・分解され、土に近づいてきています。よーく見てみると、ミミズをはじめ小さな虫たちがたくさんうごめいていました。多種多様な生き物たちが落ち葉を食べて、堆肥にしてくれているのがわかります。

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 時間にして前回の半分の20分ほどで、全ての落ち葉を出すことができました。これを混ぜ合わせて、再度詰め直します。あっという間にできてしまいました。

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 この調子で分解が進めば、10月終わりの畑作りの時期には間に合うと思います。一方でこの方法だと、もっと広い畑になったときに必要な分を作るのが難しいとも感じています。もっと、手間をかけずに、具体的には機械を使って堆肥作りをできるように考えていきたいです。

ズッキーニ初収穫!

 今シーズン初のズッキーニを収穫しました。雨続き&雌花しか咲いていませんでしたが、人工授粉することでしっかりと収穫できる大きさになりました。ぴかぴかで美味しそう!

 最初の植え付けが遅かったので、収穫開始も遅れてしまいました。でも今年の梅雨は例年にない長雨となり、ハチによる受粉がうまくいかない期間が長かったので、全体的に遅れてよかったのかもしれません。

 ズッキーニはしばらく前から一般的になってきたイタリア野菜ですね。今はスーパーに行けば長い期間、売られています。

 食べ方もいろいろありますね。
 オリーブオイルで焼き付けて、塩と胡椒で食べるもよし、ベーコンもあるとなお良し。BBQの野菜にも良いですね。ちょっとおしゃれにいくと、ラタトゥイユにズッキーニは欠かせません。昨年、試した中で以外にもおいしかったのが漬物です。ズッキーニを生で食べることはあまりないかもしれませんが、浅漬けの元につけるととても美味しい。ピクルスにもぴったりですね。

 今日は早速ベーコンと炒めて、塩と少しの醤油でシンプルにいただきました。新鮮でとても美味しかったです。

 こう並べてみると、ズッキーニはいろんな場面で使える万能野菜ですね。

 

 今年はスタンダードな緑色のものと、ちょっと変り種のUFO型のズッキーニも育てています。UFO型はまだまだ時間がかかりそうです。もう実はつき始めていて、すごく可愛い形をしています。

 今後も日を開けて順次種まきしていきます。毎日新鮮な野菜が食べられるので、楽しみです!

ルタバガを収穫しました

 雨の合間を縫って、ルタバガを収穫してみました……そもそも皆さん、ルタバガってご存知でしょうか?

 以前、種まきをしたときに簡単にご紹介しました。

 ルタバガとは、西洋カブ、スウェーデンカブとも呼ばれるアブラナ科の野菜で、カブの仲間です。スウェーデンなどの北欧ではカブといったら、このルタバガがイメージされるようです。日本にも明治時代に入ってきましたが、一般的な白いカブとは似つかない味で、あまり好まれませんでした。

 ですが、私的には昨年偶然出会って、ポタージュにしたところ、すごく美味しくて気に入ってしまいました。実は、今年作付けした野菜の中でもトップクラスに期待していた野菜です。

 写真のルタバガは種を播いてから二ヶ月ほどたっています。大きさは握りこぶしほどで200gあります。

 今回は柔らかく煮て、マッシュにしてみることにしました。原産地である北欧スウェーデンでは、ルタバガをジャガイモと一緒にマッシュにして食べるのが一般的なようです。皮をパリッと焼き付けたチキンステーキの付け合せにいただきました。

 期待のお味はというと、実は最初ほどの感動的な味ではなかったです。それでも、カブとも違う、ジャガイモとも大根とも違う、ほのかに甘みのあるやさしい味でした。

 何でかなぁと思っていたのですが、ちょっと思い当たることがありました。

 実はこのルタバガという野菜、非常に耐寒性に優れます。最低で-15℃の寒さにも耐え、あまり株が育っていなければ十分越冬できます。さらに貯蔵性も高く、北欧諸国では厳冬期の貴重な野菜として重宝されてきました。

 一般的に野菜は氷点下に近い寒さにあたると甘みが増します。これは水分が凍らないように、糖分を溜め込むからです(不純物(=糖分)が多い水は0℃以下でも凍らなくなる。これを化学では凝固点降下といいます)。

 昨年食べたルタバガは冬の直売所で買ったものでした。おそらく冬の寒さにあたって、甘さが増したものを食べたのだと思います。今の季節は夏なので、まだ甘さが乗っていなかったからあまり美味しく食べられなかったのではないかと思っています。

 また、今回のルタバガにはアクというか、えぐみがありました。最初にしっかり湯でこぼすなどのした処理をすればさらに美味しくなりそうです。

 まだまだルタバガはこれからも播けます。真冬に収穫を迎えられるよう日にちをあわせて、再挑戦したいと思います。貯蔵性も高いので、美味しい冬の時期にたくさん作って保存しておくのも良さそうです。

 当たり前ですが、野菜には一番美味しくなる旬の時期があって、そこをはずすと味が落ちるということを身をもって実感できた一日でした。