【自然農】おいしい里芋を収穫するための土寄せのやり方【不耕起】

梅雨が明けるころに土寄せをする

 里芋は植え付けた種イモの上に子芋、孫芋ができる。収穫するのはこの子芋、孫芋になるのだが、栽培期間中に地表に出てきてしまう。太陽に当たり、芽を伸ばした子芋、孫芋は細長くなり、味が著しく落ちる。その為、子芋孫芋を土に埋める、さらに芋を太らせるスペースを作るために土寄せをする必要がある。

 里芋の土寄せは、二回くらいに分けて段階的にするのが良い。一度にやってしまうと、葉っぱが出てくる分岐点を埋めてしまうことがある。除草作業も兼ねて、梅雨時期と梅雨が明けた頃の二回、土寄せを行う。
 今年は6月中に梅雨が明けたが、例年なら8月頭に梅雨明けし、乾燥期になるため、8月にも土寄せをした。

 目安は20~30cmほど株元に盛り上げればよい。小山が出来るくらい、土を盛ることになるため、結構な重労働だ。この作業をしないと、美味しい里芋ができないばかりか、そもそもの収穫量も減ってしまうため、頑張りどころだ。

 私たちの里芋は4月25日にポットで芽出し、5月25日に植え付けた。現在の様子は写真の通りで、かなり株に勢いがある。6月半ば、梅雨の晴れ間に一回目の土寄せをした。

220627 草整理した里芋
6月27日の里芋の様子 一回目の土寄せした
220806 草刈り前の里芋
8月6日の里芋の様子

不耕起、しかも粘土質の圃場での土寄せ

 通常栽培であれば、草を生やさない様に管理してあるだろうから鍬で簡単に土寄せできる。土寄せの時期までは保温と雑草対策を兼ねてマルチシートを使用する方法もあるらしく、それなら更に簡単だろう。

 私たちはなるべく、石油資源を使わず、自分たちの身の回りで循環する野菜作りをしている。肥料・農薬を使わず、耕耘機で耕すこともしていない。
 不耕起でも野菜がちゃんと育つ事を確かめたくて、実践中だ。そして、実際に野菜が良く育っている事実を目の前で見ることが出来ている。里芋も、周りの畑よりも大きく育っているように見える。

 里芋栽培では土寄せが必ずといってよいほど必要だ。不耕起栽培だと、非常に相性が悪い作業だ。なるべく土を動かさないという考えと真っ向から相反する。今回は「耕さない」ということにとらわれずにしっかりと土寄せをする方法を考えた。

草を刈り、表土をむき出しにする

 まずは草刈りから始めた。こまめに草刈りをしているはいえ、結構大きな草が目立っている。ここまで里芋が大きくなれば、もう草に負けることは無いと思うが、せっかくなのでしっかりと刈り取った。今思えば、南側15cmくらいに生えている草は残しておき、日差しを遮るネット代わりにしてもよかった。

220806 草刈り後の里芋
表土が見えるくらい、草を削った

 今回は株から40~50cm脇にそれた通路の土を掘りあげ土寄せに使うため、通路部分までしっかりと草を削った。青草が混ざると、ガスが湧き生育に悪影響があるかもしれないので丁寧に。この作業が一番時間が掛かった。立鎌や草刈機を活用して時間短縮できれば、もう少し規模が大きくなっても対応できるはずだ。

土を剣先スコップで掘り上げる

 次に剣先スコップで通路部分の土を掘りあげた。やり方は「不耕起畑での畝の立て方」で紹介しているような方法で、まず切り込みを入れてから掘りあげる。

 作業自体は畝立てで慣れているため、簡単だった。
 ここの圃場は元田んぼで水はけが悪く、塊になっている。本来であれば、数日日光にさらして半乾燥くらいにすれば作業性が良かったかもしれない。今回は天気が読めないことから一日で済ませてしまった。

 あとは手でほぐしながら株元に盛り上げた。同じ一本の畝でも場所によって土の水分量がかなり違っていた。この圃場は北、東側になれば水はけが悪く、南、西側はすぐに水がはけ乾燥気味だ。
 里芋は水分を多く好むため、一番北側に東西方法に植えてある。大体中心を境に成長が比較的良い方、悪い方がある。基本的に水はけの悪い東側の株が大きかったため、やはり里芋は水はけが悪い方が育ちが良いのだと思っていた。

220806 土寄せ後後の里芋
20cm以上、土を盛りあげた

 しかし、実際に土寄せの際に触っていると、生長が良い株ほど土が乾き気味だった。東側は掌でこすり合わせればボロボロと崩れ、コロコロの土だったのに対し、育ちの悪い西側は塊が二つにパカッと割れるほど水気があった。

 本来だったら東側の方が水はけが悪いはずなのに、何故水はけが改善していたのか。これについては思い当たる節があるため、また記事にしたいと思う。そして、里芋はある程度の水はけも良く、保水力が高い土を好むと言うことがわかった。

厚めに刈り草で被覆する

 土寄せが出来たら、刈り草で表土が見えないように被覆する。これまで敷いてあった草では足りないので畔を刈った時の草も集めて来た。

 里芋は乾燥を嫌う。これからの時期、雨が減り、日差しが強く照り付ける。水分がしっかりと保たれていれば里芋はぐんぐん成長していく。毎日水やりをするのは大変なので、降った雨の水分を効果的に保持するために厚く草で被覆する。

220806 草で被覆したの里芋
刈り草で10cm以上被覆した

 草の保湿効果は高く、10cmも敷いてあれば、2週間雨が降らなくても大丈夫だろう。ここの土は粘土質で乾燥するとカチカチに固まってしまう。刈り草で被覆すると、土をふかふかにしてくれる効果もある。

 そして草は土壌生物のエサになり、次の世代の栄養に変わる。草は雑草扱いされ、邪魔者扱いされる。でも、同じ植物として、土の養分や光合成したエネルギーを蓄えている。これを畑から取り除かずに土に還していくことで肥料を与えなくても野菜が育つ循環を作り出すことができるはずだ。

 そう思いながら、しっかりと草で被覆した。

不耕起栽培の欠点は作業性の悪さ

 ここまでくれば里芋は10月の収穫を待つばかりだ。無肥料、無農薬、不耕起で育った里芋の味が楽しみだ。

 不耕起栽培の最大のデメリットは作業性、効率性が悪いことだ。草を生やす草生栽培だと更に作業性が落ちる。草生・不耕起のダブルパンチだ。今回の作業も、十数株の里芋に対して2時間ほどかかった。今年は良いけれど、もう少し多めに作るとしたらやり方を考えないといけない。
 環境を負荷を与えない、資源に依存しない農業をするためには多少の非効率には目をつぶらないといけないことを実感した一日だった。でも、その非効率さを気楽に受け入れられるような、ゆとりのある暮らしをしていきたいとも思った。

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