来年の準備/緑肥と混作と不耕起

真夏に来夏のための準備!

 まだ真夏真っ盛りだった8月半ば。早くも来年の土つくりを始めました。畑仕事は常に先を見越して、できることはできる時にやっておくのがとても重要です(それがなかなか難しいのですが。)。土つくりは野菜つくりにおいて、最も重要で影響力の強い作業です。

 野菜は土で決まると、よく言われます。よい土を作ることが健康でおいしい野菜を育てるのには不可欠です。

 この「よい土」という言葉も非常に曖昧で、何をもってしていい土なのかということは人によって解釈が違います。私は、植物にとって必要な栄養素(俗に言うNPK、さらに微量元素)がしっかり入っていることがよい土だとは考えていません。化学的に栄養満点なだけでは不十分だと思います。

 では、どんな土が理想なのか。それは「生物多様性に富む」土だと思います。目に見えるミミズやその土壌生物や目に見えない微生物(これがとくに重要!)がいっぱいの土。これが大事だと思っています。地力がある、土壌肥沃度が高い土というのも、生物多様性がある土のことで肥料分がいっぱい入っている土ではないのではないでしょうか。これについてはいろいろな説がありますし、人によって本当にいろんな考えがありますので、ここではこれくらいにしておきます。

 

菌ちゃんファーム式! 土つくりの方法

さて、ここから実際にやった作業についてご紹介します。今回は菌ちゃんファームの代表、吉田俊道さんのブログで紹介されていた、「草を仕込む」方法を参考にしてみました。吉田さんは微生物が野菜つくりに重要だと考え、微生物を増やし、その力を最大限に利用する農業をされています。詳しくは掲載元の記事をごらんいただきたいのですが、簡単に説明します。参考にした記事はこちら→「今仕込めば、草だけで菌ちゃん夏野菜が育つ?その1」https://kinchangenki.hatenablog.com/entry/2019/11/30/150101

 この土つくりは、雑草には微生物のえさとなる炭水化物や、自分で吸い上げた窒素などの栄養素が含まれており、これを土に還すことで豊かな土を作ろう、という趣旨のものです。畝となる場所を少し掘り下げ、そこに雑草をたっぷりいれます。その上から土をかぶせ、分解を促します。来年の植え付けまでには、土になじんでいるはずです。吉田さんは春先に仕込めば、二ヶ月で植えつけられるようになるとおっしゃっています。

 この方法を参考に、畝となる場所を決め、草をたくさん仕込みました。

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 このままだと、土が裸のままで夏の強烈な日差しや秋の大雨に打たれて土が固くしまってしまうため、あまりよくありません。本来は土をかぶせたらさらにポリマルチをかぶせ、雨や乾燥をシャットアウトし土壌水分を適度に保てるようにします。

さらに緑肥栽培で地力アップ!

 しかし、この場所は春にスナップエンドウを植えつけていた場所で、マルチの保温効果で雑草の種が死滅したせいかほとんど草が生えてきませんでした。これではシーズンを通しての有機物供給が少ないと思ったので、緑肥も栽培することにしました。

 緑肥栽培は年一作が基本の麦や大豆の間作として栽培し、枯れる前に葉が青いままそのまま土に混ぜ込むことで、じっくり土の中で堆肥化させることができます。その結果、排水性向上、地力向上などのよい効果が期待できます。作付けが終わった圃場の土をできるだけ裸にしないためにも栽培されます。

 今回は秋播きなので、低温でも成長し、早生のライ麦と窒素固定と被覆効果を期待してクリムゾンクローバーをミックスして播きました。緑肥作物も単体だと土壌微生物が単純化してしまいそうなので、二種類のミックスかつ一緒に生えてくる雑草もできる限り生やしておきます。

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 そんなこんなで作業した場所は草がいい感じに生い茂っています。少し、雨にたたかれて表面は固いですが、ちょっとほぐすと柔らな土に仕上がってきています。来シーズンはここでトマトを栽培する予定なので楽しみです。トマトは土がしっかりできていないと栽培が難しい作物ですからね。

 この土つくり、土壌に関する話題は深く掘り下げると長くなってしまいます。雨風による土壌の侵食や、連作による地力の低下、過剰な肥料投入、土壌生物の働きなど、日々いろいろな知識を溜め込んでいきたいです。そして、それを畑で実際に検証していきたいです。

夏野菜跡地の準備はもう少し後で…

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まだ夏野菜が植わっているエリアは土つくりができません。ズッキーニやミニトマト、オクラの畝は9月いっぱいは収穫できます。ですので、その後に土つくりをすることになります。その時期になると雑草もあまり生えていなくて、この方法は難しくなります。

 そこで去年の冬から作っていた落ち葉堆肥を活用します。この落ち葉堆肥、夏を経てかなりいい感じに堆肥化してきました。その様子もまたご紹介します!

たまねぎの栽培準備

 普段からお世話になっている方のご好意で使っていない畑を使わせてもらえることになりました。今年使わせていただいている畑だけでは、作りたいものが多すぎて作りきれていないので、すごく嬉しいご提案で助かりました。

 この畑では、たまねぎとにんにくをこの秋から作ってみようと思います。私たちの食生活ではどちらも消費量の多い野菜なので、作ってみようと思ったわけです。(たまねぎは毎回一度に10kg買ってきています笑)

 夏の間雑草が伸び放題だったようで、一度二度ほど草刈機で草刈をしただけの様子。一度起こすことも考えましたが、どうせなら完全不耕起で栽培してみようと思います。

 とりあえず市販のたまねぎの種一袋分でやってみようと思い、ざっと畝を立ててみました。マルチには銀ネズの9515(巾95cm、15cm間隔で穴があいている)マルチを使用しました。土がふかふかで作業しやすい。そして、表層に近いところでミミズを何匹も目撃。結構いい土になっていると期待できます。

 その横に育苗用の小さい畝を立てました。ここに種を播いて、育苗してから先ほどの本畝に植え付けします。

 ここまでが先々週あたりまでの話。

 さて、このあたりだと10月中旬~下旬にたまねぎの苗を植えつけるのが良いようです。たまねぎ栽培の肝は植えつける苗の大きさ。大きすぎたり小さすぎたりすると、春先にトウ立ち(花が咲くこと)や生育不良になってよいたまねぎが採れなくなります。

 大体育苗は55~60日ほどかけ、鉛筆の太さほどの苗を作るのが理想的。なので植え付け予定日から種まきの日を逆算し、8月20日頃に種まきを予定していました。

 しかし、ちょうどその頃は梅雨明けから雨がまったく降らずしかも最高気温も35度付近の日が続き、種まきには良くない日が続いていました。今年は例年にない異常気象ということもあり、種まきが早すぎて残暑のせいで苗が育ちすぎてもいやだなということもあり、どうしようかと迷っていました。

 すると、先日の記事に書いたように猛烈な大雨が降りました。畑的にはダメージのほうが大きかったのですが、種まき的にはありがたい雨でした。数日待って土の水分がだいぶ馴染んだので、8月25日に種まきをしてきました。ちょうど暑さも収まり、30度前後の日が続き、週間予報も雨マークがところどころあったので、ベストだったと思います。

 棒で播きすじを作り、深さを一定にします。そこに種同士が重ならないようにパラパラと播いていきます。これは間引きの手間を少なくするためと種の節約のためです。品種は中晩生(梅雨入り前、6月頃に採れる)の「泉州黄たまねぎ」にしました。

 ここまで問題なく進んでいたかのように思えたのですが、なんと種が二割ほど余りました。育苗用の畝が小さすぎたようです。これは来年に生かそうと思います。たまねぎは芽が少なかったからといって、追加で種まきしても難しいです。苗の大きさがそろっていないと、来春の生育に大きな影響があるからです。試しに本畝の穴数を数えてみたところ240個(一玉300gとしても72kg!!)だったので、おそらく足りると思います。

 軽く鎮圧して、最後に不織布をべたっとかけて水やりをして終了。たまねぎも薄めに播くのですが、雨で表層の土が流れてしまうと困るので保湿と雨よけのためにこのような資材を活用します。

 初めてのたまねぎ栽培でわからないことが多かったのですが、何とか種は播けました。無事発芽するといいなぁ。

晴天一転、猛烈な雨

 ここ半月ほどまとまった雨が降っておらず、雨予報があっても、結局降らずじまいという日々が続いていましたが昨日はしっかりと降りました。十分すぎるほどに。

 直前の雨雲レーダーを見て、降らなそうだと判断して水やりをした直後、猛烈な雨が降ってきました。車に乗っていたのですが、ワイパーを全速力で動かしても前が見にくらいで、体感で50mm/hくらいの雨量はありました。

 翌日畑に行くと、見るも無残な野菜たちの姿が広がっていました。どうやら、雹も降っていたようでトマトやズッキーニ、オクラを中心に葉っぱがずたずたになっていました。周りのレタス農家さんの話では、レタスは半分くらい廃棄になりそうだということでした。

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 さながら台風並みの豪雨だったようで、風を受けて、ゴマが大きく傾いていました。

 ゴマは今年の野菜の中でもかなり簡単で、上手に育ってくれたのでもう収穫してしまうことにしました。まだ少し青いので一度ネットに入れて、乾燥させてからゴマを採ることにします。

 ついでに枯れ始めていたコリアンダーもネットに入れて乾燥させています。

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 幸い、心配していた人参はほとんど被害がなく、むしろしっかり雨をもらったことでさらに発芽していました。写真は撮り忘れてしまったのですが、かなり発芽していました。これからしっかり間引きをしていきます。

 かなり乾燥状態が続き、何とか耐えていた野菜たち。被害はあったものの、恵みの雨をもらいこれからどんどん育ってくれることを期待して、もう少しがんばっていこうと思います。これから台風シーズンなので風対策も少し考えていこうと思います・

夏播き人参/発芽が高難易度

 夏真っ盛りの御代田町ですが、朝晩は少し寒いくらいです。雑草の伸びるスピードもだいぶ落ち、もう秋の足音が迫ってきています。

 この時期になると、収穫以外の畑仕事は秋冬野菜の準備になります。今回は普段の食事でも相乗頻度の高い人参の種まきをしました。発芽が特に難しいといわれる人参ですが、ある一手間を加えることで、発芽率を少しでも高めようとしてみました。

 そもそもなぜ人参が発芽しにくいかというと、理由はいくつかあります。

 まず人参の種が水分を吸収しづらいという点。そして、雨が少ない真夏に播種するため土が乾きやすい点。さらに追い討ちをかけるのが、人参は発芽に光を必要とする好光性種子だということ。これはかぶせる土を薄くしないといけないが、そうすると土が乾きやすくなるので発芽に必要な水分を維持しづらくなるのです。

 とまぁ、ほっといてもちょっと土が湿っていれば発芽するズッキーニと違って、人参はとても手間がかかるのです。しかも、しかも、発芽までの日数も長く7~10日ほどかかるので、それまで土が乾かないようにするのが難しいのです。

 ですが、難しいことばかりではありません。人参は発芽に成功すれば半分以上、栽培に成功したようなものだといわれることがあります。発芽さえすれば、雑草に負けないように草取りだけしてあげれば、比較的楽に収穫までたどり着けます。

 今回はそんな人参の発芽を手助けする資材として籾殻を使ってみました。コイン精米所が近くにあればいくらでもただで手に入る、けどさまざまな使い道がある有用資材です。

 まずは普通に人参の種をまきます。選んだ人参はこちら、「黒田五寸」です。比較的初心者でも作りやすいと紹介されていたのでこれを選んでみました。しっかりと叩いて畝を鎮圧し、棒を使って均一の深さでまき溝をつけます。こうすることで、かぶせる土の厚みを一定にでき、発芽がそろいやすくなります。

 そして、ここで籾殻の登場。土を薄くかけた上から、ぱらぱらを薄く、でもしっかりと地面を覆うように籾殻をまきます。こうすることで、土の水分を蒸発させにくくさせ、雨や水やりで表面の土が流れないようにカバーする効果が期待できます。

 そして、水やりをすること1週間。人参が発芽してきました。今は1/3ほどが出てきて、この後数日でもう少しそろいそうです。小さな芽がとてもかわいい。なかなか発芽の兆しが見えず、心配でしたが安心しました。

 ここまでが今日の夕方までの様子。その後、天気予報どおり、雨が降ってきました。実に20日ぶりの雨です。あれよあれよと、土砂降りになってしまいました。車のワイパーも最高速度で動かさないと前がみえないくらいでした。

 確かに雨が降ってほしかったけど、ちょっと強すぎる! からからに渇いた畑で何とか生きている野菜たちには恵みの雨ですが、発芽し始めた人参には厳しい洗礼です。この雨で土が流れてしまっていないことを祈ります。

 明日の畑の様子が心配ですが、久しぶりに涼しい夜を過ごせそうです。

オクラ初収穫! 1株8本の密植栽培

 オクラって何であんなに美味しいのでしょうか。サッと茹でて、マヨネーズをつけて食べたら最高。BBQで少し焦がし気味に焼いても美味しい。あのねばねばが体に良いらしく、夏を代表する野菜のひとつです。

 ただスーパーで買うと、ちょっと割高感があって、たくさんは食べられない。そこで自分たちで作れば食べ放題じゃない! ということでオクラも栽培していました。

 品種はタキイのエメラルド。沖縄在来の島オクラのような丸オクラで、柔らかく、15cmほどの大物になっても美味しくいただけます。

1株8粒播き!? 超過密栽培。

 このオクラ。農薬などを使わなくても、比較的栽培が簡単な野菜のようです。有機農法でもっとも作りやすい野菜として紹介されているのも見たことがあります。

 移植を嫌うかつ高温を好むということで、地温を確保できる6月に入ってから直播しました。オクラの栽培について書かれた本に、1株に8粒まき、間引かずに全部育てる、とあったのでやってみることにしました。

 間引かなくてもしっかり全部育つようです。当然本数が増えるので、収量も作業効率も上がります。ただし、種代が8倍になるので注意が必要ですね。

200615 発芽した

 発芽したオクラの写真です。小さな毛がびっしり生えていますね。思ったよりもミッチリ生えてきて、大丈夫かと心配になりました。

アブラムシの害。予想外の長梅雨。地温が上がらない!

 それから順調に成長していたオクラ。

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 押し合いへし合い、上へ上へと競うように成長していきます。しかし、高さが15cmくらいになったところで、アブラムシが目立つようになりました。最初は古い葉っぱばかりだったのですが、除々にあたしい葉にも見られるようになります。

 時期を同じくして、梅雨に入りました。連日大雨続きで最高気温20度前後の日が続きます。オクラはアフリカ原産の野菜。暑さが大好きなので、成長が少し鈍っていました。

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 これは7月12日のオクラの様子です。この株は成長の良いもので、いくつかは葉が枯れ始め、雨の影響で根が傷んだのか背丈がばらついてきました。

梅雨明け! オクラの本領発揮!

 そんなこんなで無事梅雨明けを迎えました。この時点でまだオクラは花を咲かせていませんでした。しかし、気温が上がり30℃を超えだしたとたん、花が咲き始めました。植物の環境を認知する能力はすばらしいですね。

200814 きれいな花

 オクラの花は大ぶりでとても見た目も良いんです。しかも鞘になる前に花のまま酢漬けにしても美味しくいただけるそう。今度やってみようと思います。

 花が咲くとそこから収穫まではあっという間です。あれよあれよと大きくなり、3日ほどで収穫サイズとなります。

 途中病気にやられて成長が止まった樹もあり、成長が追いついていないものを間引いて、結局1株4本ほどに落ち着きました。そこまで病気に強い品種ではなかったのですが、それでも大部分が残ってくれました。

きれいなオクラがいっぱい

 きれいに並んだオクラたち。これが一日で収穫できたオクラです。

2008 オクラの収穫

 やわらかくて、味もとても美味しいです。オクラ特有の甘みがあって、鮮度も良いので正直スーパーのオクラよりもはるかに美味しいです。

 少し曲がってまっすぐにならないのは、重力に引っ張られたり、葉っぱをよけようとしているからなのでしょうか。あ、ちなみにオクラは花が咲いたあとから空に向かって一直線に実を伸ばします。

 毎日新たな花が咲いています。これから暑さが落ち着く9月中ごろまで毎日のように採れると思います。それまではオクラライフを楽しみます。