秋に野菜を育てるのをおすすめする理由!

秋は野菜が育てやすい!

 ここ2週間ほどで一気に秋らしくなりました。私たちの畑でも残る夏野菜はミニトマト、ズッキーニくらいで、代わりに秋冬野菜や春野菜の準備が始まっています。

 無事栽培予定の野菜たちが発芽してきて、順調なスタートとなりました。今年の天気は例年通りが通用せず、栽培暦もあてになりませんが、天気予報を見つつできるだけ適期に種まきできるようにしました。

 栽培するのは人参、大根(通常種と紅心)、ルタバガ、チンゲンサイ、ビーツ、にんにく、たまねぎなどです。どれも高温を苦手とし、寒さに強い野菜が多いですね。

 秋は春や夏に比べて、野菜が作りやすいです。それだけでなく、秋から育てた方がおいしくなる野菜もあります。それにはいくつか理由がありますので下のほうへ読み進めてみてください!

①雑草が伸びにくくなる

 まず一つ目はこれ、雑草ですね。春先から夏にかけて、雑草はぐんぐん伸びます。野菜よりも早く伸びて、どっちを育ててるのかわからない状態になることも多々ありますよね。週に1,2回しかお世話できない家庭菜園などではあっという間に雑草に負けて、やる気を失うこともあると思います。
 ですが、秋なら大丈夫。野菜が育つのも遅くなりますが、雑草の育ちも落ち着きます。多少放っておいても大丈夫です。大根やにんじんなどの根菜類は栽培期間が90日ほどと長く、その間にどんどん気温が低くなっていくので、日を追うごとに管理しやすくなります。

②虫害が減る

 涼しくなってくると、虫も減ってきます。そのおかげでせっかく植えた野菜が食べられてしまうことが減ります。暖かい時期は農薬や防虫ネットでガードする必要のあった野菜も無農薬、ほったらかしで十分ちゃんと育ちます。
 小松菜やチンゲンサイなどの葉物が特におすすめです。私たちも春に失敗したチンゲンサイをもう一度播きなおして、きれいに育ってきています。

③寒さにあたると野菜は甘くなる

 3つ目のポイントは、寒さです。野菜は寒さにあたると身がしまり、甘さを増します。特に葉物や根菜ははっきりとわかります。霜が降りるくらいのちょっと強めの寒さにあたるとよりいっそうおいしくなります。
 これは野菜自身の防衛戦略です。というのも、気温が0度を下回ると水は凍りますよね。野菜は9割近くが水でできていますので、もちろん凍ってしまいます。しかし、これでは死んでしまいます。そこで野菜は体の中に糖分を蓄えることで凍らないようにするわけです(凝固点降下といいます)。
 この性質を利用したのが、寒締めほうれん草や雪中キャベツなどですね。春や秋のものより、冬の方がはっきりと甘くなりおいしくなります。葉物だけでなく、根菜も甘くなります。私たちのお気に入り、ルタバガ(西洋カブ)も寒さに当てるととても甘くなります。ビーツなんかも、寒さに強く育てやすいですね。

生き生きとした野菜たち

 最後に私たちの畑で育っている野菜たちを紹介します。みんなすくすく成長しています。

 大根、にんじん、ルタバガ、ビーツの根菜四兄弟(ビーツは播いたばかりで写真がありませんでした)

 涼しい気候を好むズッキーニ。夏野菜としてのイメージが強いズッキーニですが、実は20度前後で一番よく成長します。真夏に播いた株が順調に成長しています。こちらはこれから増える雨風から守るために立体仕立てにしてあります。

 葉物は春先に挑戦して、無残に虫に食われたチンゲンサイにリベンジです。今回はかなり順調で虫食いも少ないです。被覆材として、籾殻と刈り草を使ったり、酢水の散布の有無などでいろいろ比較しながら育てています。

200913 チンゲンサイもみがら 一回目

 暑さも落ち着いて、長時間の作業が苦になりません。ゆっくりと畑に向き合う時間をとれそうです。

来年の準備/緑肥と混作と不耕起

真夏に来夏のための準備!

 まだ真夏真っ盛りだった8月半ば。早くも来年の土つくりを始めました。畑仕事は常に先を見越して、できることはできる時にやっておくのがとても重要です(それがなかなか難しいのですが。)。土つくりは野菜つくりにおいて、最も重要で影響力の強い作業です。

 野菜は土で決まると、よく言われます。よい土を作ることが健康でおいしい野菜を育てるのには不可欠です。

 この「よい土」という言葉も非常に曖昧で、何をもってしていい土なのかということは人によって解釈が違います。私は、植物にとって必要な栄養素(俗に言うNPK、さらに微量元素)がしっかり入っていることがよい土だとは考えていません。化学的に栄養満点なだけでは不十分だと思います。

 では、どんな土が理想なのか。それは「生物多様性に富む」土だと思います。目に見えるミミズやその土壌生物や目に見えない微生物(これがとくに重要!)がいっぱいの土。これが大事だと思っています。地力がある、土壌肥沃度が高い土というのも、生物多様性がある土のことで肥料分がいっぱい入っている土ではないのではないでしょうか。これについてはいろいろな説がありますし、人によって本当にいろんな考えがありますので、ここではこれくらいにしておきます。

 

菌ちゃんファーム式! 土つくりの方法

さて、ここから実際にやった作業についてご紹介します。今回は菌ちゃんファームの代表、吉田俊道さんのブログで紹介されていた、「草を仕込む」方法を参考にしてみました。吉田さんは微生物が野菜つくりに重要だと考え、微生物を増やし、その力を最大限に利用する農業をされています。詳しくは掲載元の記事をごらんいただきたいのですが、簡単に説明します。参考にした記事はこちら→「今仕込めば、草だけで菌ちゃん夏野菜が育つ?その1」https://kinchangenki.hatenablog.com/entry/2019/11/30/150101

 この土つくりは、雑草には微生物のえさとなる炭水化物や、自分で吸い上げた窒素などの栄養素が含まれており、これを土に還すことで豊かな土を作ろう、という趣旨のものです。畝となる場所を少し掘り下げ、そこに雑草をたっぷりいれます。その上から土をかぶせ、分解を促します。来年の植え付けまでには、土になじんでいるはずです。吉田さんは春先に仕込めば、二ヶ月で植えつけられるようになるとおっしゃっています。

 この方法を参考に、畝となる場所を決め、草をたくさん仕込みました。

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 このままだと、土が裸のままで夏の強烈な日差しや秋の大雨に打たれて土が固くしまってしまうため、あまりよくありません。本来は土をかぶせたらさらにポリマルチをかぶせ、雨や乾燥をシャットアウトし土壌水分を適度に保てるようにします。

さらに緑肥栽培で地力アップ!

 しかし、この場所は春にスナップエンドウを植えつけていた場所で、マルチの保温効果で雑草の種が死滅したせいかほとんど草が生えてきませんでした。これではシーズンを通しての有機物供給が少ないと思ったので、緑肥も栽培することにしました。

 緑肥栽培は年一作が基本の麦や大豆の間作として栽培し、枯れる前に葉が青いままそのまま土に混ぜ込むことで、じっくり土の中で堆肥化させることができます。その結果、排水性向上、地力向上などのよい効果が期待できます。作付けが終わった圃場の土をできるだけ裸にしないためにも栽培されます。

 今回は秋播きなので、低温でも成長し、早生のライ麦と窒素固定と被覆効果を期待してクリムゾンクローバーをミックスして播きました。緑肥作物も単体だと土壌微生物が単純化してしまいそうなので、二種類のミックスかつ一緒に生えてくる雑草もできる限り生やしておきます。

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 そんなこんなで作業した場所は草がいい感じに生い茂っています。少し、雨にたたかれて表面は固いですが、ちょっとほぐすと柔らな土に仕上がってきています。来シーズンはここでトマトを栽培する予定なので楽しみです。トマトは土がしっかりできていないと栽培が難しい作物ですからね。

 この土つくり、土壌に関する話題は深く掘り下げると長くなってしまいます。雨風による土壌の侵食や、連作による地力の低下、過剰な肥料投入、土壌生物の働きなど、日々いろいろな知識を溜め込んでいきたいです。そして、それを畑で実際に検証していきたいです。

夏野菜跡地の準備はもう少し後で…

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まだ夏野菜が植わっているエリアは土つくりができません。ズッキーニやミニトマト、オクラの畝は9月いっぱいは収穫できます。ですので、その後に土つくりをすることになります。その時期になると雑草もあまり生えていなくて、この方法は難しくなります。

 そこで去年の冬から作っていた落ち葉堆肥を活用します。この落ち葉堆肥、夏を経てかなりいい感じに堆肥化してきました。その様子もまたご紹介します!

野菜の販売、始めました! 軽井沢にて。

 今年から畑で野菜を栽培し始めた私たち。もともとは自給用の野菜を作ることが目的なのですが、思いのほか順調に野菜が育って、とても美味しいものが毎日採れています。

 自分たちの食べるものは自分たちの手で、という思いからはじめた畑でしたが、心の中にほかの人にも自分の作った野菜を食べてほしい、届けたい、という思いもありました。少しずつ規模を大きくして、いずれは販売していきたいと考えていました。普段はあまり見かけない野菜を、ベストな状態で、新鮮さを保って届けたらなと。

 ありがたいことにその機会をいただけましたので、少量ではありますが販売を始めました!

 私たちの野菜を取り扱ってくださるのは、軽井沢チャーチストリート内の「yoito」という生活道具と珈琲を取り扱う雑貨屋さんです。素敵な一点ものや作家ものにこだわった食器や生活雑貨がたくさん並んでいます。

 こちらのお店で、今年の春からアルバイトさせていただいています。こちらの店長の方から野菜を販売する提案をいただき、ズッキーニとミニトマトを置かせてもらっています!

 今はズッキーニとミニトマトだけですが、秋に入れば大根、人参なども販売できればと考えています。そして、来年はもっともっと増やせればなと思っています。

 yoitoが入っている軽井沢チャーチストリートは旧軽井沢の銀座通りにあり、ほかにも魅力的なお店がたくさんあります。夏の観光地として有名な軽井沢にお越しの際はぜひお立ち寄りください!

 毎週月曜日と木曜日は、私自らお店に立っていますので、直接お話できたら嬉しいです。

 

 野菜を販売する以上、テキトーなものは出せません。これまで以上にがんばって畑仕事に挑もうと思います!

 

雑草との付き合い方/畝の雑草マルチ

私たちの畑の雑草管理

今日は私たちの畑の雑草の管理についてご紹介したいと思います。

 まずはこちらの写真をご覧ください。畝間(ビニールマルチを張っていないところ)は雑草が伸び放題になっています。見る人によっては、「もっとちゃんと管理しろ」と怒られてしまいそうですね。

 これは草刈をしたくなくて、時間がなくてこうしているわけではありません。わざとこうなるように、放置してみました。

雑草は邪魔者?

 普通は雑草が生えてこないように、と一生懸命雑草取りをします。なぜかというと、理由は単純で、雑草は野菜ではないからなんじゃないでしょうか。畑で育てて収穫したいのは野菜であって、雑草ではない。言い換えれば、雑草は邪魔な存在なんです。

 確かに、作物よりも大きくなってしまった雑草は日光をさえぎり、肥料分も当然吸収しています。こう見ると、雑草は野菜の邪魔者かもしれません。だから、こちらも必死になって草取りをします。

 でも、わたしたちは雑草を邪魔者だとは考えていません。雑草も畑という環境には必要なものだと思います。草が生えることによって、土が裸にならず、また虫たち(害虫、益虫)の住処にもなります。根を張ることで土も耕されます。さらに、草が枯れて土に還ることで土が少しずつ豊かになります。

 いかにも自然農法的な考え方で、一部の方からは「そんなきれいごとで農業はできない」といわれてしまうかもしれません。

緑肥によるリビングマルチとの違い

 雑草じゃなくても、緑肥と呼ばれる植物を畝間に生やす、リビングマルチという技術もあります。これは大麦などのイネ科やクローバーなどのマメ科の植物を畝間に生やし、防草などの効果を狙うものです。雑草よりも管理しやすく(種類が一つで済むため)、同じような効果も期待できます。

 でも私たちは、雑草でこの状態を作ることに意味があると考えています。なぜかというと、少し難しい話になってしまいますが、がんばって簡単に書いてみます。

 植物(のみならずすべての生物)は微生物のおかげで生命を維持しているといっても、過言ではありません。畑を見ても、土から野菜が生えているという単純な話ではなく、土の中、もちろん野菜の体内でもたくさんの微生物の存在が重要な役割を担っています。そして、私たち人間も本当にたくさんの微生物とともに生きているのです。

 そして、植物の種類によって共生している微生物の種類もかなり変わります。緑肥作物の、たとえば麦を使って畝間のマルチとして使用しても、土にはその麦の共生微生物しか増えません。それって、やはり不自然なのではないでしょうか。

 テキトー(適当)に草を生やしておけば、ざっと10種類以上の多様な草が観察できます。すると、土の中では、それぞれに特有な微生物が増えて、結果として、とても多様性に富んだ土になっていく。そう考えて、こうしてみました。

 雑草も生えていないきれいな畑に、単一の作物が整然と並んでいるのに違和感を覚えませんか? 農業が自然とは正反対の行為であるということは理解していますが、それでも自然の環境は野菜にとっても理想に近いのではないかと思っています。

とはいっても、、、

 伸ばし放題にしていても、先に述べたように野菜の生長の邪魔をしてしまうので、ある程度のところでビーバーや手鎌を使って刈りそろえます。もちろん刈った草はそのまま敷いておきます。

 こうすれば、雑草が野菜の生長を邪魔することはないはずです。

 畝間の雑草をこのように管理するのは初めてなので、これから梅雨が明けて、雑草たちが本気を出してきたときに、ちゃんと管理していけるかはわかりません。このやり方で、どのくらいの面積の畑が管理できるのかも未知ですが、手探りながら挑戦していきます。

地球上で最も数が多い生き物、それは、、、

 今回の話では、微生物が少し出てきました。微生物の一種である、細菌は地球上で最も数が多い生き物です。とんでもなく桁違いに。そして、細菌の先祖とも言える古細菌やそのほかの微生物は、人間よりも、植物よりも、魚類よりもはるか昔から地球上に存在していました。

 微生物は農業以外でも、その存在を無視できない生物です。病気になったときに頼りになる薬や、みんなが大好きなお酒や、普段何気なく食べている食べ物。私たちを蝕むさまざまな疾患、アレルギー反応。生と死の循環。全部微生物が関わっています。普段見えないけど、とんでもなく大事な微生物について、もっと話したいことはたくさんのあるので、少しずつ触れていきたいです。

晴耕雨読の日々

 梅雨らしく雨が降る続く日が続いています。雨が止んでも、パッと晴れることが少なく、気分も落ち込んできます。

 今朝も朝から雨が降っています。作業も追いついていて、連日の雨で畑の土もぬかるんでいると思いますので、今日は畑に出るのはお休みにします。

 古い言葉で、「晴耕雨読」というものがあります。文字通り、晴れた日は田畑を耕し、雨の日は家で読書をして過ごす、という意味です。昔は雨が降ったら、畑仕事はお休みで、家でのんびり過ごす余裕があったのでしょう。

 畑での収穫適期、流通システム、さまざまな観点から考えても、雨の日に出荷をしないというのはなかなかできません。市場は安定的な供給を求めるし、すでに畑にいる野菜たちは成長を待ってくれません。

 今年アルバイトにいかせてもらっているレタス農家も、出荷は雨に関係なく毎日あります。雨の日はどうしても作業効率が落ちますし、肉体疲労も結構あります。雨の中でも外で働くのが農業だ!、というのも理解していますが、やはり気は乗りません(笑)。

 できるだけ雨の日はゆっくりできるようになれたらいいなという思いはあります。昔の農家、百姓みたいに晴耕雨読の日々を送れたらいいですね。

 

 最近読んでいる本は、亜紀書房「生き物を殺して食べる(英題:THE ETHICAL CARNIVORE MY YEAR KILLING TO EAT)」(Louise Gray著)です。題名を見ると物騒な話に聞こえますが、肉を日常的に食べる人(ほとんどの人があてはまるはずです)は無関係ではいられないテーマです。

 この本も書評として紹介したいのですが、考えさせられる内容が多く、まだうまくまとめられていません。しっかりと読み込んでいずれ紹介したいと思います。